オスカー常連の映画製作スタジオA24とPLAN Bのタッグ作で、1980年代、農業で成功することを夢見てアメリカ南部のアーカンソー州に移住してきた韓国人一家を描き、サンダンス映画祭をはじめ世界の映画祭で観客賞を総なめにした『MINARI(原題)』が、邦題『ミナリ』として2021年3月19日より公開されることが決定した。
『ムーンライト』、『レディ・バード』など作家性の強い作品で今やオスカーの常連となったA24と、『それでも夜が明ける』でエンターテイメントの定義を変えたブラッド・ピットのPLAN Bがタッグを組んだ本作。主人公は、韓国出身の移民の一家。父親は農業で成功したいと夢見てアメリカ南部のアーカンソー州の大地に広大な土地を買うが、現実は厳しく、一家には様々な困難と予想もしない事件が降りかかる。
「ミナリ」とは、韓国の芹(セリ)を指す。水辺に育ち、独特の香りと歯ごたえに特徴があるが、2度目の収穫のほうがおいしいとされる。成長した子供世代の幸せを願う親の気持ちをこめたダブルミーニングのタイトルになっている。
父親、ジェイコブ役を演じるのは、『バーニング 劇場版』や「ウォーキング・デッド」のスティーヴン・ユァン。監督は、米国有力映画メディア「インディワイア」で「今年最高の監督10人」に、デヴィッド・フィンチャーやスパイク・リーと共に選ばれたリー・アイザック・チョン。新海誠監督の『君の名は。』のハリウッド版の監督として抜擢された大注目の新鋭である。
本作は、今年1月開催の第36回サンダンス映画祭で観客賞とグランプリの2冠に輝いたのを嚆矢に、各国の映画祭の観客賞を総なめにして快進撃中。また、辛口批評サイトロッテントマトでは、12月23日時点で完全無欠の100%を更新中だ。メディアや観客は「“普通の小さな家族”が巻き起こした“特別で巨大な熱狂”!」、「『パラサイト 半地下の家族』に続きアカデミー賞で波乱を起こす作品」と高評価し、評論家も「小津安二郎監督作品のような繊細な人間模様を描いている」と大絶賛。ハリウッド・リポーター誌、ヴァラエティ誌ほか有力誌もこぞってアカデミー賞有力作品として名を挙げている。
理不尽かつ不条理な運命に翻弄されながらもまた立ち上がり、一歩一歩、大地を踏みしめるように困難を乗り越えていく一家の姿は、誰もが困難な現実に直面している今こそ求められる希望の物語だろう。新たなる“家族映画”のマスターピースとして人々の記憶に残るに違いない。
『ミナリ』
2021年3月19日(金)より、TOHOシネマズ シャンテほか全国公開
監督・脚本:リー・アイザック・チョン
出演:スティーヴン・ユァン ハン・イェリ ユン・ヨジョン ウィル・パットン スコット・ヘイズ
配給:ギャガ
【ストーリー】 1980年代、農業で成功することを夢みる韓国系移民のジェイコブ(スティーヴン・ユァン)は、アメリカはアーカンソー州の高原に、家族と共に引っ越してきた。荒れた土地とボロボロのトレーラーハウスを見た妻のモニカ(ハン・イェリ)は、いつまでも心は少年の夫の冒険に危険な匂いを感じるが、しっかり者の長女アンと心臓に病を持つが好奇心旺盛な弟のデビッドは、新しい土地に希望を見つけていく。まもなく毒舌で破天荒な祖母も加わり、デビッドと一風変わった絆を結ぶ。だが、水が干上がり、作物は売れず、追い詰められた一家に、思いもしない事態が巻き起こる。
Photo by Melissa Lukenbaugh, Courtesy of A24