窪塚洋介「狂ってゆく渦の目を呆然と観ることしかできなかった」著名人絶賛!佐向大監督作『夜を走る』予告編&場面写真

大杉漣主演作『教誨師』で知られる佐向大監督が、足立智充と玉置玲央を主演に迎え、構想9年、オリジナル脚本で現代社会の相貌を描き切った『夜を走る』が、5月13日よりテアトル新宿にて先行公開、5月27日より全国公開されることが決定し、予告編と場面写真がお披露目となった。併せて、各界著名人より本作を絶賛するコメントが寄せられた。

舞台は郊外の鉄屑工場。そこで働く二人の男。ひとりは不器用で上司にも取引先にも軽侮されながら、実家で暮らす秋本。ひとりはうまく世の中をわたってきた谷口。あまりに退屈な、しかし平穏な毎日を送ってきた彼らだったが、ある夜の出来事がきっかけで、二人の日常と運命は大きく揺らぎ始める…。機械も人間もいとも簡単にスクラップ・アンド・ビルドされ、部品の入れ替わりなどお構いなしにぐるぐる回り続ける社会。嘘が嘘を生み、弱い者たちが更に弱い者を叩く。そんな無情な世界の中、それでも通常運転を続ける人間の絶望と再生が、驚きの展開で紡がれていく。

予告編前半、茫漠たる郊外の平野に位置する巨大なスクラップ工場で働く、秋本(足立智充)や谷口(玉置玲央)らの仕事や日常の様子が、二人のたわいもない会話とともに映し出される。だが後半は、スリリリングかつ不穏なトーンで矢継ぎ早に展開され、予想だにしない出来事が次々に起こる劇的なドラマの一旦が垣間見える映像となっている。

場面写真には、主演を務める足立智充、玉置玲央に加え、廣木隆一監督作『夕方のおともだち』でSM女王に扮し話題を集めた菜葉菜、あらゆる役柄に憑依し名バイプレイヤーとして活躍する宇野祥平、さらには松重豊、高橋努、玉井らん、坂巻有紗らの姿が収められる。

▼著名人 絶賛コメント

■窪塚洋介(俳優・アーティスト)
パッとしない何気ない日常。こんなはずじゃなかったという底知れぬ劣等感。そこに差した魔。交錯する人々の“弱さ”が生む負の渦巻き。その真ん中で狂ってゆく渦の目をドキドキしながら呆然と観ることしかできなかった。

■古谷田奈月(小説家)
信じられない。こんなに色々起きるのに、誰も成長しないなんて。正気と狂気の境界線を踏み荒らしながら縦横無尽に突っ走り、観る側をパニックに陥らせておいて、実際には1ミリも前に進んでいないなんて。それなのに、観終えたあと、これは自分の中にもある混沌だと認めざるを得ないなんて。

■樋口毅宏(作家)
「日本映画なんてつまらない」。この、何年かに一本の大傑作を観た後でも、使い古された嘆きを繰り返せるだろうか。登場人物は全員罪人で、何ひとつ問題は解決しないまま、ありていな幸せさえ手に入らず、主人公はありえたかもしれない自分を外側から見つめるだけ。あらゆる予定調和を逸脱し、ありがちな「文芸映画」の枠を大きく超える。生まれたての名作を観終わった後、あなたは別の人間になっているだろう。何ひとつ変わらないまま。

■木澤佐登志(文筆家)
皮膜のように薄っぺらくて空虚な日常。そんな軽すぎる世界に、ハンマーの一撃を喰らわせてやるのだ。粉々に砕け散った世界の向こう側から、途方もない暗黒がこちらを窺っているとも知らずに。そう、現実という名の暗黒が…。

『夜を走る』
2022年5月13日(金)より、テアトル新宿にて先行公開
2022年5月27日(金)より、渋谷ユーロスペースほか全国順次公開
監督・脚本:佐向大
製作:大杉弘美
出演:足立智充 玉置玲央 菜葉菜 高橋努 玉井らん 坂巻有紗 山本ロザ 信太昌之 杉山ひこひこ あらい汎 潟山セイキ 松永拓野 澤純子 磯村アメリ 川瀬陽太 宇野祥平 松重豊
配給:マーメイドフィルム コピアポア・フィルム

【ストーリー】 舞台は郊外の鉄屑工場。そこで働く二人の男。ひとりは不器用で上司にも取引先にも軽侮されながら、実家で暮らす秋本(足立智充)。ひとりはうまく世の中をわたってきた谷口(玉置玲央)。あまりに退屈な、しかし平穏な毎日を送ってきた彼らだったが、ある夜の出来事がきっかけで、二人の日常と運命は大きく揺らぎ始める…。

©2021『夜を走る』製作委員会