高橋伴明監督「催眠術に陥るのは何故」、行定勲監督「小さな希望を感じさせてくれる」著名人絶賛!藤原季節『のさりの島』予告編

2019年に単館系の映画としては異例の大ヒットとなった『嵐電』に続く、京都の映画製作プロジェクト・北白川派が送る最新作で、『his』、『佐々木、イン、マイマイン』の藤原季節主演作『のさりの島』が、5月29日より公開される。このほど、予告編がお披露目となり、併せて、各界著名人より本作を絶賛するコメントが寄せられた。

本作は、ゆったりとした時間が流れる熊本・天草を舞台に、天草にさまよいこんでしまったオレオレ詐欺をする若者と、彼を孫の“将太”として招きいれた老女の奇妙な生活を描いたヒューマンドラマ。

▼著名人 絶賛コメント

■高橋惠子(女優)
「もっと、もっとゆっくり歩いて!」『カミハテ商店』の現場での山本監督の声がよみがえる。“のさりの島”を観て、これが山本さんの表現リズムなのだと改めて思う。原知佐子さんの不思議な微笑みはそのリズムを確信的に体現していた。

■高橋伴明(映画監督)
サスペンス要素を多分に孕む映画であるはずなのに、山本起也というフィルターを透ると、汀に淡々と寄せては返す波に自らの来し方の自問自答を促されるような催眠術に陥るのは何故だろう。1月19日、原知佐子さんの御命日に。

■阪本順治(映画監督)
山本起也監督が、『ツヒノスミカ』を発表したのは2006年。ご自身の90歳の祖母を被写体としたドキュメンタリーだ。そのお祖母さまとこの作品のばあちゃんは重なってみえる。共通するのは、静かなたたずまいと迷いのない意志だ。『のさりの島』を観始めてすぐ、ばあちゃんこと、原知佐子さんに心を持っていかれ、細やかなしぐさやことばの耳障り、それらすべてになにもかもを預けてみたい欲望にかられた。「のさり」の意味そのままに、こちらは身構えることもなく、受け入れてもらえるような安心感がそこはかとなく、まちがいなく。以前の穏やかな日常をわすれてしまいそうないま、この『のさりの島』という土地をたずねれば、わたしたちのあしたに繋がる風景がきっとみつかるはず!傑作!

■中村高寛(映画監督)
オーソドックスな映画だ。登場する人物たち、町とその歴史、それぞれの記憶と感情が丁寧に紡がれていく。決して何かを声高に訴えることもなく、派手さも奇をてらうこともない。地方都市「天草」を舞台としながらも、いまの「日本」の姿を見つめようとしている。そしてその眼差しは限りなく優しい。

■行定勲(映画監督)
天草の海はいつも懐かしく、風は固くなった心を溶かしてくれる。錆れゆく町に立ち止まって、ゆっくり人生を考えて、もう一度、ちゃんと生きてみようと小さな希望を感じさせてくれる映画でした。

『のさりの島』
5月29日(土)より、ユーロスペースほか全国順次公開
監督・脚本:山本起也
プロデューサー:小山薫堂
音楽:谷川賢作 小倉綾乃 藤本一馬
出演:藤原季節 原知佐子 杉原亜実 中田茉奈実 宮本伊織 西野光 小倉綾乃 水上竜士 野呂圭介 外波山文明 吉澤健 柄本明
配給:北白川派

【ストーリー】 「もしもしばあちゃん、俺だけど…」オレオレ詐欺の旅を続ける若い男(藤原季節)が、熊本・天草の寂れた商店街に流れ着いた。老女の艶子(原知佐子)は、若い男を孫の“将太”として招きいれる。あたたかいお風呂、孫が好きな美味しい料理、そしてやさしいばあちゃん。若い男はいつの間にか、“将太”として艶子と奇妙な共同生活を送るようになり、やさしい“嘘”の時間に居場所を見つけていく。地元FM局のパーソナリティを務める清ら(きよら)は、昔の天草の8ミリ映像や写真を集め、商店街の映画館で上映会を企画する。ひょんなことから“将太”も、上映会の企画チームに連れ込まれてしまう。賑わいのあった頃の天草・銀天街の記憶を取り戻そうと夢中になる清ら。かつての銀天街の痕跡を探す中で、艶子の持っていた古い家族アルバムに、“将太”は一枚の写真を見つける。本渡の大火、焼け跡を片付ける町の人々、復興後の祭りの様子…。街に流れるブルースハープの音色と共に、スクリーンに映し出された天草のかつての記憶。「将太さん、本当はどこのひとなの…」。

©北白川派