『黒四角』の奥原浩志監督が、芥川賞作家・小川洋子の禁断の小説を、永瀬正敏と陸夏(ルシア)のダブル主演で映像化する日台合作映画『ホテルアイリス』が、2022年2月18日より公開されることが決定した。併せて、ティザービジュアルと場面写真がお披露目となった。
寂れた海沿いのリゾート地で、日本人の母親が経営するホテル・アイリスを手伝うマリ。嵐の夜、階上に響き渡る悲鳴を聞く。女に暴力と罵声を浴びせ立ち去る男に衝撃をうけながらも、激しく惹かれていく彼女は、やがて男が住む離れ小島へ導かれ、二人だけの禁断の世界にのめり込んでいく…。
主演は、日本を代表する国際的俳優・永瀬正敏。ジム・ジャームッシュや相米慎二はじめ数々の名匠の作品に出演してきた彼が、本作では大人の男の色気を纏うミステリアスなロシア文学翻訳者を演じる。一方マリ役で、本国でモデルやテレビCMで活躍する台湾のアップカミングスター・陸夏(ルシア)が 、映画初出演にして主演という大役を射止めた。複雑なヒロインを可憐に、そして大胆に演じた彼女は、台北映画祭にて次代を担う期待の新人に贈られる“超新人賞”にも選ばれた。また本作の中で異様な存在感を示しているのは、台湾の鬼才ツァイ・ミンリャン監督作品の常連主演俳優で知られるリー・カンション。売店小屋の男役を圧倒的な存在感で演じる。そのほか、マリの母親役に『赤い雪』の菜葉菜、翻訳者の甥役に『菊とギロチン』の寛一郎、マリの父親役に永瀬正敏主演の台湾映画『KANO 1931海の向こうの甲子園』の監督でもあるマー・ジーシャンなど、日台の国際的実力派俳優たちが集結した。
監督は、ロッテルダムや釡山などの国際映画祭で数々の冠に輝き、国内外で高い評価を受ける『波』『黒四角』の奥原浩志。台湾・金門島オールロケを敢行し、小川洋子の残酷で甘美な世界感を忠実に再現しながらも、奥原らしい大胆な解釈も加味して完全映画化。愛と死のイメージを、圧倒的な美しさで描きあげた。また『ソウルメイト/七月と弥生』『少年の君』などデレク・ツァン監督作品で脚光を浴びる女性撮影監督ユー・ジンピンが、クルーとして参加する。
ティザービジュアルには、主演の永瀬正敏と陸夏(ルシア)の愛のシーンがフィーチャーされ、コピーの「かがみのなか・わたしとあなた・あいのはて」が二人の男女のセンシャルな関係を忍ばせるデザインとなっている。本ポスターのデザインは、『戦場のメリークリスマス(リバイバル版)』、『黒衣の刺客』などの成田慧が手掛けた。
『ホテルアイリス』
2022年2月18日(金)より、新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ渋谷、シネ・リーブル池袋ほか全国公開
監督・脚本:奥原浩志
原作:小川洋子「ホテル・アイリス」
出演:永瀬正敏 陸夏(ルシア) 菜葉菜 寛一郎 マー・ジーシャン パオ・ジョンファン 大島葉子 リー・カンション
配給:リアリーライクフィルムズ 長谷工作室
【ストーリー】 寂れた海沿いのリゾート地…そこで日本人の母親が経営するホテル・アイリスを手伝っているマリ(陸夏)は、ある日階上で響き渡る女の悲鳴を聞く。赤いキャミソールのその女は、男の罵声と暴力から逃れようと取り乱している。マリは茫然自失で、ただならぬその状況を静観している。一方で、男の振る舞いに激しく惹かれているもう一人の自分がいて、無意識の中の何かが覚醒していくことにも気づき始めていた。男は、ロシア文学の翻訳家で、小舟で少し渡った孤島で独りで暮らしているという。住人たちは、彼が過去に起きた殺人事件の真犯人ではないかと、まことしやかに噂した。またマリも、台湾人の父親が不慮の事故死を遂げた過去を持ち、そのオブセッションから立ち直れずにいた。男とマリの奇妙な巡り合わせは、二人の人生を大きく揺さぶり始める。
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