台湾アカデミー賞こと金馬奨最優秀ドキュメンタリー賞受賞した、ドキュメンタリー映画『私たちの青春、台湾』が、10月31日より公開されることが決定した。併せて、ポスタービジュアルがお披露目となり、台湾出身の直木賞受賞作家・東山彰良より本作を絶賛するコメントも寄せられた。
2011年、フー・ユー監督はひまわり運動のリーダー、チェン・ウェイティンと、中国人留学生で台湾の社会運動に参加するツァイ・ボーイーと出会う。彼らが最前線に突き進むのを見ながら「社会運動が世界を変えるかもしれない」という期待が、ユーの胸いっぱいに広がっていた。しかし彼らの運命はひまわり運動後、失速していく。それはユーが求めていた未来ではなかったが、その失意は彼女自身が自己と向き合うきっかけとなっていく。
アジア初の同姓婚法制化、蔡英文総統の歴史的再選、女性議員がアジアトップ水準の4割を占め、世界も注目した新型コロナ対策などで関心を集める台湾。金馬奨授賞式でフー・ユー監督が涙を流しながら、「いつか台湾が“真の独立した存在”として認められることが、台湾人として最大の願いだ」とスピーチをしたことは大きなニュースとなった。
ひまわり運動は、そんな台湾で2014年3月17日に国民党によって強行採決されたサービス貿易協定に反対した学生たちが、翌18日、立法院(国会)に突入し、23日間にわたって占拠した社会運動。占拠直後から多くの台湾世論の支持を集め、与党側は審議のやり直しと、中台交渉を外部から監督する条例を制定する要求を受け入れた。本運動は、23日間に及ぶ立法院占拠、統率の取れた組織力、全世界に向けたメディア戦略などで、まれにみる“成功”をおさめたといわれている。しかし立法院内では、一部の指導者たちによる決議に対する不満など、理想の“民主主義”の困難さに直面し、多くの課題を残していた…。
雨傘運動前のジョシュア・ウォン、アグネス・チョウとの交流など、カメラは台湾、香港、中国の直面する問題、海を越えた相互理解の困難さ、民主主義の持つ一種の残酷さを映し出していく。台湾という息吹の中で、ともに未来を描き、迷い、空っぽになり、ともに理想求めもがく、“私たち”の青春の物語は、何を問いかけてくるのか。
■東山彰良(作家) コメント
突き進む者と、それを記録する者。その裏側にある個人的な憂鬱と後悔。それでもなにかを正したいと願う若者たちの想いは、こんなにも純真でまぶしい。
『私たちの青春、台湾』
10月31日(土)より、ポレポレ東中野ほか全国順次公開
監督:フー・ユー
出演:チェン・ウェイティン ツァイ・ボーイー
配給:太秦
【作品概要】 2011年、フー・ユー監督は魅力的な二人の大学生と出会った。台湾学生運動の中心人物チェン・ウェイティン、台湾の社会運動に参加する人気ブロガーの中国人留学生ツァイ・ボーイー。やがてウェイティンはリン・フェイファンと共に立法院に突入し、ひまわり運動のリーダーになった。“民主”が台湾でどのように行われているのか伝えたいとボーイーが書いたブログは、書籍化され大陸でも刊行される人気ぶりだ。彼らが最前線に突き進むのを見ながら、「社会運動が世界を変えるかもしれない」という期待が、ユーの胸いっぱいに広がっていた。しかし彼らの運命はひまわり運動後、失速していく。ひまわり運動を経て、立法院補欠選挙に出馬したウェイティンは過去のスキャンダルで撤退を表明。大学自治会選に出馬したボーイーは、国籍を理由に不当な扱いを受け、正当な選挙すら出来ずに敗北する。それはフー・ユー監督が求めていた未来ではなかったが、その失意はユー自身が自己と向き合うきっかけとなっていく…。
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