島本理生による“稀代の問題作”とも称された傑作サスペンスミステリーを、堤幸彦監督が北川景子を主演に迎えて映画化する『ファーストラヴ』が、2021年に公開される。このほど、新たなキャストとして、中村倫也、芳根京子、窪塚洋介が出演することが発表された。
本作は、美人女子大生が父親を刺殺するという衝撃的な導入で始まる島本理生の小説「ファーストラヴ」を原作に映画化するサスペンスミステリー。事件のドキュメンタリー本の執筆を依頼された公認心理師の真壁由紀は、うら若き容疑者・聖山環菜と面談を重ね、二転三転する供述に翻弄されながらも彼女の心理へ迫っていくが、やがて由紀自身の過去の記憶にも結び付く、意外な真相が浮かび上がる。
新たなキャストとして、映画やドラマ、CMなどにはもはや欠かせない存在の実力派俳優・中村倫也は、由紀(北川景子)の義理の弟で、由紀とともに事件の真相に迫る敏腕弁護士・庵野迦葉役を演じる。昨年度のエランドール賞で新人賞を受賞し、ドラマ「美食探偵」や映画『水曜日が消えた』をはじめ、出演作品が目白押しの中村は、本作ではクールでドライな弁護士をまさに体現。由紀の過去の記憶のカギを握る難しい役どころだが、中村が放つ色香や佇まい、表情の機微が、張り詰めた糸のごとく、見る者に心地よい緊張感を与える。
由紀と迦葉が向かい合う父親殺しの容疑者・聖山環菜役には、幅広い世代から支持を得て、第42回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞した名実ともに若手トップクラスの芳根京子が扮する。父を刺殺しながらも供述を二転三転させ、真意のつかめない複雑なキャラクターを、鬼気迫る演技で熱演。環菜が発する言葉の一つ一つ、更には、身に纏う雰囲気が不穏な空気を帯び、観る者をスクリーンに釘付けにする。
そして、由紀の夫であり、迦葉の兄、二人のよき理解者となるカメラマンの真壁我聞役を、日本が世界に誇る名優・窪塚洋介が温かく優しい眼差しで演じる。マーティン・スコセッシ監督作『沈黙-サイレンス-』(2017)で世界デビューを果たし、一躍世界中にその名を轟かせた窪塚は、「求められたのは“何もしない”こと」と落ち着いたトーンで作品に抑揚と緩急をつけ、物語に奥行きを持たせている。
▼スタッフ&キャスト コメント
■中村倫也(庵野迦葉役)
このビターな世界の中で、迦葉はどんな過去を背負い、またどんな未来を歩いていくのか、日常生活まで入り込むほどずっとず〜っと考えていました。ここまで頭から離れなかった人物は初めてかもしれません。僕がこの世界に入る前から一ファンとして多大なる影響を受けてきた堤さん、窪塚さん。もはや百戦錬磨の芳根さん。そしてなにより、同世代の星、北川さん。試写の案内が届くのが楽しみな今日この頃です。ご期待ください。
■芳根京子(聖山環菜役)
環菜と向き合えば向き合うほど、引きずり込まれそうで震える恐怖を、初めて味わいました。撮影が終わった今も、思い出すと涙が溢れます。現場の温かい空気と、スタッフ・キャストの皆様に心から救われました。真壁先生が北川さんで本当に良かったです。初めての堤組で経験させてもらった事は、一生忘れません。
■窪塚洋介(真壁我聞役)
何もしないことの難しさ。堤監督との12年ぶりの仕事で求められたのは“何もしない”こと。何の狙いも持たずにただただ良き夫、良き兄としてカメラの前で在ることは想像以上に難しかった。つい作為的になりがちなところを北川景子さん始め、演者とスタッフが真摯に自分の仕事に向き合う様に支えられて挑戦することが出来たように思います。
■堤幸彦(監督)
今回のキャストはまさにベストな人選であった。お陰で密度の濃い化学反応がいくつも。中村氏は眉目秀麗な弁護士を演じるが、彼の役が持つ“影”はストーリーの低いところで少しずつ温かい流れとなって全体をくるんでいく。難しい役どころだったがストイックに演じ切ってくれた。芳根京子さん。役に憑依するとは彼女の事だ。撮影のシステムも熟知していて狙った場所で狙った以上の演技をする。まさに天才。涙の魔術師。そして盟友・窪塚洋介。いろいろと過去から演じてもらったが、今回はまさに「はまり役」ではないか。信念と優しさ、まるで扇の要のようにいい声で動揺する魂を鎮めていく。他にもたくさんのこの映画にとっての適材適所な役者が渦巻いている。本当にたくさん。なんとも贅沢な作品作りであった。感謝!
『ファーストラヴ』
2021年 全国ロードショー
監督:堤幸彦
原作:島本理生「ファーストラヴ」
脚本:浅野妙子
出演:北川景子 中村倫也 芳根京子 窪塚洋介
配給:KADOKAWA
【ストーリー】 川沿いを血まみれで歩く女子大生が逮捕された。殺されたのは彼女の父親。「動機はそちらで見つけてください」容疑者・聖山環菜(芳根京子)の挑発的な言葉が世間を騒がせていた。事件を取材する公認心理師・真壁由紀(北川景子)は、夫・真壁我聞の弟で弁護士の庵野迦葉(中村倫也)とともに彼女の本当の動機を探っていく。二転三転する供述に翻弄され、真実が歪められる中で、由紀は環菜にどこか過去の自分と似た“何か”を感じ始めていた。そして自分の過去を知る迦葉と環菜の過去をきっかけに、由紀は心の奥底に隠したはずの“ある記憶”と向き合うことになるのだが…。なぜ、彼女は父を殺さなければならなかったのか?
© 2021「ファーストラヴ」製作委員会