小椋佳「島田叡の凄味に感化」戦時中、“生きろ”と言い続けた島田叡の半生に迫る『生きろ 島田叡-戦中最後の沖縄県知事』予告編

ドキュメンタリー映画『米軍が最も恐れた男 その名は、カメジロー』2部作で大きな注目を集めた佐古忠彦監督が、知られざる沖縄戦中史に挑んだ新たなる野心作『生きろ 島田叡-戦中最後の沖縄県知事』が、3月6日より沖縄・桜坂劇場にて先行公開、3月20日より全国公開される。このほど、本作の予告編がお披露目となり、併せて、主題歌「生きろ」を担当した小椋佳よりコメントが寄せられた。

太平洋戦争末期。すでに日本の敗色濃厚だった1945年1月31日、一人の男が沖縄の地を踏んだ。戦中最後の沖縄県知事となった島田叡(しまだあきら)である。知事着任と同時に島田はさまざまな施策を断行。米軍が沖縄本島に上陸した後は、壕(自然洞窟)を移動しながら行政を続けた。だが、戦況の悪化に伴い、大勢の県民が戦闘に巻き込まれ、日々命を落としていく。また、島田自身も理不尽極まりない軍部からの要求と、行政官としての住民第一主義という信念の板挟みになり、苦渋の選択を迫られる…。戦時下の教育により、捕虜になるよりも玉砕こそが美徳とされた時代、島田はしかしそれに抗い、周りの人々に何としても「生きろ」と言い続けていた。その考え方はどのように育まれてきたのか。

本作は、沖縄戦を生き延びた住民たち、軍、県の関係者、その遺族への取材を通じ、これまで多くを語られることのなかった島田叡という人物の生涯と、語り継ぐべき沖縄戦の全貌に迫った長編ドキュメンタリー。

予告編は、沖縄戦の記録映像に始まり、「オレは死にとうないから、誰かが行って死んでくれとはよう言わん」という佐々木蔵之介のナレーションによる島田叡の決意が語られた後、戦時中、島田と行動を共にした住民たちがその人物像を伝える内容となっている。映像中盤からは、小椋佳による主題歌「生きろ」が流れ、タイトル通りの前向きなメッセージによって締めくくられる。

■小椋佳(主題歌) コメント
ラストアルバム用の作品創りの真っ最中であった私に、本作の主題歌制作の依頼を受けた。今年喜寿を迎え、老いを痛感する日々で、ラストアルバム用に書いたほとんどが「死」を意識した内容もしくは人生を振り返るものとなっている。その中で、本作用に書いた「生きろ」は、戦火の中、死の淵に立たされていた人々を「生きる」という道に誘った島田叡の凄味に感化され、生きることを強く奨める楽曲になった。島田叡によって生きながらえた人々の証言を聞き、私ももう少し余生のおまけとして生きてる命を享受してみようと思うに至った。

『生きろ 島田叡-戦中最後の沖縄県知事』
3月6日(土)より、沖縄・桜坂劇場にて先行公開
3月20日(土)より、ユーロスペースほか全国順次公開
監督:佐古忠彦
プロデューサー:藤井和史 刀根鉄太
主題歌:小椋佳「生きろ」
語り:山根基世 津嘉山正種 佐々木蔵之介
配給:アーク・フィルムズ

©2021 映画『生きろ 島田叡』製作委員会