「父さんを死なせたくない!」父と発達障害のある息子が本当の親子関係を築くまでを描く『靴ひも』予告編

本国イスラエル・アカデミー賞で8部門にノミネートされ、父親役のドヴ・グリックマンが助演男優賞を受賞、アメリカ各地の映画祭で観客賞を多数受賞し、2018年の東京国際映画祭ワールド・フォーカス部門で上映された『靴ひも』が、10月に公開される。このほど、本作の予告編がお披露目となり、併せて、監督のヤコブ・ゴールドヴァッサーが作品への思いを語った。

本作は、一度は家族を捨てた父と、発達障害のある息子が約30年ぶりに一緒に暮らすことになり、悪戦苦闘しながら本当の親子関係を築くまでを、優しさとユーモアたっぷりに描いた感動作。

予告編には、母の突然の死により、約30年ぶりに一緒に暮らすことになった父と息子の複雑で普遍的な愛憎が、優しさとユーモアたっぷりに映し出される。タイトルの“靴ひも”は、息子の苦手な動作の一つである「靴ひもを結ぶこと」。父と息子の関係の変化と成長の象徴として本編には3度登場するが、そのシーンも一部、本映像で確かめることができる。

■ヤコブ・ゴールドヴァッサー(監督) コメント
約10年前、ある親子の実話を聞く機会がありました。腎不全を患う高齢の父親に、知的障害を持つ息子が自分の腎臓を提供しようとしたそうです。私にも特別支援を必要とする息子がいるので、私が映画化するにふさわしいエピソードだと思われたのでしょう。しかし私はこのような重い題材を扱うことに抵抗があり、作品ではあくまでも他人の問題を扱いたいと主張しました。複雑で大変な自分自身の問題に向き合うことは避けたかったのです。何年か経ち、私は自分の不安を克服し、映画が障害を持つ人々に対する世間の見方を変えるきっかけになるかもしれないと考えるようになりました。そのためには、主人公が正確に描かれていること、さらには主人公が人間味にあふれ、前向きで、ユーモラスで魅力的なキャラクターであることが重要でした。そして私は、長年の協力者である脚本家のハイム・マリンを誘い、このプロジェクトに身を投じました。物語の大筋は、私が聞いた親子の実話にインスパイアされたものです。彼ら親子と私と息子の事情はかけ離れていますが、そのことが作家として客観性を持って物語を紡ぐ上で役立ちました。私と脚本家はルーベンと息子の複雑な関係に焦点を絞り、疎遠だった二人が深い愛情で結ばれていく過程を通して、この難しい題材から希望に満ちた物語を作り出しました。障害を持つキャラクターに対し、観客は同情心や哀れみを抱きがちです。意志の力や知恵や正義感によって困難を乗り越え成長していく『靴ひも』の主人公が、観客に同情心などではなく愛情、感謝の念、憧れすら抱いてもらえることを願っています。

併せて、本作の前売り券がシアター・イメージフォーラムやネット通販(メイジャー)にて発売開始された。購入特典は、映画タイトルにかけて“ほどけない靴ひも”とポストカード。※数量限定、セットで配布。

『靴ひも』
10月 シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開
監督:ヤコブ・ゴールドヴァッサー
出演:ネボ・キムヒ ドヴ・グリックマン エヴェリン・ハゴエル
配給:マジックアワー

【ストーリー】 母の突然の死により、約30年ぶりに同じ屋根の下で暮らすことになった父(ドヴ・グリックマン)と息子(ネボ・キムヒ)。息子は明るく誰に対してもフレンドリーな一方で、皿の上の食べ物の配置から、寝る前のルーティンにまで、生活習慣への独自のこだわりが強く、苦手なことも多い。父はそんな息子にどう接したらよいか手探りで戸惑ってばかり。そんな二人がようやく打ち解けた頃、父は末期の腎不全と診断され、人工透析が必要になる。病状が芳しくない父は、ソーシャルワーカーの勧めで特別給付金を申請することに。その面接の場で、息子は特別な支援が必要であるとアピールするため、靴ひもを結べないふりをするのだが…。

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