ソフトバンクモバイルのCM「白戸家」などで知られる山内ケンジ監督最新作で、第22回東京フィルメックス「メイド・イン・ジャパン」部門に出品された『夜明けの夫婦』が、7月22日より公開されることが決定した。併せて、予告編、ポスタービジュアル、場面写真がお披露目となった。
とある老夫婦と息子夫婦の二世帯住宅の家庭。どこにでもある、しかし極めてデリケートな問題。どこにでもあるが、実はこの国の最も重要な問題。この問題にしっかり取り組まねばならないのに、コロナ禍など他の問題が夫婦に押し寄せる。本作は、大胆でいて壮大なラストに向けて突き進む、純粋社会派深刻喜劇。コロナ禍が終息を迎えた後の日本を舞台に、夫の両親と同居し、孫を持つことを強く望む姑のプレッシャーに晒されながら生活する夫婦の姿を描く。
監督・脚本を務めるのは、ソフトバンクモバイルのCM「白戸家」を手掛け、演劇プロデュースユニット“城山羊の会”の劇作家・演出家として第59回岸田國士戯曲賞を受賞した山内ケンジ。『友だちのパパが好き』、『At the terrace テラスにて』に続く、長編4本目の監督作となる。
予告編は、主人公のさらが義理の母より「赤ちゃんはその後?」と問い詰められる場面から始まり、家族の人間模様を映し出す。さらとはセックスレスだが浮気をしている夫、無関心を装いながら息子夫婦の性生活に興味を持つ舅、コロナで母を亡くし孫の誕生を望み精神的に不安定な姑。そして、プレッシャーに晒され「子供欲しくないでしょ?」「私がいけないんでしょ」と言葉を漏らすさら。劇中でも流れる「夜明けのうた」(唄:宮内良)にのせて、痛切だがどこか可笑しく、それぞれの抱える問題が炙り出されていく。
ポスタービジュアルには、一家が暮らす家内の写真が大きく配置され、その下には真っすぐ正面を見据えた家族の姿と、その横には「この国のホンネは、どこへ行ったんだろう」というキャッチコピーが添えられる。
■山内ケンジ(監督) コメント
義理の母からの「そろそろ子供は?作らないの?」という質問は今やなかなかにして問題発言です。セクハラとも言えます。そして、一階に両親、二階に息子夫婦という二世帯住宅で、一階では、義理母が嫁に子作りを促したり(セクハラ)、あるいは、知り合いが幼い子供を連れてきて皆で可愛いと言ったりするような日常。一方、二階の息子夫婦の寝室では、セックスをしようとしたりできなかったりが描かれます。二階ではそれしかしていません。根っこの所では同じテーマであるのに、表と裏、昼と夜という対比を作りたかったのです。なぜならそれは極めて普通のことなのに面白いから。
『夜明けの夫婦』
2022年7月22日(金)より、新宿ピカデリー、ポレポレ東中野、下北沢トリウッドほか全国順次公開
監督・脚本:山内ケンジ
出演:鄭亜美 泉拓磨 石川彰子 岩谷健司 筒井のどか 金谷真由美 坂倉奈津子 李そじん 吹越満 宮内良
配給:スターサンズ
【ストーリー】 コロナ禍もようやく一応の終焉を迎え、町行く人々の口元にもマスクが目立たなくなってきた。さらは夫、康介の家で康介の両親と一緒に暮らしている。さら夫婦にはまだ子供はいない。ある日、義理の母が「そろそろ子供は?作らないの?」と遠慮がちに聞いてきた。遠慮がちに聞かれたのはもうこれで何度目であろう。しかし、パンデミックの間、さらと康介は、今までよりもはるかに長くこの家に居たのに、すっかりセックスレスになっていた。なおかつ、さらは最近、康介に女がいることに気がついていた。さらは、夜中にコンドームを捨てた。一方、義理の母、晶子は、コロナによって年老いた母を亡くしたこともあり、命について深く考える毎日。どうしても孫の顔を見たいという欲求で精神的に不安定になっていた。
©『夜明けの夫婦』製作委員会