累計400万部を超える髙田郁による時代小説を、数々の名作を世に送り出してきた角川春樹が生涯最後の監督作として、松本穂香主演で映画化する『みをつくし料理帖』が、10月16日より公開される。このほど、7月7日に東映本社にて七夕 大ヒット祈願!記者会見イベントが行われ、 キャストの松本穂香、奈緒、そして角川春樹監督が登壇した。
神田にある蕎麦処「つる家」の女料理人・澪役の松本は、生き別れた澪の幼馴染・野江役の奈緒について「電話で話したり、ゴハンに一緒に行ったり仲良くさせてもらっています」と撮影終了後も続く交流を明かし、奈緒も「実は現在撮影中のドラマもご一緒させていただき、プライベートでも話をする関係性です」と仲の良さをうかがわせた。
撮影の思い出を聞かれた松本は、「地方での撮影では奈緒さんの部屋に行って話をしたり、花火を一緒にしました」と回想。一方、奈緒が撮影後の思い出として「完成した作品の試写を一緒に観た後にお茶をしていたら、帰宅ラッシュの時間になってしまって。二人して満員電車に揺られながら帰ったのは楽しい思い出です」と明かすと、松本は「夕方の山手線だったよね」と思い出し笑い。奈緒も「本気の満員電車でギュウギュウになりながらね」と楽しそうだった。
これまで数々のスターを輩出してきた角川監督は、松本と奈緒について「二人に共通しているのは、脚本の読解力が極めて高いところ。そして穂香は健気なくらい努力家。奈緒は直感的な感性の持ち主。ラストシーンはその演技にゾッとした。大女優誕生の場に立ち会ったような気がした」と絶賛した。それに対して松本は「言葉が出ないですね」と恐縮しつつ「撮影が終わっても監督は私たちを見守って愛してくれているんだと感じています」と嬉しそうで、奈緒も「監督から『2年後3年後に二人は大女優になる!』と直接言われたので、監督から離れたところで二人で『もうすぐくるね!』という話をしました。何年かかってもその言葉に見合うような役者になれるよう一生懸命お芝居をしていきたい」と誓いを立てていた。
イベント当日は七夕ということもあり、女優陣は艶やかな浴衣を着用していた。奈緒の浴衣姿に松本が「浴衣美人!」との言葉を送ると、奈緒も「想像を上回るお似合い具合!本当に素敵」と絶賛。松本は奈緒について「奈緒さんの選ぶ言葉は丁寧で美しいのです。心が綺麗だからそういう言葉が出て来るんだと思います。心根が美しい方」と口にし、奈緒も「松本さんは一つのことを追求される方です。澪ちゃんが松本さんだったからいいシーンになったというところが詰まっている映画になりました」と感謝し「褒め合っていますけど、長い時間を過ごせば過ごすほど好きなところが見つかるのです」と松本に惚れ惚れしていた。
七夕の短冊に願い事をしたためる企画では、松本は「奈緒ちゃんとキャンプに行けますように」、奈緒は「晴れの日の多き十月となりますように」と発表。松本は「キャンプに行って奈緒ちゃんの好きなカレーを一緒に作ろうかな」と理由を説明すると、奈緒は「キャー!嬉しい!」と喜色満面。しかし松本は「これを書き終わった後に『映画がヒットしますように』と書けばよかったと思いました。間違えたかな?」と発言すると記者たちの笑いを誘った。奈緒は「映画は10月16日公開です。今は雨が続いている日々なので、願いを込めて書かせて頂きました」と映画をPRするも「実は私もキャンプにするか花火にするか迷いました」と一層仲の良さをうかがわせた。
かつての“角川映画”を飾ったスターたちも出演する本作で主演を務めたことについて、松本は「素晴らしいキャストのみなさんの中でお芝居をすることに対して変に気負っても仕方がないので、勉強をさせてもらうような気持ちで、演じていました。澪としてその場にいられたらという気持ちでした」と語った。
本作が“生涯最後の映画監督作”という角川監督は、「撮影は毎日が楽しく、撮影が終わってから2ヶ月経っても撮影現場の夢を見ていました。そしていまだに『みをつくし』後遺症にかかっています」と深い愛着を明かし、「この映画を日本人のみならず、全世界の人々に愛される映画にしたい」と公開に向けて気持ちを新たにしていた。
『みをつくし料理帖』
10月16日(金) 全国公開
監督・製作・脚本:角川春樹
原作:髙田郁「みをつくし料理帖」
脚本:江良至 松井香奈
料理監修:服部幸應
出演:松本穂香 奈緒 若村麻由美 浅野温子 窪塚洋介 小関裕太 藤井隆 野村宏伸 衛藤美彩 渡辺典子 村上淳 永島敏行 反町隆史 榎木孝明 鹿賀丈史 薬師丸ひろ子 石坂浩二 中村獅童
配給:東映
【ストーリー】 時は、享和二年。大坂。8歳の澪(松本穂香)と野江(奈緒)は、暮らし向きが違えども仲の良い幼馴染だった。「何があってもずっと一緒や」と約束を交わす二人だったが、その約束の夜から大坂に大洪水が襲う。それから時は流れ、江戸の神田にある蕎麦処「つる家」に、女料理人として働く澪の姿があった。あの大洪水で両親を亡くし、野江とも離れ離れになってしまった澪は、「つる家」の店主・種市に助けられたのだった。種市に天性の料理の才を見出され、女でありながら料理人として働いていた。しかし江戸の味に馴染めず試行錯誤の日々を過ごしたのだが、やがて「つる屋」の看板料理を見出していく。たちまち江戸でも評判になっていく店にある日、吉原の扇屋で料理番をしている又次(中村獅童)という強面の男がやってきた。吉原で頂点を極めるあさひ太夫のために澪の看板料理を作ってくれと頼むのだった。そして、この日を境に運命の歯車が動き出す。果たして、澪と野江は再会を果たせるのか?幾度となく訪れる艱難辛苦を乗り越えながら、料理に真摯に向き合い、運命を切り開いていく女料理人の成長と、不変の友情を描いた爽快な物語。
© 2020映画「みをつくし料理帖」製作委員会