「夢のためにも犠牲が必要だ!」米に移住した韓国人一家の物語『ミナリ』予告編&ポスタービジュアル

オスカー常連の映画製作スタジオA24とPLAN Bのタッグ作で、1980年代、農業で成功することを夢見てアメリカ南部のアーカンソー州に移住してきた韓国人一家を描き、サンダンス映画祭をはじめ世界の映画祭で観客賞を総なめにした『ミナリ』が、3月19日より公開される。このほど、予告編とポスタービジュアルがお披露目となった。

主人公は、韓国出身の移民の一家。父親は農業で成功したいと夢見てアメリカ南部のアーカンソー州の大地に広大な土地を買うが、現実は厳しく、一家には様々な困難と予想もしない事件が降りかかる。

予告編は、一家がアメリカ南部のアーカンソー州に移住してくるシーンから始まる。雑草だらけの荒野、打ち捨てられたようなトレーラーハウスを自慢げに披露する父親のジェイコブ(スティーヴン・ユァン)の傍ら、不安と不満顔の母親モニカ(ハン・イェリ)。農業での成功を夢見るジェイコブの満足げな笑みとは対照的に、モニカは、病院もない土地での生活を勝手に決めてしまった夫に納得いかない様子。明るくも不思議なトーンの音楽と、白人ばかりの教会で一家の居心地の悪そうな様子が、新生活への不安と期待が混ざり合う彼らの複雑な気持ちを演出している。一方、子どもたちの関心は、一緒に住むことになった祖母(ユン・ヨジョン)について。文字も読めず、毒舌家で破天荒な祖母に戸惑う姉弟。しかし本作のタイトルでもある、「雑草みたいに強い」と祖母が教えてくれた“ミナリ(セリ)”を通じて絆を深めていく繊細な描写が垣間見え、A24ならではの“豊かなドラマ性”に期待が高まる。さらには、「子どもたちに成功した姿を見せてやりたい」と願うジェイコブと、子どもたちの安全な暮らしを願うモニカが、激しくもぶつかり合いながらも、家族として逞しく成長していく様子が映し出される。しかし、「今日が終わる。また明日がくる」という優しいナレーションから一転、禍々しい炎をあげて暗闇に燃えあがる小屋のカットで映像が終わってしまう。一体、彼らに何が起こったのか…。

ポスタービジュアルは、晴れでもなければ荒天でもない空模様の下で、明日への希望と不安を見据えるかのような家族の眼差しが印象的だ。

『ミナリ』
3月19日(金)より、TOHOシネマズ シャンテほか全国公開
監督・脚本:リー・アイザック・チョン
出演:スティーヴン・ユァン ハン・イェリ ユン・ヨジョン ウィル・パットン スコット・ヘイズ
配給:ギャガ

【ストーリー】 1980年代、農業で成功することを夢みる韓国系移民のジェイコブ(スティーヴン・ユァン)は、アメリカ南部のアーカンソー州の高原に、家族と共に引っ越してきた。荒れた土地とボロボロのトレーラーハウスを見た妻のモニカ(ハン・イェリ)は、いつまでも心は少年の夫の冒険に危険な匂いを感じるが、しっかり者の長女アンと心臓に病を持つが好奇心旺盛な弟のデビッドは、新しい土地に希望を見つけていく。まもなく毒舌で破天荒な祖母も加わり、デビッドと一風変わった絆を結ぶ。だが、水が干上がり、作物は売れず、追い詰められた一家に、思いもしない事態が巻き起こる。

Photo by Melissa Lukenbaugh, Courtesy of A24