伊藤健太郎「俺さ、ひでぇことしてきたかなって」『冬薔薇(ふゆそうび)』予告編&ポスタービジュアル

『一度も撃ってません』『半世界』『弟とアンドロイドと僕』の阪本順治監督が、2年ぶりの映画出演となる伊藤健太郎を主演に迎えてオリジナル脚本で描く意欲作『冬薔薇(ふゆそうび)』が、6月3日より公開される。このほど、本作の予告編、ポスタービジュアル、場面写真がお披露目となった。

本作は、阪本順治監督によるオリジナル脚本で、人間の業を切なく儚く紡ぐ映画。舞台はある港町。専門学校にも行かず、“ロクデナシ”という言葉がよく似合う中途半端な男・渡口淳。両親は埋立て用の土砂をガット船と呼ばれる船で運ぶ海運業を営むが、時代とともに仕事も減り、後継者不足に頭を悩ませながらもなんとか日々をやり過ごしていた。淳はそんな両親の仕事に興味も示さず、親子の会話もほとんどない。そんな折、淳の仲間が何者かに襲われる事件が起きる。そこに浮かび上がった犯人像は思いも寄らない人物のものだった…。

予告編では、心の距離を埋めることができないでいる淳(伊藤健太郎)の父・義一(小林薫)の「自分で気づくの待ってんだけどね」、そして母・道子(余貴美子)の「あんた、背筋がぞっとしたことなんてないでしょ」という台詞に続き、家族や友人、自分自身の過去と向き合うことなく、ずっと逃げてきた淳の姿が映し出される。「俺さ、ひでぇことしてきたかなって」とつぶやく淳に、船の機関長・沖島(石橋蓮司)は「これからはするな」と諭す。予告編に挟み込まれる数々の描写は、淳を取り巻く人々にも焦点が当てられ、それぞれに心の欠損を抱えた寄る辺なき者たちの物語の一端が垣間見える映像に仕上がった。

ポスタービジュアルには、登場人物たちの姿が収められる。ガット船「渡口丸」のブリッジ(操舵室)に立つ義一、冬薔薇の苗木を見つめる道子、そして振り返りながらどこか遠くを見つめる淳の眼差し。冬に咲く薔薇と書いて「ふゆそうび」。よくある再生の物語ではない。だが、冷たい冬の風の中で健気に咲いた花にも似た何かが、本作にはたしかに宿っている。オールロケ撮影で切り取られた横須賀の風景が、それを美しく彩る。

『冬薔薇(ふゆそうび)』
2022年6月3日(金)より、新宿ピカデリーほか全国公開
監督・脚本:阪本順治
出演:伊藤健太郎 小林薫 余貴美子 眞木蔵人 永山絢斗 毎熊克哉 坂東龍汰 河合優実 佐久本宝 和田光沙 笠松伴助 伊武雅刀 石橋蓮司
配給:キノフィルムズ

【ストーリー】 ある港町。専門学校にも行かず、半端な不良仲間とつるみ、友人や女から金をせびってはダラダラと生きる渡口淳(伊藤健太郎)。“ロクデナシ”という言葉がよく似合う中途半端な男だ。両親は埋立て用の土砂を運ぶ海運業を営むが、時代とともに仕事も減り、後継者不足に頭を悩ましながらもなんとか日々をやり過ごしていた。淳はそんな両親の仕事に興味も示さず、親子の会話もほとんどない。そんな折、淳の仲間が何者かに襲われる事件が起きる。そこに浮かび上がった犯人像は思いも寄らぬ人物のものだった…。

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