折坂悠太「エンドロールの先に来る季節を想いながら音を添えた」主題歌を担当!仲野太賀『泣く子はいねぇが』予告編

是枝裕和監督が率いる映像制作者集団“分福”の新進気鋭の才能、佐藤快磨(さとうたくま)監督の劇場デビュー作で、仲野太賀が主演、吉岡里帆、寛一郎が共演する『泣く子はいねぇが』が、11月20日に公開される。このほど、本作の主題歌が折坂悠太による書き下ろし楽曲「春」に決定し、併せて、予告編がお披露目となった。

本作は、監督・脚本・編集を務めた佐藤快磨が、秋田県・男鹿半島の伝統文化「ナマハゲ」から、“父親としての責任”、“人としての道徳”というテーマを見出し、親になることからも、大人になることからも逃げてしまった主人公が、過去の過ちと向き合い、不器用ながらも青年から大人へ成長する姿を描いた完全オリジナル作品。

子供が生まれてもなお父親の自覚がないたすく(仲野太賀)は、育児に疲れ果てた妻のことね(吉岡里帆)から「なーんにも考えてないでしょ」と突き放され、返す言葉もない。男鹿の伝統行事「ナマハゲ」で大失態を犯し、家族を置いて逃げるように上京したもののそこにも居場所はなく、失ったものを取り戻したい一心で2年ぶりに帰省する。しかし周囲の目は冷たく、兄・悠馬(山中崇)には「帰ってきてみただけなんだべ、許してもらえるかもって」と浅はかな気持ちを見透かされる始末。さらに、再会したことねからは「再婚する」と告げられる。それでもことねの力になりたいと食い下がるたすくだが、「じゃあ払える?養育費とか、慰謝料とか」と現実を冷酷に突きつけられるのだった。大人にも父親にもなりきれない未熟な自分を痛感しながらも、なかなか変わることができないもどかしさ。そんなたすくが絞り出すように呟いた「俺が父親だよ」という決意の言葉。大切なものを失ってしまったたすくが最後に爆発させた思いとは…。たすく演じる仲野太賀渾身の「泣く子はいねぇが!」という熱い叫びに思わず心揺さぶられる予告編となっている。

本映像を盛り上げるのは、数々の著名アーティストからも絶賛される音楽界の新進気鋭、折坂悠太が本作のために書き下ろした主題歌「春」。2018年10月に発売した2ndアルバム「平成」がCDショップ大賞を受賞し、2019年にはドラマ「監察医 朝顔」の主題歌に抜擢、同ドラマシーズン2の主題歌続投も決定するなど益々注目が集まる折坂は、詩的な言葉と世界各地のルーツミュージックを吸収した音楽性で唯一無二の存在感を放つシンガーソングライターだ。本作へ起用されたきっかけは、撮影中に、主演の仲野から折坂の楽曲が本作の世界観にぴったりだという提案から始まった。曲を聞いたプロデューサーや監督は折坂の作品に強く惹かれ、主題歌だけでなく劇伴も依頼。交渉の末、今回初めて折坂が映画主題歌、そして、劇中に流れる楽曲全般も手掛けることとなった。幼少期にロシアやイランで過ごした折坂のバックボーンを活かした多様で、多彩な楽器から生み出された音楽は、伝統文化を題材にした本作に“現代”というエッセンスを加えている。そんな映画の世界観を存分に活かしたエンターテイメント感あふれる楽曲にも注目だ。

■折坂悠太(音楽・主題歌) コメント
どうだろう。男鹿の土の中で眠る種や幼虫は、芽吹き、這い出す自らの行く末を考えるか。ただ今を、今だと思い、うごめき、もだえているのではないだろうか。この映画は土の中を映す。芽吹く希望を今は知らない、あいつと私。それを映す。エンドロールの先に来る季節を想いながら、音を添えさせてもらいました。是非ご覧ください。

『泣く子はいねぇが』
11月20日(金)より新宿ピカデリー他全国ロードショー
監督・脚本・編集:佐藤快磨
企画:是枝裕和
音楽:折坂悠太
主題歌:折坂悠太「春」
出演:仲野太賀 吉岡里帆 寛一郎 山中崇 余貴美子 柳葉敏郎
配給:バンダイナムコアーツ/スターサンズ

【ストーリー】 秋田県・男鹿半島で暮らす、たすく(仲野太賀)は、娘が生まれ喜びの中にいた。しかし妻・ことね(吉岡里帆)は、子供じみていて父になる覚悟が定まらない様子のたすくに苛立ちを募らせていた。そんな中たすくは、ことねに「酒を飲まずに早く帰る」と約束を交わし、大晦日の夜、地元の伝統行事「ナマハゲ」に、例年通り参加する。しかし、結果酒を断ることができずに泥酔したたすくは、溜め込んだ鬱憤を晴らすように「ナマハゲ」の面をつけたまま全裸で男鹿の街へ走り出す。そしてその姿がテレビで全国放送されてしまうのだった。ことねには愛想をつかされ、地元にも到底いられず、東京へ逃げてしまうたすく。しかし2年の月日が流れても、東京に居場所は見つからず、徐々に「ことねと娘に会いたい」という想いが強くなっていく。ようやく、自らの愚行と向き合うことを決め、地元に戻ってきたが、仕事は簡単には見つからず、ことねと会うことも叶わず、状況は容易いものではないのだった…。

©2020「泣く子はいねぇが」製作委員会