『サラバ!』で第152回直木賞を受賞した西加奈子が、ある家族の姿を色彩豊かに温かな眼差しで描き、50万部を突破したベストセラー小説を、北村匠海、小松菜奈、吉沢亮の共演で映画化する『さくら』の公開日が11月13日に決定した。併せて、主題歌が東京事変による書き下ろし楽曲「青のID」に決定し、予告編とポスタービジュアルがお披露目となった。
本作は、絶望の中にも希望を紡ぐ家族の物語。ハンサムで人気者の長男・一と、異常なまでに長男を愛する容姿端麗で破天荒な妹・美貴、そして平凡な次男・薫。ある日、一家のヒーロー的存在の兄が交通事故に遭ったことによって、家族の運命が大きく変わっていく。
予告編では、“足りないものなんて何もなかった”はずの一家に訪れた長男ハジメ(吉沢亮)の死をきっかけに、家族がバラバラになっていく様子が、東京事変による主題歌「青のID」と劇中曲を手掛けたアダム・ジョージのピアノの旋律とともに映し出される。本作が映画初出演となる欅坂46の小林由依演じるカオルが、小松菜奈扮する美貴に好意を伝えるシーンも収められる。
ポスタービジュアルには、映画の中心となる兄弟妹がそれぞれ何かを見つめる姿や、桜の木の下で笑顔を向ける家族の姿、そしてそれらを優しく、全てを包み込むようなまなざしで見つめる愛犬サクラが収められる。
■東京事変(主題歌) コメント
この度は我々の大好きな人が書いた小説の映画化にあたり、
主題歌をご注文くださり、ほんとうにありがとうございます。
小松菜奈氏ら適切な配役をはじめ、終始大胆且つ繊細な傑作。
ハイティーン期間限定のあの、痛くて痒くて堪らないきぶんを
思い出し、久し振りに孤独に咽びながらしかし皆で力を合わせ
ながら、映画へ寄り添うべく精一杯努めました。子供と大人の
間の宙ぶらりんを自覚すればこそ振り絞りたいと焦り、未熟な
汗と涙を撒き散らす。お若いかたがたのそんなご様子を垣間見
るたび一緒に胸震わせてしまうのは、自分もその荒波を必死で
泳いだ者の内の一人だからだと改めて気付かされるのでした。
そして昨今、悪送球見舞われ続ける人類。各々何かと覚束ない
いまだからこそ本作を多くのかたがたと分かち合いたいです。
どんなときも愛を込めて。東京事変2020。
■矢崎仁司(監督) コメント
小説を映画にする時、一番大切にするのは読後感です。何度も泣いたし、いっぱい笑った、そして元気をもらったこの家族を描きたいと思った。素晴らしい俳優たちとサクラを演じた犬のチエちゃんとの奇跡的な出逢いで生まれた映画です。試写室ですすり泣く声を聞いたのも初めてですが、何より嬉しかったのは、涙より笑い声が起こったことです。「生」を描くには分母に「死」があり、「哀しみ」を描くには分母に「笑い」が必要です。きっと、この家族との出会いが、今の長いトンネルの先の一筋の光になってくれると信じています。最後に届けられた東京事変の主題歌「青のID」は、今だからこそ、世界に愛を叫ぶ、新しい喜劇の産声のように聞こえました。この家族に会いに来て欲しい。きっと元気になるから。
『さくら』
11月13日(金) 全国公開
監督:矢崎仁司
原作:西加奈子「さくら」
脚本:朝西真砂
音楽:アダム・ジョージ
主題歌:東京事変「青のID」
出演:北村匠海 小松菜奈 吉沢亮 小林由依(欅坂46) 水谷果穂 山谷花純 加藤雅也 趙珉和 寺島しのぶ 永瀬正敏
配給:松竹
【ストーリー】 音信不通だった父が2年ぶりに家に帰ってくる。長谷川家の次男・薫(北村匠海)は、その年の暮れに実家へと向かった。けれど兄の一(ハジメ/吉沢亮)の姿はない…。薫にとって幼い頃からヒーローのような憧れの存在だったハジメは、2年前のあの日、亡くなった。そしてハジメの死をきっかけに家族はバラバラになり、その灯火はいまにも消えそうだ。そのつながりを繋ぎ止めるかのように、薫は幼い頃の記憶を回想する。それは、妹・美貴(小松菜奈)の誕生、サクラとの出会い、引っ越し、初めての恋と失恋…長谷川家の5人とサクラが過ごしたかけがえのない日々。やがて、壊れかけた家族をもう一度つなぐ奇跡のような出来事が、大晦日に訪れようとしていた…。
©西加奈子/小学館 ©2020 「さくら」製作委員会