自主映画からキャリアをスタートさせて以降、『白夜行』や『神様のカルテ』、「桜のような僕の恋人」「和田家の男たち」など映画やテレビなど数々の作品を手掛けてきた深川栄洋監督が、2019年から作り始めた2つの異なる自主映画作品を「sideA」「sideB」と称して連続して公開する取り組み=return to mYselFプロジェクトを立ち上げた。その「sideB」として発表する『光復(こうふく)』が、12月9日より公開されることが決定した。併せて予告編とポスタービジュアル、メインスチールがお披露目となり、深川監督と、監督の妻で『42-50 火光(かぎろい)』に続き、主演を務めた宮澤美保よりコメントが寄せられた。
生活保護を受けながら認知症の母親と暮らす42歳の圭子。高校の同級生との再会をきっかけに明るさを取り戻していく圭子だが、母親の急死により、その人生は不気味な音を立てて崩れ始めていく。
深川監督が、世の中であまり取り上げられることのなかった実際のニュースやコラムの数々をひとりの女性に起きる出来事に集約させて作り上げた“受難”の物語。マスコミ試写では「現代版“⻄鶴一代女”のよう」「(2005年の自主制作映画)『狼少女』の頃の深川監督が戻ってきた!」など絶賛の声が続々と届いている。
■宮澤美保(大島圭子役)コメント
苦しくて仕方のない時、あの人よりもマシだと思うと救われる事があります。この映画の主人公もまさにそれ、次々襲いかかる不幸に、この人よりはマシだと思えるでしょう。でも、この映画はそれで救われるわけではありません。とんでもないところまで、心を持っていかれます。その先に本当の救いがあるのか……をぜひ劇場で体感してください。
■深川栄洋(監督)コメント
約20年ぶりにオリジナル映画を作りました。2019年の1月に主演を妻に据え、テーマは「幸福」と決めました。ですが、脚本がなかなか書けずに苦しんでいた時に、フッと2018年に起きた「不幸」な事件を調べはじめました。調べてみると、1年間に沢山の悲しい出来事が起きていました。その出来事の幾つかに、一人の女性を縦糸にして編み込んでみました。それが今回のストーリーです。映画の中で起きる不幸なことは全てあの年に起きた出来事です。観客はこの物語を観ていると自然に幸せを求めるでしょう。その最後の「幸せ」の表現に、監督としての眼差しを込めました。脚本が完成した時、映画のタイトルは「光復」に変わっていました。「幸福」では表現できない映画になったと思います。ぜひ、僕たちの映画を観に来て下さい。
sideB『光復(こうふく)』
2022年12月1日(木)より、下北沢トリウッドにて先行上映
2022年12月9日(金)より、ヒューマントラストシネマ有楽町、下北沢トリウッド他全国順次公開
監督・脚本:深川栄洋
出演:宮澤美保 永栄正顕 クランシー京子 関初次郎 池田シン 伊東孝 大場泰正 崔哲浩 野崎数馬
配給:スタンダードフィルム
配給協力:ポレポレ東中野
【ストーリー】 「死にたいな……。って、いうか、なんで生きてるんだろ、って思うんです」。これは、認知症の母と二人きりで長野に暮らす主人公の大島圭子が、「お困りごとはありませんか?」と市の職員に尋ねられた時の言葉。シングル介護が急増している昨今、親の介護などで生活が不安定に陥る団塊ジュニアは約33万人いるとされている(2015年試算)。婚期もキャリアも逃し、生きる意味も失いかけた子供たち、そんな彼らに幸せはいつ訪れるのか。大島圭子、42歳。27歳の時、両親の介護のため東京の仕事を辞めて長野に戻った彼女は、生活保護を受けながら寝たきりの父親を看取り、今は認知症の母親、安江と2人で人目を避けて暮らしている。ある日、母親の徘徊騒動をきっかけに、高校の同級生だった横山賢治と再会する圭子。賢治は圭子の現在の生活を知り、手を差し伸べようと 仕事の合間を縫って大島家に通うようになる。それまでは暗く、表情のない圭子だったが、次第に明るさを取り戻していき、年相応の女性として 肉体と精神に火が灯り始めた。しかし、そんな平穏な圭子の日常に暗雲が立ち込める。母が急死したのだ。警察は検死の結果、インシュリンの過剰摂取による殺人事件と断定し、捜査に乗り出す。警察からの取り調べを受ける圭子。その人生は不気味な音を立てて崩れ始めていく。
©2022 スタンダードフィルム