21世紀を代表するSF作家ケン・リュウの傑作短編小説を、『愚行録』『蜜蜂と遠雷』で国内外より注目される石川慶監督が、芳根京子主演で映画化する『Arc アーク』が、6月25日より公開される。このほど、予告編と本ポスタービジュアルがお披露目となった。
人類で初めて永遠の命を得た女性の人生を描く本作。舞台は、そう遠くない未来。放浪生活を送っていたリナは、師となるエマと出会い、彼女の下で“ボディワークス”という仕事に就く。それは最愛の存在を亡くした人々のために、遺体を生きていた姿のまま保存できるように施術(プラスティネーション)する仕事であった。エマの弟・天音はこの技術を発展させ、遂に「不老不死」を完成させる。リナは不老不死の技術を受けた世界初の女性となり、30歳の姿のまま永遠の人生を生きていくことになるが…。
予告編では、芳根京子演じる人類史上初めて永遠の命を得た女性・リナの長い長い人生の一部を垣間見ることができる。舞台はそう遠くない未来、人類は必ず訪れる“死”への抵抗を試みていた…。自由を求めて生きていたリナは<プラスティネーション>という遺体を美しい姿のまま永久に保存する技術の第一人者であり、彼女の人生の師となるエマ(寺島しのぶ)と出会う。リナは彼女の元で初めて<プラスティネーション>の技術に触れ、次第に才能を発揮していく。一方、エマの弟である天音(岡田将生)はストップエイジングによる不老不死の技術を完成させた。この世紀の発明を世間に発表する記者会見で不安を抱えるリナの手を優しく包み込む天音。やがて天音と恋に落ちたリナは彼と過ごす人生で一番幸せな瞬間で歳を重ねることを止め、永遠の若さと命を得る決心をする。しかしこのストップエイジングの技術は「持つ者」と「持たざる者」に世界を二分してしまうことを意味していた…。賛否両論が巻き起こり社会は混乱に陥るが、リナは「これからは私が自分の生き方でそれを証明していきます」と力強く宣言するのであった。
本作では不老不死というSFの王道テーマを描きながらも、映像からは普遍的な自然やレトロな建築物を存分に活かしたロケーションが広がり、むしろどこか懐かしいアナログな世界観が見てとれる。さらに挟み込まれるモノクロの映像では、風吹ジュン、小林薫といった名優たちが本作の鍵を握る老夫婦として登場し、リナの人生に大きな影響を与えていく。映像は「自由に生きなさい。罠にかからないように…」という気になるエマの台詞で締めくくられ、リナが経験する社会や生き様の変化、そして愛する人との出会いと別れが、コロナ禍で変化を余儀なくされ、日々新しい価値観に直面している今の私たちの生活とまさに“地続きな未来”を感じさせる。
本ポスタービジュアルでは、<私は世界に触れる>というキャッチコピーと共にティザービジュアルと同様、リナの決意に満ちた表情が今回は色彩豊かに表現されている。本作で描かれる100年以上の月日を思い起こさせる壮大な世界観を持ったビジュアルから、不老不死が実現した世界でリナが下す決断へ、想像が膨らむ。
『Arc アーク』
6月25日(金) 全国公開
監督・脚本・編集:石川慶
原作:ケン・リュウ「円弧(読み:アーク)」
脚本:澤井香織
音楽:世武裕子
出演:芳根京子 寺島しのぶ 岡田将生 清水くるみ 井之脇海 中川翼 中村ゆり 倍賞千恵子 風吹ジュン 小林薫
配給:ワーナー・ブラザース映画
【ストーリー】 17歳で生まれたばかりの息子と別れ、放浪生活を送っていたリナ(芳根京子)は、19歳で師となるエマ(寺島しのぶ)と出会う。彼女は大手化粧品会社エターニティ社で、“ボディワークス”という仕事に就く。それは最愛の存在を亡くした人々のために、遺体を生きていた姿のまま保存できるように施術(プラスティネーション)するもので、悲しみを乗り越えたい人々からの依頼は絶えることがなかった。一方、エマの弟で天才科学者の天音(岡田将生)は、その技術を発展させ、姉と対立しながら「不老不死」の研究を進めていた。30歳になったリナは天音と共に、「不老不死」の処置を受ける人類史上初の女性となり永遠の命を得た。やがて、不老不死が当たり前となった世界は、人類を二分化していくこととなり、同時に混乱と変化を生み出していった。果たして不老不死が生み出した未来の先にリナが見たものとは…?
©2021 映画『Arc』製作委員会