藤原季節がオレオレ詐欺を働き、老女と奇妙な生活をスタート『のさりの島』新公開日は5月29日に!ポスタービジュアル&場面写真

2019年に単館系の映画としては異例の大ヒットとなった『嵐電』に続く、京都の映画製作プロジェクト・北白川派が送る最新作で、『his』、『佐々木、イン、マイマイン』の藤原季節主演作『のさりの島』。新型コロナウイルスの感染状況を鑑みて2020年秋の劇場公開が延期されていたが、このほど、新たな公開日が5月29日に決定した。併せて、ポスタービジュアルと場面写真がお披露目となった。

本作は、ゆったりとした時間が流れる熊本・天草を舞台に、天草にさまよいこんでしまったオレオレ詐欺をする若者と、彼を孫の“将太”として招きいれた老女の奇妙な生活を描いたヒューマンドラマ。

タイトルの「のさり」とは、いいこともそうでないことも、自分の今ある全ての境遇は、天からの授かりものとして否定せずに受け入れるという、天草の優しさの原点ともいえることば。「のさり」のやさしさ、天草の持つ人間性が心に染み渡り、“その土地に暮らす”ということの重みと、ひとの繋がり、心の交流が、胸にじんわりと時を刻んでいく。

群れから離れるようにオレオレ詐欺の旅を続ける主人公に扮するのは、『his』、『佐々木、イン、マイマイン』にて、第42回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞を受賞、大河ドラマ「青天を衝け」、映画『くれなずめ』など話題作への出演が続く、今最も旬な俳優・藤原季節。ふと“嘘”の日常に溶け込んでしまう、さまよえる若者を好演する。そして、オレオレ詐欺の男を孫として迎え、奇妙な同居生活を送るつかみどころのないお茶目な老女役を演じるのは原知佐子。本作が原の遺作となる。

監督は、『おくりびと』の小山薫堂をプロデューサーに、海外でも高い評価を得た『カミハテ商店』の山本起也が務める。

■上野昻志(評論家) コメント
一見、とらえどころがない作品に思えるが、そこには、作り手の周到な設計が施されている。緩やかな時間の流れ。それが、この映画をさりげなくも豊かに律しているのだ。

■小山薫堂(プロデューサー) コメント
新型コロナウイルスという脅威に人類が翻弄されている今。多様な価値観を認め合うことが必要とされる今。そんな時代に「のさり」という天草弁に出会うことで、人の心は少しだけ軽くなります。のさりとは、良いことも悪いことも天からの授かりもの、という考え方。それはあらゆる苦難を乗り越える力であり、自分とは違う考えを認める力であり、全てのものに愛を持って接する優しさの力です。『のさりの島』という作品が、コロナ禍における心のサプリメントになることを信じています。

■山本起也(監督) コメント
嘘、という言葉はあまり良い意味で使われませんが、嘘の中でこそ救われる、ということがあると思ったのです。あるいは、この映画の台詞を借りれば「まやかしでも、人には必要な時があっど(ある)」ということかもしれません。オレオレ詐欺の男と、電話を受けたおばあさん。二人がついた嘘が、寂れた街のシャッターの向こうで、いつしか本当になる。ふと訪れた天草でこの映画の話をしたところ、そこに居合わせた方がこう答えました。「監督、そん話、天草だとあるかもしれんばい」この映画は天草で撮らねばならない、そう心に決めた瞬間でした。

『のさりの島』
5月29日(土)より、ユーロスペースほか全国順次公開
監督・脚本:山本起也
プロデューサー:小山薫堂
音楽:谷川賢作 小倉綾乃 藤本一馬
出演:藤原季節 原知佐子 杉原亜実 中田茉奈実 宮本伊織 西野光 小倉綾乃 水上竜士 野呂圭介 外波山文明 吉澤健 柄本明
配給:北白川派

【ストーリー】 「もしもしばあちゃん、俺だけど…」オレオレ詐欺の旅を続ける若い男(藤原季節)が、熊本・天草の寂れた商店街に流れ着いた。老女の艶子(原知佐子)は、若い男を孫の“将太”として招きいれる。あたたかいお風呂、孫が好きな美味しい料理、そしてやさしいばあちゃん。若い男はいつの間にか、“将太”として艶子と奇妙な共同生活を送るようになり、やさしい“嘘”の時間に居場所を見つけていく。地元FM局のパーソナリティを務める清ら(きよら)は、昔の天草の8ミリ映像や写真を集め、商店街の映画館で上映会を企画する。ひょんなことから“将太”も、上映会の企画チームに連れ込まれてしまう。賑わいのあった頃の天草・銀天街の記憶を取り戻そうと夢中になる清ら。かつての銀天街の痕跡を探す中で、艶子の持っていた古い家族アルバムに、“将太”は一枚の写真を見つける。本渡の大火、焼け跡を片付ける町の人々、復興後の祭りの様子…。街に流れるブルースハープの音色と共に、スクリーンに映し出された天草のかつての記憶。「将太さん、本当はどこのひとなの…」。

©北白川派