『ボビー』のエミリオ・エステベス監督が贈る、笑いと涙のフィールグッドムービー『The Public(原題)』が、邦題『パブリック 図書館の奇跡』として7月に公開されることが決定した。併せて、場面写真がお披露目となった。
本作は、図書館を舞台にした“あっと驚く”ヒューマン・ドラマ。記録的な大寒波の到来により、緊急シェルターがいっぱいで行き場がないホームレスの集団が図書館のワンフロアを占拠。突如勃発した大騒動に巻き込まれたひとりの図書館員の奮闘を軸に、予測不可能にして笑いと涙たっぷりのストーリーが展開していく。
2018年のトロント国際映画祭でお披露目されるや、世界から大きな喝采を浴びた本作。災害や格差に揺れる現代社会に向けていくつもの問題提起をはらみながらも、温かな人間味に満ちあふれ、巧みなプロットのひねりや格別のサプライズも盛り込まれている。
ある新聞記事に着想を得て、本作の完成までに11年の歳月を費やした監督は、エミリオ・エステベス。1980年代ハリウッドの青春スターの一団を総称する“ブラット・パック”のひとりとして一世を風靡し、23歳で監督デビュー。その後も監督としてのキャリアを積み重ね、政治ドラマ『ボビー』(2006)ではゴールデン・グローブ賞作品賞と全米映画俳優組合賞アンサンブルキャスト賞にノミネートされ、聖地巡礼の旅を描いたロードムービー『星の旅人たち』(2010)では、円熟味すら感じさせる作風を披露してきた。ブラット・バック時代の代表作『ブレックファスト・クラブ』(1985)で、図書室への居残りを命じられるやんちゃな高校生を演じたエステベスが、図書館を舞台にこれほど哀歓豊かで深みのある映画を撮り上げた。彼は主演も兼任する。
そのほか、多彩なジャンルで圧倒的な存在感を保ち続けるアレック・ボールドウィン。エステベスと同じように青春スターとして脚光を浴びたのち、近年は曲者俳優として異彩を放つクリスチャン・スレイター。ダニエル・クレイグ版『007』シリーズのCIA局員フェリックス・ライター役で知られるジェフリー・ライト。『ネオン・デーモン』(2016)のジェナ・マローン。さらにNetflixのTVシリーズ「オレンジ・イズ・ニューブラック」の主人公役で絶賛を博したテイラー・シリングが、エステベスとの掛け合いをいきいきと演じ、極上のアンサンブル劇に厚みを与える。
場面写真には、図書館を占拠する大勢のホームレスたちの中心で決意の表情を浮かべる、主人公の図書館職員に扮したエミリオ・エステベスの姿や、夜の図書館に駆け付けた警察官たちと図書館職員の同僚(ジェナ・マローン)の姿、扉の前に本棚や椅子を重ねて作られたバリケード、そしてよもや突入寸前の様相を呈した警官隊を率いる刑事(アレック・ボールドウィン)の姿などが収められる。
『パブリック 図書館の奇跡』
7月 ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次公開
監督・製作・脚本・主演:エミリオ・エステベス
出演:アレック・ボールドウィン テイラー・シリング クリスチャン・スレイター ジェフリー・ライト ジェナ・マローン マイケル・ケネス・ウィリアムズ チェ・“ライムフェスト”・スミス
配給:ロングライド
【ストーリー】 米オハイオ州シンシナティの公共図書館で、実直な図書館員スチュアート(エミリオ・エステベス)が常連の利用者であるホームレスから思わぬことを告げられる。「今夜は帰らない。ここを占拠する」。大寒波の影響により路上で凍死者が続出しているのに、市の緊急シェルターが満杯で、行き場がないというのがその理由だった。約70人のホームレスの苦境を察したスチュアートは、3階に立てこもった彼らと行動を共にし、出入り口を封鎖する。それは“代わりの避難場所”を求める平和的なデモだったが、政治的なイメージアップをもくろむ検察官の偏った主張やメディアのセンセーショナルな報道によって、スチュアートは心に問題を抱えた“アブない容疑者”に仕立てられてしまう。やがて警察の機動隊が出動し、追いつめられたスチュアートとホームレスたちが決断した驚愕の行動とは…。
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