クジラのモリ打ち漁に挑むインドネシア・ラマレラ村の人々を30年間追い続けたドキュメンタリー『くじらびと』9月公開!

写真家・映画監督の石川梵が、クジラのモリ打ち漁に挑むインドネシア・ラマレラ村の人々を30年間追い続けたドキュメンタリー『くじらびと』が、9月3日より公開されることが決定した。併せて、ポスタービジュアルがお披露目となり、映画監督であり本作のオフィシャルサポーターである山田洋次より作品を絶賛するコメントも寄せられた。

インドネシア・ラマレラ村。人口1500人、太陽の土地を意味するこの村では、巨大クジラに挑むラマファ(モリ打ち)は誇りであり尊敬を集める存在だ。手造りの舟とモリ1本で、マッコウクジラに挑んでいく。クジラも負けじと舟に体当たりする。そんな生と死が拮抗する漁で得た獲物が、村人の命を支え、彼らは互いの和をもっとも大切にしながら生活している。自然とともに生き、命に感謝し、祈りを捧げ、実に400年もの間変わらぬ伝統の捕鯨を続けながら暮らす“くじらびと”の姿を追い、人間のみならず地球上にともに生きるものたちの眩しいほどに輝く生命力に満ちたドキュメンタリー映画が誕生した。

自然とともに生きるラマレラの人々の日常を繊細に、時に臨場感あふれる映像で捉えたのは、写真家であり映画監督の石川梵。2017年ロングランヒットした『世界でいちばん美しい村』でネパール大震災後懸命に生きる人々を映した彼は、同時にライフワークとして30年間ラマレラ村の人々を追い続けてきた。彼らの生き方への深い理解と互いの信頼関係を30年という長い時間をかけて築いてきた石川監督は、2017年から2019年までの3年間に撮影した映像を本作『くじらびと』として結実させた。

本作では、世界で初めてラマレラでの鯨漁の空撮と水中撮影に成功。ドローンやGoProで撮られた映像から、海中でのクジラの様子や舟との対比を初めて目にすることができる。クジラに体当たりされる舟、緊迫する乗組員たち。その臨場感はスクリーンを超えて見るものに迫って来る。

ポスタービジュアルには、原始的な力に満ち、ラマレラのラマファがまさにモリ一本で水面下のマッコウクジラに飛びかかっていこうとする瞬間が収められる。手造りの舟で、小さな人間が命をかけて巨大クジラに立ち向かう。自分が命を落とすこともある、生と死が隣り合わせな瞬間。400年もの間ここで生き続けてきたラマレラの人々のあり方は、まさに「くじらと生きる」生き様だ。クジラ漁の季節は5月から8月とされる。南国の海の深く美しい色彩の中に、満ちる生のエネルギーが感じられるビジュアルとなっている。

■山田洋次(映画監督) コメント
インドネシアの小さな島に何年も通って作り上げたこの作品を見ていると、美しい映像から吹き出す石川監督のすさまじいエネルギーにぼくは圧倒される。

■石川梵(監督) コメント
1991年写真家だった私は勇壮な鯨漁に魅了され撮影を始めた。撮影は過酷を極め、初めて鯨漁に出会うまで4年、作品になるまで7年かかった。しかし30年を経た今もくじらびとは私を魅了してやまない。そこには大自然の懐に抱かれ、恵みに感謝し、和を尊び、謙虚に生きるあまりに美しい人々の姿があるからだ。その姿が消え去る前に記録として残さなければいけない。それが30年関わった私の使命だと思った。そして今、それがこの映画『くじらびと』という形で結実した。この映画は、私たちにとって、鯨漁の凄さだけではなく、人はいかに生きるべきか、環境や自然とどう向き合うべきかという非常に重く大事なことを語りかけてくれると信じている。

『くじらびと』
9月3日(金)より、新宿ピカデリーほか全国公開
監督・プロデューサー・撮影:石川梵
エクゼクティブ・プロデューサー::広井王子
配給:アンプラグド

【作品概要】 インドネシア・ラマレラ村。人口1500人の小さな村。住民は互いの和を最も大切なものとし、自然の恵に感謝の祈りをささげ、言い伝えを守りながら生活をしている。中でもラマファと呼ばれるくじらのモリ打ち漁師たちは最も尊敬される存在だ。年間10頭獲れれば村人全員が暮らしていける。ともすれば死と隣り合わせのクジラ漁で、それでも彼らはモリ1本で巨大なマッコウクジラに挑む。子供たちは彼らの姿を見て、自分もラマファになりたいと夢を見る。そうして400年、ラマレラの人々はここで暮らしてきた。2018年、ラマファのひとり、ベンジャミンが漁の最中に命を落とした。家族も村民も深い悲しみに暮れる中、父で舟作りの名人・イグナシウスはバラバラになりそうな家族の結束の象徴として、伝統の鯨舟を作り直すことを決心。1年後、彼らの新しい舟はまだ見ぬクジラを目指し大海に漕ぎ出す…。

©Bon Ishikawa