エドワード・ヤン、ツァイ・ミンリャンに続く才能、今、台湾で最も注目を浴びるホー・ウィディン監督作が描く群像劇『青春弑恋(せいしゅんしれん)』が、3月24日より公開される。このほど、日本版本予告編がお披露目となった。
ヤン監督のポストモダンの傑作『恐怖分子』(86)で描かれた、何の接点も持たない人々たちの間の奇妙な連鎖反応を描いた群像劇と同テーマをデジタル時代にアップデートし、都市のミレニアル世代の若者の欲望と苦悩を野心的に描く。本作は、2021年トロント国際映画祭ワールドプレミア上映で公開されるや高い評価を受け、同年の東京国際映画祭決定が決まるや瞬殺でチケットは完売した超話題作。物語は、一見何の関係もない6人が互いに影響し合い、オンラインゲーム、インフルエンサー 、ポルノ、コスプレ、妄想、刀、恋愛のもつれをベースに、台北駅の無差別殺人事件に巻き込まれていく。ここ数年、台湾の映画やテレビでは、若者が犯した凶悪な公共犯罪の後日談を取り上げることが繰り返されるようになった。その事例を要とし、刺殺事件をきっかけに交錯するZ世代ティーンエイジャーたちの人生に焦点を当てたのが本作である。
本予告編の冒頭では、刀を持った男が台北駅に現れ、ヘッドフォンをした女が立ち尽くす中、悪夢が始まる瞬間が映し出されている。「家族が欲しくなった」と帰国した若い料理人と「みんな私を捨てた」と悲しみを訴える女は徐々に惹かれあっていく。それを影から覗く男。「私クズよね」と泣く女優に「その気持ちわかる」と寄り添う女。過去にエロティックな配信をした女優に興奮する男。その男と乾杯するマッサージ嬢。男に「彼氏になって」と迫るコスプレイヤー。「なぜ誰も教えてくれない!」と叫ぶ若い料理人。6人の関係が徐々に複雑に絡み合い、ショパンの「夜想曲(ノクターン)」の美しい音色が突然鳴り止む。報道陣に囲まれる女。電車の中で男は女優の前に現れ「僕の恋人だ!」と叫ぶが「赤の他人よ!」と女優は拒絶する。リアルとバーチャルが交差する世界でこの6人の間で一体何が起こっているのか!?悪夢のような惨劇が今、始まる。
『青春弑恋』
2023年3月24日(金)よりシネマート新宿・心斎橋ほか全国順次公開
監督:ホー・ウィディン
脚本:ホー・ウィディン ナターシャ・ソン
出演:リン・ボーホン ムーン・リー リン・ジェーシー アニー・チェン ヤオ・アイニン ディン・ニン
配給・宣伝:2ミーターテインメント(2MT)
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