寂しさを埋め合うように、体を求めあう2人の姿が『背中』予告編

『海辺の生と死』『アレノ』『愛の小さな歴史』『あざみさんのこと』『アララト』など、高い文学性と街に生きる人々の生と性を独自の視線で描く手法から、孤高の映像詩人と謳われる越川道夫監督。コロナ禍の中、身近な人々の死と自身の眼の手術など多くの喪失の体験をした越川道夫が、主演に佐藤里穂、共演に落合モトキを迎えて描く『背中』が10月29日より公開される。このほど予告編がお披露目となった。

30歳の女性を描く『背中』。ある日突然恋人ショウイチロウに去られたハナは、恋人の親友であったアカツキと関係を結んでいる。二人はハナの元を去り何処かに消えたショウイチロウを待ち続けている。去っていった男の背中と海辺の風を感じながら、待つ女の心象風景を描いた物語。

予告編では、「じゃあ、仕事行ってくるよ」という言葉を残し、恋人ショウイチロウ(嶺豪一)がハナ(佐藤里穂)の前から姿を消すところから始まる。2年前から、生きているのか死んでいるのか分からず、ショウイチロウのSNSは止まったまま。その間、ハナは、ショウイチロウの親友アカツキ(落合モトキ)を愛すようになる…まるでショウイチロウ不在の寂しさを埋め合うように、体を求めあうふたり。そんなある日、ショウイチロウが二人の前に、突如、変わり果てた姿で現れる。無邪気に再会を喜ぶアカツキをよそに、さらに不安定になるハナ。「この2年間、彼は私の前に居なかったと思っていたけど…居なかったのは、私だった…」と泣きながらハナはつぶやく。愛する恋人を待ち続けたハナが流す“涙の意味”とは…その涙が見る者の胸を打つ、切なさに満ちた予告編になっている。

『背中』
2023年10月29日(土)より、新宿K’s cinemaにて公開
監督・脚本:越川道夫
出演:佐藤里穂 落合モトキ 嶺豪一 山本圭将 橋本つむぎ
配給:キングレコード

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