「哀しい記憶だけ失うことはできませんか?」記憶喪失男が治療を通して心に宿した思いとは?『林檎とポラロイド』予告編&新場面写真

第77回ベネチア国際映画祭オリゾンティ部門オープニング作品として選出され、さらにケイト・ブランシェットが作品に惚れ込み完成後にもかかわらず、エグゼクティブ・プロデューサーに名乗りを上げたクリストス・ニク監督のデビュー作『林檎とポラロイド』が、3月11日より公開される。このほど、本作の予告編と新場面写真がお披露目となった。

本作は、記憶喪失を引き起こす奇病が蔓延する世界で、突然記憶を失った主人公の男が、治療のための回復プログラム「新しい自分」に参加し、毎日送られてくるカセットテープに吹き込まれた様々なミッションをこなしていくという斬新な設定の物語。自転車に乗る、仮装パーティーで友達をつくる、ホラー映画を見る。そして、その新たな経験をポラロイドに記録する。様々なミッションをこなして行く中で、ある日、男は、同じくプログラムに参加する女と出会い、仲良くなっていく。しかし、「新しい日常」に慣れてきた頃、男は忘れたはずの以前住んでいた番地をふと口にする…。物語が進むにつれて、新しい思い出を作るためのミッションが、男の過去を徐々に紐解いていく。

予告編は、「私は、映画界の新たなる才能にふれ、喜びを感じました」というケイト・ブランシェットの賛辞から始まる。記憶喪失という普通に考えれば一大事が起きたにも関わらず、この世界の患者や医者は飄々とそれに向き合う。記憶をなくす奇病が蔓延した世の中で、主人公の男は病院から薦められた「新しい自分」プログラムに参加することに。「自転車に乗る」「ホラー映画を見る」「仮装パーティーで友達を作る」など日々与えられたミッションをこなす主人公の姿は、いたって真剣で真面目なのに、観る者はどこかおかしく感じてしまう。しかし、男が、同じ治療を受ける仲間と出会いお互いのことを話すうち、親族の迎えがなく身寄りのないことや、ある忘れられない事実が浮かび上がる。冒頭のケイトの言葉で「哀しみの核を持ち、同時に心をくすぐられる映画」と形容された“哀しみの核”とは、一体なんなのか?「哀しい記憶だけ失うことはできませんか?」というキャッチコピーに乗せた、主人公の心の内にある本当の思いとは?

場面写真には、男が宇宙服で挨拶したり、ストリップで女に迫られ身を引いたりと、ミッションの数々が収められる一方で、彼がご近所さんと犬に会うシーンや、物思いにふけるようなカットなど、一人の男が出会うたくさんの出来事が見て取れ、クリストス・ニク監督のこだわりの詰まった世界観が凝縮されている。

『林檎とポラロイド』
2022年3月11日(金)より、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次公開
監督・脚本:クリストス・ニク
脚本:スタヴロス・ラプティス
出演:アリス・セルヴェタリス ソフィア・ゲオルゴヴァシリ
配給:ビターズ・エンド

【ストーリー】 「お名前は?」「覚えていません」…。バスの中で目覚めた男は、記憶を失っていた。覚えているのはリンゴが好きなことだけ。世界は、記憶喪失を引き起こす奇病が蔓延し、治療として「新しい自分」と呼ばれる回復プログラムが行われている。毎日送られてくるカセットテープに吹き込まれた様々なミッションをこなしていく。自転車に乗る、仮装パーティーで友達をつくる、ホラー映画を見る。そして、その新たな経験をポラロイドに記録する。様々なミッションをこなして行く中で、ある日、男は、同じくプログラムに参加する女と出会い、仲良くなっていく。しかし、「新しい日常」に慣れてきた頃、男は忘れたはずの以前住んでいた番地をふと口にする…。「哀しい記憶だけ失うことはできませんか?」口数の少ない主人公が治療を通して心に宿した本当の思いとは…?

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