『月とキャベツ』、『花戦さ』などを手掛けた篠原哲雄監督の最新作で、松井愛莉が映画初主演を務める『癒しのこころみ~自分を好きになる方法~』が、7月3日より公開中。このほど、7月4日にシアタス調布にて公開記念舞台挨拶が行われ、キャストの松井愛莉、八木将康、そして篠原哲雄監督が登壇した。
はじめに、松井は「皆さんこんにちは。松井愛莉です。今日はこのような中、足を運んでいただいてありがとうございます。監督をはじめ、キャストの皆さん、スタッフの皆さんと作りあげた作品が、今日こうやって公開できることを嬉しく思います。今日は短い間ですがよろしくお願いいたします」、八木は「碓氷隼人役を演じました八木将康と申します。この映画は僕にとってかなり思い入れのある作品となっていますので、そういった作品をやっと皆さんに観て頂けると思うとすごく嬉しい気持ちでいます」、そして篠原監督は「監督をした篠原と申します。こんな時期ですけど7月に公開と以前から決まっていましたので。一時は少しハラハラしましたけども、オリンピックもなくなりましたし、映画が娯楽の王道としてこれからも言って欲しいなと。こうして少しずつお客さんが観に来てくれて徐々に徐々に世の中が正常に戻っていくことを願っております。よろしくお願いいたします」と挨拶し、舞台挨拶は始まった。
役作りで特に気を付けたことについて尋ねられた松井は、「やっぱり一番はセラピストの練習ですかね。短い期間ではあったのですけど、一から教えて頂いたのでそれを家で練習したりとかしていました。今も家族とかたまにやったりしています」と回答。さらにこの映画を通してセラピストについての考えが変わったかを問われ、「変わりましたね。人の心も癒すお仕事なので、そういった面ではコミュニケーションも必要になっていきますし、お客様に寄り添わなくてはいけないという面では凄く難しいですし素敵なお仕事だなって改めて考えました。…私にはできないなって思っちゃいました。コミュニケーションをとるのが結構苦手なんで…(笑)。大変なお仕事だと実感しました」と口にした。
そんな松井の印象について、八木は「僕もコミュニケーションが苦手な方なのかな、と(笑)。人見知りと言うのはお互いの共通点ではあるので。僕もセラピストお仕事は本当にすごいと思いますね」と振り返った。また、野球経験のある八木は元プロ野球選手という役について「やっと来たか。と言う感じですね。3ヶ月くらい前からトレーニングを始めて体を作ってきましたからね」と嬉しそうに語り、トレーニングで作った体が今も保たれているのかという問いかけには、「ちょっと保たれていないですね…」と答え、笑いを誘った。
篠原監督は本作について「二人の出会いで、施術のシーンがあるんです。そこで最初の大きな出来事があるんですね。で、ここから二人が知り合ってどう変わっていくかがこの物語の見所です。この映画は何回か人の涙が見られる瞬間がありますので。そこが撮影現場的にも僕たちが予想しなかったところで、泣いてくれた、というところが随所にありますのでぜひ楽しんでください。上映前で言えないのが残念です」と見どころを語った。
松井は八木との共演シーンで涙をリアルに流すシーンがあり、それだけ八木が怖かったのかとMCから突っ込まれると、「八木さんが結構本気でぶつかってきてくれたので悔しさもありましたし、自分が出来なかったという色んな感情がこみ上げてきて…悲しかったです」と吐露。篠原監督は「彼女の役は冒頭から実は八木くんと出会う前から、別の仕事でもっと人に夢を与えられるはずだったのに、という出鼻をくじかれる場面がありまして。あれがガツンときたわけですよね。あれも予想外のところだったんですね。そこから彼女は大きく傷つきまして。そこから心が回復していく姿が本当に手に取るように分かっていくという」と松井の役どころについて補足した。
八木は作中の松井のバッティングシーンについて、「彼女は本当に運動神経がかなり良くて、ちょっと教えたらすぐできちゃって。あれ、これ…できる役でしたっけ?監督?ってなりましたね(笑)」とおどけながらも松井を称賛。篠原監督も「いや、本当にうまいんですよ。なので、そこを下手にやってくれというのが大変でした。一方、八木君は本当にすごくて3ヶ月前の稽古の時から硬球専門のバッティングセンターでいきなり練習してバット2本折ってますんで。そしてバッティングセンターのホームランの表示にあたる箇所があって。あそこは八木くん本人が当ててくれた球なんですね。手で投げてもかなり高いところにあるんで、八木くんが大飛球を打つしかないと。それで撮影中日が暮れそうでやばい!と言うギリギリの時にも時に八木くんが頑張って打ち込んでくれて…」と口にし、「なんと何級打ったんだっけ?」という質問に八木は「150球です!!」と回答。篠原監督は「150球の成果がそのカットにはありますんで。映画が始まって15分以内のところにそれがありますから。これを八木くんが当てたと思ってください」とコメントした。八木も「結構気を抜いていると見逃してしまうと思うんで。そこはちゃんと観て頂きたいポイントではあります!」と大変だったバッティングのシーンを掛け合いで振り返りながら見どころを紹介した。
続いて、松井と八木のお互い、チャーミングなところは?と尋ねられ、松井は「森林セラピーのシーンで、お水を飲むシーンがあるんですけど、ここで八木さんが足を滑らしてずっこけちゃったりとか。こういう一面もあるんだな、と思いました(笑)」と明かし、八木は「やっぱ笑顔ですかね。凄く大変だったと思うんですよ。監督と色々相談し合いながら急遽セリフが変わったりだとか増えたりだとかあったんですけどそれを笑顔で乗り切ってて凄いなと思いました。と同時にチャーミングだと思いました!」と語った。
次に、松井が「主演は本当に緊張しました。私に務まるのかな、ってすごく不安でした…」と役どころとリンクするような当時の不安を語ると、篠原監督は松井の言葉を受け、「いや、でも変わっていきますからね、ストーリーの中で。ご覧になれば手に取るように分かりますから。それがどんな顔で終わるのかっていうね。ちょっと楽しみにしてほしいですね。森林セラピーのシーンでもそうですけどただ施術しているだけでなくリラクゼーションの仕事というのはただマッサージをしているだけでなく、人が人の事を癒すというか。苦しみから脱出するための一つの方法として自然に触れることによって何か心の中に会いってくるものがあるというか。上手く説明できないけど、森林セラピーにはそういうものがあるんです。それが二人のシーンでは体現されていて、松井さんと藤原紀香さんとの場面でも雄大な富士山をバックに体と心を癒す上での大きな役割を自然が果たしているのだと言うことを感じて頂ければ嬉しいと思いますし、そういう実感をこの二人も実感しているのではないかと思います」と作品そしてリラクゼーションについて真摯に向き合ってきた監督ならではのコメントを寄せた。
そして話題は本作の出演者であり、前回の完成披露試写会にも登壇した橋本マナミが今月2日に無事男の子を出産したことに移り、松井は「おめでとうございます!後からスタッフの方から聞いたのですが、橋本さんは撮影中に結構私の事を気にかけてくださったみたいで…でも私は怒涛の撮影中だったので気付けなかったのが、凄く申し訳なくて…」、八木は「自分の事なのですが、僕も今年子供が生まれたのでなんかちょっと近しい気持ちというか、嬉しいものを感じますね」、篠原監督は「6月17日にマスコミの方もいらっしゃった完成披露の時に、橋本さんも登壇してくれて。あと何週間で生まれる、くらいの時に。それもニュースになってましたね。それがこの映画の公開直前に生まれたっていうのも何かの縁だなって、僕たちに光を与えてくれてるんじゃないかと思いましたね。橋本さん自身がそういう方かなと思いますし、撮影中も真面目で。演技論を他の俳優と語ったりして。僕は橋本さんと競馬を介して知り合いなので、橋本さんがこそっと桜花賞の時に買った馬を『何買ったの?』なんて聞いたら『言えな〜い』なんて言いながらちゃんと当ててるんですよね。最後のシーンが桜花賞の日だったんですけど橋本さんはさりげなく買ってちゃんと当ててる。そういう所が凄いですよね。私なんかは撮影中なんて適当な予想をしてしまいましたけど。そういうところもぬかりなく。きちんと当てるべきところも良いタイミングで当てるという何かを持っていますよね」と各々が橋本の人柄に触れながらコメントした。
最後に、篠原監督は「こうして公開となったことをとても嬉しく思います。人が苦境から脱出していく本当の意味での癒しを描きたくてこの映画を作りました。普段映画で癒されたと聞くと『チャラい話だな』と思ってしまうのですがこの映画は『癒し』で勝負しようと思ったので。しかも『(癒しの)こころみ』ですからね。失敗してもいいか、ぐらいの気持ちでいますからね。いや、癒しがですよ。映画は成功に導きたいので皆さんご協力をよろしくお願いいたします」、八木は「この映画は里奈(松井愛莉)の奮闘の映画だとは思うのですが、同時に仕事に対する姿勢だったり考え方が改めて考えさせられる映画だと思いますので。癒しもテーマですし、何か癒しのヒントが見つかるような映画になっているとおもいます。是非面白いと思ったらまた劇場に来て頂いたらうれしいです」、そして松井は「この映画は主人公が一度挫折してしまって、セラピストという仕事と出会うことによって成長していくヒューマンドラマとなっています。タイトルにもあるように癒しのシーンもありますので楽しんで頂けたら嬉しいです。今日はありがとうございます」とメッセージを送り、舞台挨拶は終了。終始穏やかな雰囲気が漂うイベントとなった。
『癒しのこころみ~自分を好きになる方法~』
7月3日(金)より、シネ・リーブル池袋ほか全国ロードショー中
監督:篠原哲雄
脚本:鹿目けい子 ますもとたくや 錦織伊代
出演:松井愛莉 八木将康(劇団EXILE) 水野勝(BOYS AND MEN) 中島ひろ子 秋沢健太朗 寒川綾奈 佐々木みゆ 矢柴俊博 橋本マナミ 渡辺裕之 藤原紀香
配給:イオンエンターテイメント
【ストーリー】 仕事の激務で心が折れてしまった一ノ瀬里奈(松井愛莉)は、偶然出会った有名セラピスト・鈴木カレン(藤原紀香)の施術体験で心と身体がつながっていることを実感し、思わずセラピストの道へ。最初からうまくはいかないが、それでもお客様から「ありがとう」と言ってもらえた時に、今まで感じたことのない充実感が芽生えてきた。そんなある日、受け持ったお客様が、怪我のトラウマに苦しむ元プロ野球選手の碓氷隼人(八木将康)だと知り、自分の施術で再起を応援しようと決意。里奈は奔走し始める。
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