東出昌大「羽毛のように柔らかい函館の西陽を受けながら皆で作った映画」『草の響き』今秋公開!

夭折の小説家、佐藤泰志が1982年に発表した本格的な文壇デビュー作を、東出昌大主演で佐藤泰志の没後30年記念作品として製作した『草の響き』が、今秋公開されることが決定した。

佐藤泰志作品の映画化は、函館の映画館シネマアイリス代表・菅原和博によるプロデュースのもと、2010年の『海炭市叙景』(熊切和嘉監督)よりスタート。以降、2014年『そこのみにて光輝く』(呉美保監督)、2016年『オーバー・フェンス』(山下敦弘監督)、2018年『きみの鳥はうたえる』(三宅唱監督)と、常に高評価を得てきた。本作は昨年の11月よりクランクインし、このほど完成した。

監督は、1985年PFFに入選後、長谷川和彦監督に師事し、1997年『フレンチドレッシング』でデビューした斎藤久志。2013年『なにもこわいことはない』が第26回東京国際映画祭「日本映画スプラッシュ部門」に出品。以降、荒井晴彦企画『空の瞳とカタツムリ』(2019)を監督するなど、寡作ながら常に質の高い映画作品を生み出してきた。

主演を務めるのは近年、『スパイの妻 劇場版』、『BLUE/ブルー』などで印象的な役柄をこなす東出昌大。『寝ても 覚めても』以来、実に3年ぶりとなる待望の主演作となる。東出が演じる役柄は、精神に失調をきたし、ふるさとである函館に妻と戻った男・工藤和雄。働くことが出来ない彼は、精神科に通いながら、晴れの日も雨の日も精神の治療のために函館の街を走り続ける。そんな彼が、路上で出会った若者と心を通わすようになっていくことで何かが変わり始める…。今回、東出を主演に抜擢した経緯として「若かりし頃の佐藤泰志の分身のような男が、函館の街を一人黙々と走る。そのイメージを考えた時に、東出昌大さん以外に思いつかなかった」とプロデューサーの菅原は語る。函館に広がる風景を舞台に、この風変りでストイックな役どころをどのように東出が演じるのか興味は尽きない。

■東出昌大 コメント
心を病んだ男がそれでも毎日走る理由は、きっと「良くなりたい」からだと思います。そして「良い」とは何なのか。羽毛のように柔らかい函館の西陽を受けながら、皆で作った映画です。楽しみに待っていてください。

『草の響き』
今秋公開
監督:斎藤久志
出演:東出昌大
配給:コピアポア・フィルム