初めての挫折を経験した若者が映写機に出会う 木造建築の映画館シネマネコがロケ地『光の指す方へ』11月に先行公開

2021年に東京・青梅市にオープンした東京で唯一の木造建築の映画館シネマネコをロケ地に、若者の初めての挫折と再生を描いた映画『光の指す方へ』が、11月18日よりシネマネコにて先行公開、今冬にユーロスペースほか全国順次公開されることが決定した。併せて、ポスタービジュアルと場面写真がお披露目となった。

本作は、大学受験に失敗し人生が止まってしまったように感じている浪人生の晴斗が、年の離れた姉のオープンさせた映画館で映写技師や昔馴染みの常連客たちに出会うことで前を向く物語。

主人公の晴斗を演じるのは、様々なフィールドで注目を浴びている若手俳優、犬飼直紀。中学生の悶々とした青春を描いた映画『14の夜』で主演デビューし、舞台「アルプススタンドのはしの方」、ドラマ「ここは今から倫理です。」、「青天を衝け」などに出演。錚々たる監督陣からの信頼も厚く、今後の活躍を期待されている。本作では実際にフィルムの切り替えにチャレンジした。

エンディングテーマ「ひかり」は、シンガーソングライターの指田フミヤが担当。3rdシングル「花になれ」で話題を集め、自身の音楽活動以外にもアーティストへの楽曲提供やプロデュースなどを幅広く行っている。今回、映画からインスパイアされ楽曲を制作。さらに自らがボーカルを務め、映画のエンディングを心地よい余韻で彩っている。

監督は脚本家としても活躍し、岐阜県高山市合併10年記念映画『きみとみる風景』に続く長編2作目となる今西祐子が務める。

本作の公開に先立ち、主演の犬飼直紀、主題歌を担当した指田フミヤ、今西祐子監督よりコメントが寄せられた。

▼キャスト&スタッフ コメント

■犬飼直紀(直井晴斗役)
フィルム上映に映写機を二台使うことがあるのをご存じでしたでしょうか?フィルム上映に慣れ親しんだ世代の方にとっては常識なのかもしれませんが、実は僕は脚本を読んで晴斗と同じタイミングで初めて知りました。2時間程の映画の場合でもフィルムは5~10巻になり、フィルムが終わりそうになると映写技師が次のフィルムをセットした二台目の映写機に切り替え、それを繰り返して物語を繋げていくそうです。フィルム映画の右上に出る丸いマークは、この切り替えのタイミングを示すものだったのですね。晴斗が映写技師の圭吾に切り替えを教えてもらうシーンは、実際に本物の映写機を使わせてもらっての撮影だったのでとても印象に残っています。フィルムが走行していく音は予想以上に大きく、大声でないと会話ができませんでした。また映写機から出る光は柔らかく、まっすぐで、どこか温かみがありました。晴斗は大学受験に失敗しており、学生でも社会人でもない人生の狭間で迷子になっています。そんな晴斗が、映写機の切り替えで物語を繋げる練習をしたり、姉のまどかと支え合ったり、映画館で出会う人たちと関わったりする中で成長していく様をご覧頂けたら嬉しいです。また映画館は実際に青梅にあるシネマネコさんを使わせて頂いたのですが、スタイリッシュでありながら温かく落ち着いた雰囲気がこの作品とマッチしていてとても素敵なのでぜひご注目ください!

■指田フミヤ(主題歌)
今回「ひかり」という楽曲を書き下ろさせていただきました。コロナ禍になってから楽曲提供などはさせていただいていましたが、自身で唄う楽曲はなかなか生まれず自分でも歯痒い思いをしていた時に、この映画の主題歌のお話をいただきました。今作「ひかり」はこの『光の指す方へ』という作品がきっかけになり、もう一度自分自身と見つめ合う事で生まれた楽曲でもあります。迷いながらも自分の道を切り開いていく主人公の姿を重ね合わせながら自分を含め、現代を生きる人々の切なさと希望を歌詞と楽曲で表現しました。『光の指す方へ』の映画版とリリース版ではアレンジが少し違っていて映画の方では世界観に合うよう音数を少なくしたり歌詞をほんの少し変えてみたりしています。そんなところも映画と合わせて楽しんでいただけたら嬉しいです。また自分自身メジャーデビューしてからいつの間にか10年が経過していた事もあり10年音楽の世界にいる自分を振り返りながら僕の中でもすごく特別な楽曲になりました。

■今西祐子(監督・脚本)
ここ数年続いている制限の多い暮らしの中で、自覚していなくても不安やストレスが澱のように溜まっていき、息が詰まりそうに感じている人は多いのではないでしょうか。そんな時、日常で起きるほんのささいなことが、気持ちを楽にしてくれる時があります。例えば、不安に押しつぶされそうになった夜、朝が来てカーテンの隙間から日差しを感じた時だったり、誰とも話をしなかった翌日に、ふいに心を許せる人と何気ないコトバを交わした時だったり。もしかしたら、その日の夜にはまた不安が押し寄せるかもしれません。でも、朝の光を感じた午前中は、昨夜よりも気持ちが楽に過ごすことができたり、くだらない話をして笑い合っただけで、心が安らいでいくことを実感できる。それがかけがえのない日々であり、人生なのだと思うのです。でもそれは、忘れてしまいそうなくらいに小さな出来事で、私はそんな瞬間を忘れたくないと思い、この映画をつくりました。主人公の晴斗が抱えていることは、他人から見れば特別大きなことではなく、誰もが経験する小さな挫折にすぎないかもしれません。でも私は、器用にそれを乗り越えることができる人よりも、小さなことにもがき、気持ちが晴れずにいる人に、魅力を感じるのです。思い詰めると周りが見えなくなる。そんなひとに、逃げ道、回り道は大切だという思いを、この作品に込めました。

『光の指す方へ』
2022年11月18日(金)より、シネマネコにて先行公開
2022年冬、ユーロスペースほか全国順次公開
監督・脚本:今西祐子
主題歌:指田フミヤ「ひかり」
出演:犬飼直紀 松﨑映子 伊藤悌智 安達真由 西山咲子 戸張美佳 酒井麻吏 植吉
配給:アイトゥーオフィス 新日本映画社

【ストーリー】 大学受験に失敗した晴斗(犬飼直紀)は、浪人生活を送りながら鬱々とした日々を過ごしていた。初めての挫折に自信をなくし、時間だけが過ぎていったある日、映画館をオープンさせた姉のまどか(松﨑映子)に会いに行くと、半ば強引に手伝いをさせられることになる。そこで出会った映写技師の圭吾(伊藤悌智)の影響で映写機に興味を持ち始める晴斗。人生につまずいてしまった、と感じていた晴斗が、圭吾や子供の頃に世話になった茂(植吉)や加代(酒井麻吏)たちとの関わりの中で、ある光を見つけようとしていた…。

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