「母さん、なんで近くにいてくれないの?」資本主義と家父長制社会の歪みに潜む悲劇と希望『やまぶき』予告編

山間で農業と映画製作を続ける山﨑樹一郎監督が、地方に生きる人々の慎ましい抵抗を国際的な視座で描く映画『やまぶき』が、11月5日より公開される。このほど予告編がお披露目とり、併せて国際映画祭での4つの受賞があったことを発表した。

本作は、陽の当たりづらい場所にしか咲かない野生の花“山吹”をモチーフに、資本主義と家父長制社会の歪みに潜む悲劇と希望を描きだす群像劇。かつて韓国の乗馬競技のホープだったチャンスは、父親の会社の倒産で多額の負債を背負った。岡山県真庭市に流れ着き、今はベトナム人労働者たちとともに採石場で働いている。一方で、刑事の父と2人暮らしの女子高生・山吹は、交差点でひとりサイレントスタンディングを始める。2人とその周囲の人々の運命は、本人たちの知らぬ間に静かに交錯し始める。

予告編は、主人公の韓国人チャンスが岡山へ流れ着き、新しい家族と過ごす様子と、もう一人の主人公・山吹がサイレントスタンディングする様子から始まる。その後、オリヴィエ・ドゥパリの手掛けたトイピアノの音色が流れる中、二人の人生が交錯し、予想外に展開していく物語の断片が映し出され、期待感の高まる予告編に仕上った。

さらに9月は、第27回スプリト国際映画祭グランプリ、第19回ウラジオストク国際映画祭審査員賞、第18回ルッカ国際映画祭グランプリ、第8回ブラジリア国際映画祭最優秀男優賞(カン・ユンス)の4つの賞を相次いで受賞する快挙を果たした。今月は、14日から16日開催のロッテルダム国際映画祭(1〜2月にオンライン開催)のリアル上映に合わせて山﨑監督がオランダへ渡航する予定。

『やまぶき』
2022年11月5日(土)より渋谷ユーロスペース、11月12日(土)より大阪シネ・ヌーヴォ、京都みなみ会館、元町映画館ほか全国順次公開
監督・脚本:山﨑樹一郎
出演:カン・ユンス 祷キララ 川瀬陽太 和田光沙 三浦誠己 青木崇高 黒住尚生 桜まゆみ 謝村梨帆 西山真来 千田知美 大倉英莉 松浦祐也 グエン・クアン・フイ 柳原良平 齋藤徳一 中島朋人 中垣直久 ほたる 佐野和宏
配給:boid/VOICE OF GHOST

【ストーリー】 かつて韓国の乗馬競技のホープだったチャンス(カン・ユンス)は、父親の会社の倒産で多額の負債を背負った。岡山に流れ着き、今はベトナム人労働者たちとともに採石場で働いている。一方で、刑事の父と2人暮らしの女子高生・山吹(祷キララ)は、交差点でひとりサイレントスタンディングを始める。2人とその周囲の人々の運命は、本人たちの知らぬ間に静かに交錯し始める。

©2022 FILM UNION MANIWA SURVIVANCE