惹かれ合うも触れ合うことができない青年二人の青春『裸足で鳴らしてみせろ』8月公開

未来を担う映画作家の育成プロジェクトとして、これまでに橋口亮輔監督『二十才の微熱』、李相日監督『BORDER LINE』、石井裕也監督『川の底からこんにちは』など日本映画史に残る名作の数々を手掛けてきたPFF(ぴあフィルムフェスティバル)スカラシップ」。その第27弾となる工藤梨穂監督のデビュー作『裸足で鳴らしてみせろ』が、8月6日に公開されることが決定した。併せて、予告編とポスタービジュアルがお披露目となった。

フランソワ・トリュフォー監督『隣の女』のセリフ「一緒では苦しすぎるが、ひとりでは生きていけない」から着想を得た本作では、惹かれ合うも触れ合うことができない青年二人の、あふれ出る愛情や欲望の行方を、肉体のぶつかり合いと偽りの旅を通して、やさしくて痛い青春のきらめき紡ぐ。

本作の監督・脚本を務めるのは、大学の卒業制作『オーファンズ・ブルース』がPFFアワード2018グランプリ受賞、自主映画ながら劇場公開され、青山真治監督、行定勲監督や俳優・永瀬正敏氏から絶賛コメントも寄せられるなど、国内外からその瑞々しい感性と圧倒的な画力・構成力を絶賛された工藤梨穂。本作が商業デビュー作となる。

既に海外映画祭からも注目され、第51回ロッテルダム国際映画祭ハーバー部門選出、第22回ニッポンコネクション・NIPPON VISIONS部門にてスペシャル・メンション獲得、今後は、6月開催の第46回フレームライン(サンフランシスコ国際LGBTQ+映画祭)ワールド・シネマ部門、7月開催の世界最大級の子ども映画祭・第52回ジッフォーニ国際映画祭 コンペティション部門に選出されている。

予告編には、「代わりに世界を見てきてほしい」という盲目の養母(風吹ジュン)のために、レコーダーを手に“世界の音”を届けようとする二人の青年、直己(佐々木詩音)と槙(諏訪珠理)が登場。彼らは、次第に惹かれ合うも、互いを抱きしめることができない。 「“世界旅行”の果て、二人の青年は凶暴な愛を予感するー。」というコピーのとおり、二人の言葉にならない想いが、他愛のないじゃれ合いから暴力的な格闘へとエスカレートしてゆく。

予告編の後半に流れるのは、シンガーソングライターsomaによる主題歌「Primula Julian」。その優しくも切ないメロディーと共に、歌詞にも出てくるフレーズ「どこへ行こう?」「どこへでも行ける。」は、ポスターのコピーにも使われている。また、予告編のラストに映る、「カプリ島に来たよ。青の洞窟に居る…」と、夜のプールで世界を旅している様子を収録する、劇中でも印象的なシーンをポスタービジュアルに使用した。

想いが深くなればなるほど、互いを傷つけてしまう。主人公の若者たちが抱える愛にまつわる矛盾と、一緒に過ごした時間のかけがえのなさ。誰しもの記憶に残り続ける青春映画が誕生した。

『裸足で鳴らしてみせろ』
2022年8月6日(土)より、ユーロスペースほか全国順次ロードショー
脚本・監督:工藤梨穂
出演:佐々木詩音 諏訪珠理 伊藤歌歩 甲本雅裕 風吹ジュン 高林由紀子 木村知貴 淡梨 円井わん 細川佳央
主題歌:soma「Primula Julian」(dead funny records)
配給:一般社団法人PFF/マジックアワー

【ストーリー】 父の不用品回収会社で働く直己(なおみ)と、市民プールでアルバイトしながら盲目の養母・美鳥(みどり)と暮らす槙(まき)。どこにも行けない彼らは、美鳥の願いを叶えるために、回収で手に入れたレコーダーを手に“世界の音”を記録し始める。サハラ砂漠を歩き、イグアスの滝に打たれ、カナダの草原で風に吹かれながら、同時に惹かれ合うも、互いを抱きしめることができない二人。言葉にならない彼らの想いは、他愛のないじゃれ合いから暴力的な格闘へとエスカレートしてゆく……。

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