古川雄輝「(師匠は)市村正親さん。舞台経験がなかった頃からご指導いただいた。怒ってくれる人って実はあまりいないんです」

ココミによる同名漫画を、初共演となる古川雄輝と竜星涼のダブル主演で映画化する癒し系BL映画『リスタートはただいまのあとで』が9月4日より公開中。このほど、9月21日にユナイテッド・シネマ豊洲にて上映感謝舞台挨拶が行われ、古川雄輝、甲本雅裕、そして井上竜太監督が登壇した。

古川と甲本が舞台挨拶で顔を合わせるのは今回が初めて。本作で初共演を果たしたが、古川は甲本の印象について「光臣が田舎に帰っての食卓のシーンで『はじめまして』だったんですけど、威厳のある親父のお芝居にすごく圧倒されまして、これまで経験してこなかったパワーを感じて怖く見えたんです。でも、ある夜、メイク室で一緒に飲んで、お話を聞いていただいたら、メチャクチャ優しい方でした!」とすっかりその演技と人間性に魅了されたよう。

甲本は古川の言葉に「うれしいです」とにっこり。「(古川さんは)ちょっと静かで、もしかしたら人見知りの部分があるのかな?という気がしたんですけど、その印象は撮影を経ても変わらないです(笑)。ただ、自分をちゃんと持っていて、役者をしているのが伝わってきて、息子からのセリフを受けてお芝居をさせてもらっていると感じた部分が大きかったです」と古川を称賛する。

井上監督にとっては、2人とも長い付き合い。古川について「10年前のオーディションからの付き合いで、いつか主演でやりたいと思っていました。喜怒哀楽を出す古川くんを見たいと思って今回、やってもらいました。一緒にできてうれしかったです」と語る。一方、甲本とはテレビドラマ「三匹のおっさん」でもシリーズを通して仕事をしており、そちらでは甲本にコミカルなタイプの父親を演じてもらっていたが「信頼できる俳優さんですし、今回、(長編)初監督作なので『ぜひ甲本さんに』と(威厳ある父親役を)お願いしました」と明かす。

映画の中で、甲本演じる隆利が家具職人であり、師弟関係にも触れられることにちなんで、古川に“師匠”といえる存在について聞いてみると、古川は「市村正親さんですね。舞台経験があまりなかった頃からご一緒させていただいて、ご指導をいただいたり、怒ってくださったりしました。怒ってくれる人って実はあまりいないんです。当時言われたことをいま思い返すと『確かにそうだな』と思うことが多いです。自分が主演の舞台をやるようになると、見に来てくださったりもしてうれしいです」と舞台における偉大な“師”の存在について語ってくれた。

また、事前に観客から寄せられた質問では「続編の可能性」についての問いが最も多かったが、井上監督は「個人的には光臣と大和(竜星涼)にまた会いたいです。最後に2人が田園の一本道を歩いていくけど、そのあと、どうなっていくのか見たいですね」と意欲を口にした。

また、甲本と古川に、別作品で再共演するならどんな関係性で?という質問をぶつけると、甲本は「古川くんは英語もできるので、場所は海外にしましょう。(自身は)とっても頼りないお父さんで、いつも古川くんから『しっかりしろよ』とか『英語、少しは勉強しろよ』とか叱られてるというのはどうでしょう(笑)?」と提案。一方、古川は「年齢を考えるとお父さん(と息子)、もしくは上司と部下でもいいですね」と語った。

最後におすすめのシーンを尋ねると古川は「やっぱり最後のカットが好き。この映画を見に来てよかったとほっこりした気持ちになります」と語り、甲本は「自分のシーンで恐縮ですが、最後の光臣との掛け合いのシーンが心に残っています。顔を合わせず、背中越しに光臣の話を聞いてるんですが、思いが刺さってきて、そのおかげであの芝居をさせてもらえて、いい空間が生まれたと思います」とうなずいた。

井上監督は、後半にある光臣が大和に父親とのことを報告に向かうシーンを挙げ「自転車を嬉しそうにこいで、大和のところに行き、抱きついて報告する姿を見ると、うれしくなります。あのシーンができてよかったです」としみじみと語り、会場は拍手に包まれた。

『リスタートはただいまのあとで』
9月4日(金)より、シネ・リーブル池袋ほか全国順次公開中
監督:井上竜太
原作:ココミ「リスタートはただいまのあとで」
脚本:佐藤久美子
出演:古川雄輝 竜星涼 村川絵梨 佐野岳 中島ひろ子 螢雪次朗 甲本雅裕
配給:キャンター

【ストーリー】 職場で上司に人間性を否定され、会社を辞めて10年ぶりに田舎に戻った光臣(古川雄輝)は、近所で農園を営んでいる熊井のじいちゃんの養子・大和(竜星涼)と出会う。大和のことを「馴れ馴れしくてウザい奴」と思っていた光臣だが、父親に実家の家具店を継ぐ事を拒絶され、農園の手伝いをはじめると、大和と過ごす時間が増えていく。ふさぎこんでいる光臣を励まし、心の痛みに寄り添う優しい大和。次第に、光臣にとって大和は自分の弱さも受け入れてくれる大切な存在に変わっていく。ある夜、酔いつぶれた二人だったが、目が覚めた光臣は寝ている大和に思わずキスをしてしまい…抱いている感情にハッとする。大和の高校の同級生で親友の上田(佐野岳)から、「アイツには秘密がある」と耳打ちされたことを思い出した光臣の前に、親しげに大和と話す年上の女性が現れて…。光臣は大和へ想いを伝えることはできるのか?そして、親との確執を乗り越えて、光臣は自分の夢と向き合う事ができるのか?

©︎2020映画「リスタートはただいまのあとで」製作委員会