草彅剛「もう僕はアイドル卒業なのかと思ったら…みなさんがコロナ対策をしてくれていた!」登壇時、声援がなくて不安になるも…?

草彅剛を主演に迎え、Netflix「全裸監督」、『下衆の愛』の内田英治監督が完全オリジナル脚本で贈る映画『ミッドナイトスワン』が、9月25日より公開中。このほど、9月27日にTOHOシネマズ 六本木ヒルズにて「観客前!生中継付き公開記念舞台挨拶イベント」が行われ、キャストの草彅剛、服部樹咲、水川あさみ、そして内田英治監督が登壇した。

全国145館に生中継された本イベント。はじめに、草彅は「みなさん、こんにちは。コロナの大変な中、劇場に足を運んでくださって、ありがとうございます。すごい感謝しています。登場したときに声援がなかったのは初めての経験なので、もう僕はアイドル卒業なのかなんて思いましたが、みなさんがコロナ対策をしてくれていることにとても感謝しております」とニッコリと挨拶。そして「リアクションがないので、ウケているのかすべっているのかわからない状況の中で(笑)、たくさんの方が努力し、この映画が公開され、みなさんに届けられることを幸せに思っています。僕たち出演者、そしてスタッフが一丸となってとてもいい作品を作り上げました。今、デジタルの力で全国の映画館の方にも僕の今の顔が届いています(全国の会場に向かって手を振る)。映画はとても素晴らしいものになりましたので、ぜひ、お楽しみください」と感謝の意を述べた。

続いて、服部は「はじめまして。今日は貴重なお休みの時間を割いて、劇場に足を運んでくださってありがとうございます。みなさんがSNSなどで盛り上げてくれていることがすごく嬉しいです。今日、終わった後にさらに盛り上がるといいなと思っています。よろしくお願いいたします」、水川は「こんにちは。大変な状況下で、劇場に足を運んでくださったことを嬉しく思います。さまざまな愛の形をテーマにした映画だと思っています。映画館で観れる素晴らしさを体感して帰ってほしいです」、内田監督は「今日はありがとうございます。コロナ禍の大変な中、一度はストップした作品が、こういう形でスクリーンで公開できるという状況を、2、3ヶ月前は想像できませんでした。この時を迎えられてよかったです。オリジナル作品だということもあり、身内ウケの作品とか言われて、少し自虐的になっていますが、劇場来たときに大ヒットしていることを伺い、やっと呪縛から逃れられる気がしています。今日はよろしくお願いいたします」と嬉しそうに語った。

母親になるという難しい役どころについて、草彅は「これまで経験のない役でした。いろいろなインタビューでも答えているけれど、今までで一番難しい役だったと思います。だから、普通はすごく考えて向き合わないとできない役なのですが、今回は、何も考えずに自然に演じることができました。それは、監督がひっぱってくれたことも大きいけれど、(服部)樹咲ちゃんと、(水川)あさみさんにひっぱってもらったこともすごく大きいと思っています。役も作品も一人では作ることはできないことを改めて実感しました。みんなでひとつの方向に向かっていると、奇跡が起きると感じました」と撮影時を振り返った。そして本作が女優デビュー作となった服部は「小さい頃から続けていたバレエでこの映画に貢献できたことがうれしいです。心配だった演技も、草彅さんや水川さんに助けられていいシーンになっていました。改めて感謝の気持ちを伝えたいです。本当にありがとうございました」とコメント。この言葉に、草彅と水川が「こちらこそ」と声を揃えてお辞儀をする場面もあり、草彅が「みんなが支え合った、そうじゃないとできない作品でした」と口にすると、会場からは大きな拍手が贈られた。さらに水川は「心が痛い役でしたが、愛の大きさ、深さがそれぞれ違うんだなということを踏まえて、ネグレクトだけをフィーチャーしないで演じることができました」と撮影時の心境を明かした。

また、お互いの母っぷりについて尋ねられると、水川は「母親っぷりという点では私のほうが全然負けてました」と即答。すると草彅が「お互い違う立場の母親でした。お互い一果のことが好きだけど、表現の仕方が違います」と解説し、水川の顔を覗き込みながら「あさみちゃんが怖かったです。見事な演技で、迫力があってすごく怖かったです」と水川の演技を絶賛した。「怖かった」を連発された水川が「うふふふ、あははは」と照れる様子をみせると、草彅は「しょうがないんですよね、お仕事ですから。お芝居ですからね。僕もそうですけれど、あさみさんもふりきっていて、それが伝わってきました。すごいクライマックスになっています」と満足の表情を浮かべていた。

注目してほしいシーンについて、内田監督は「3人の関係性です。水川さんが演じた母親も、凪沙も愛情ある母親です。微妙な関係性ですが、芝居というか、演技じゃなかったように感じました。そのあたりを観て(感じて)ほしいと思います」と3人の演技を振り返った。続けて、「SNSで評判がいいよと言われても、なかなか信用できない状況でした。オリジナル脚本で、こういったテーマでヒットするのはなかなか難しいことなんです。信じられなかったけれど、今日、この場に来て、スクリーンで観てくれている皆さんを見て、多くの人に受け入れられていることを実感しました」と嬉しそうに語った。

撮影現場の様子について聞かれた草彅は、「撮影がスムーズでした。なんていうんだろう、荒波を立てずにというか。職人の方が多い現場だと、“早くしろよ!”“何やってんだよ!”“早くレール引け!”といった声も飛び交うのですが、監督の方針なのか、そういうのが全くない、とても穏やかな現場でした。その分、作品の中ではめちゃくちゃ罵声を浴びていたのですが、カメラ回っていないところはとても穏やかで、今っぽさ?を感じました」と感想を述べた。服部は「優しいスタッフの方も多く、怒る声は聞いていません。とても穏やかな現場でした」と振り返り、水川も笑いながら「穏やかでした。あと、剛さんもすごく集中していました」と明かした。すると草彅は「みなさん、品がある方が多かったのかな?」と分析。続けて、「やっぱり品は大事です、今の時代ね、”今でしょ!”」とコメントしながら「あれ、このギャグ古いの?反応がないからウケているのかすべっているのかもわからなくていいね」と笑顔で語り、会場の笑いを拍手という形で誘った。

ここで、愛を描いた映画にちなみ、「愛の告白を」するコーナーへ。草彅は愛犬のクルミちゃんに向けて「いつも癒してくれるクルミちゃん。パパは、今日は六本木の映画館でお仕事をしています。あなたのご飯代を稼ぐためにがんばります」とコメント。そして「あれ、これ、今、言うことかな?」と自分自身にすかさずツッコミを入れ、さらに「今(言うこと)でしょ!」と会場に問いかけた。会場から拍手が沸き起こると、「本当は、大爆笑したいところを、コロナ対策に協力して抑えて、抑えて我慢してくれているみなさんに感謝します」とお辞儀し、「逆にこういうのもいいかもね。感想を心の中に止めるというのも逆に品があっていいのかも」と付け加えた。服部は、「愛の告白かはわからないけれど、監督の第一印象が怖くて近付きづらいと思ったけれど、話してみたらとても優しくて、笑顔がチャーミングでした。そのギャップがすごくいいと思いました」と告白。これに対し、内田監督は「僕、彼女のお父さんと同い年くらいなんです。何を言ってもツンとした感じだったけど、嫌われていないと分かってよかったです」と安堵した様子だった。水川は「ここにいるすべてのお客様へ。こんな状況の中、劇場に来てくださったことに感謝したいです。お互いに知らない人たちが一つの作品を観て、感動したり笑ったり怒ったりする。映画館という空間って特別だと思います。それを共有できる方たちに”好きです”って言いたいです」と改めて感謝の意を述べ、内田監督は「出演者はもちろん、スタッフに愛を送りたいです。スタッフみんなが作品を愛してくれて出来上がりました。そして、SNSなどで盛り上げてくれた方たちにも感謝したいです。あれがなければ、ここまで作品の評判は広がらなかったと思っています。そして、全国の劇場に来てくださった方にも改めてありがとうと言いたいです」と喜びを語った。

続いて、ツイッターのトレンド入りを目指したいということで、新たなハッシュタグを考えることに。草彅は「#クルミちゃんラブでいいんじゃないかな。って言いながら、さっきも愛の告白もクルミちゃん宛にしちゃったし、映画のことをちょっと反省しています」と恥ずかしそうな表情を見せた。そして「#ミッドナイトスワン公開中、なんていかがですか?全国の皆さんいかがですか?」と提案。すると内田監督が「#ミッドナイトスワン大ヒット公開中、にしてください」と「大ヒット」をプラスした新たなハッシュタグが決まった。草彅は、「ハッシュタグと一緒に、映画の感想を添えていただけると、もっともっと拡散されるかと」と呼びかけた。

最後に、草彅は「本日はありがとうございました。全国の方、本当にありがとうございます。この映画は、攻めてはいるけれどR指定がついていません。家族の方とみんなで一緒に観てほしい作品です。観る方によって、感じ方が違うのは当たり前のことですが、これほど感じ方が違う映画はないと思っています。年齢、性別、国籍問わず、みんなに観てほしいと思っています。必ず伝わるものがあるんじゃないかなと思っています」、内田監督は「上映されたことがまず感慨深いと改めて感じています。ゼロから脚本を書いて、草彅さん、水川さんに出演いただいて、樹咲ちゃんがオーディションに来て。そのひとつずつが重なり、みんなで作り上げた作品です。性別や血の繋がり、国籍などは関係ないんじゃないかという思いを込めています。ぜひ楽しんでください。ありがとうございました」と締めくくり、イベントは幕を閉じた。

本作の公開に先駆け、9月18日より銀座のレストラン「BISTRO J_O」にて、映画の中でも印象的なシーンとして出てくる「ハニージンジャーソテー」など本作とのコラボメニューが提供されている。孤独だった凪沙と一果が二人で生活していかなければいけなくなった状況で、まだお互いを知らないけど、この食事を通じてお互いを受け入れあい、ゆくゆくは、一果にとっての“母の味”となるのがこの「ハニージンジャーソテー」。テイクアウトも、9月25日よりご飯付きで販売中だ。

■レストラン
ランチ:SPECIAL LUNCHコース(4,000円)
ディナー:J_O DINNERコース(5,500円)
SPECIAL DINNERコース(8,000円)
※上記メニューの中に「ハニージンジャーソテー」が登場。レストランは予約制。

■テイクアウト
ハニージンジャーソテー弁当(1,300円)

詳しくは、BISTRO J_O の公式 HP:friendshop.tokyo/ まで。

『ミッドナイトスワン』
9月25日(金)より、TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー中
監督・脚本:内田英治
音楽:渋谷慶一郎
出演:草彅剛 服部樹咲 田中俊介 吉村界人 真田怜臣 上野鈴華 佐藤江梨子 平山祐介 根岸季衣 水川あさみ 田口トモロヲ 真飛聖
配給:キノフィルムズ

【ストーリー】 故郷を離れ、新宿のショーパブのステージに立ち、ひたむきに生きるトランスジェンダー凪沙(草彅剛)。ある日、養育費を目当てに、育児放棄にあっていた少女・一果(服部樹咲)を預かることに。常に片隅に追いやられてきた凪沙と、孤独の中で生きてきた一果。理解しあえるはずもない二人が出会った時、かつてなかった感情が芽生え始める。

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