劇場興収36億円超えを果たした、これまで日本中にたくさんの笑いと感動を届けてきた三谷幸喜監督が中井貴一主演で贈る大ヒット作『記憶にございません!』のブルーレイ&DVDが、4月29日に発売される。このほど、三谷監督と中井がスペシャル・エディションの特典となるオーディオコメンタリーの収録に臨んだ模様が披露された。
収録にあたり、都内スタジオで久しぶりに顔を合わせた三谷幸喜監督と中井貴一。コメンタリー収録に初めて参加するという中井に、三谷が「一番、評判が悪かったのは佐藤浩市とやった『ザ・マジックアワー』」と打ち明けると、中井も「うるさすぎたからなんですか?」と笑うなど、序盤から息の合ったトークが展開された。
物語冒頭、総理の入院シーンが映し出されると、中井は「誰にも言ってないことがあるんですけど…」とさっそく口を開き、「足をベッドに強打して、右足のくるぶしが倍に腫れた。一週間くらい痛かった」と告白。すると三谷は「なんで言わないんですか?」と気遣うも、「変な心配をかけたくないし」という中井の返答には「だったら、今も言わないでほしかったな」と首をかしげるなど、和気藹々としたムードで収録は順調に進んだ。
続いて盛り上がりを見せたのは、映画公開後に大きな話題となった天海祐希の出演シーン。この“天海祐希がどこに出ているかわからない問題”には中井も激しく同意し、今日こそは見逃すまいと集中する。三谷の「出ますよ!出ますよ!」との楽しそうな声に導かれて映像を注視するも、あまりに一瞬の出来事に「わかるわけないじゃないですか!これをみんながわかってたら、俺、役者やめるよ(笑)」と画面の中央で芝居をする主演としての本音をこぼした。
また豪華かつ壮大な撮影セットについて話題が及ぶと、「今の映画界で、こんな風にセットを作ってもらえることはない。三谷映画は見事」と中井は語った。最近は、実際にある現場をロケ地として使う“ロケセット”が多くなっていると話し、「こんなに丁寧に作りこまれたセットで作品ができるのはすごいと思う」としみじみ。その後も「美術さんの腕を鈍らせないために、続けた方が良い」と熱を込めた。一方の三谷は自身を「図面だけだとイメージできない人間」だといい、「なるべく大きな部屋にして」などざっくりと希望を出し、セットが完成した段階で「そこから、どうおもしろくしていくか」と演出の裏側を語る一幕もあった。
コメンタリーには、キャストとのエピソードも続々登場。三谷作品初出演となる小池栄子について、中井は持っているポテンシャルがすごいと絶賛。三谷は「中井さんに『自信持って』と言われて頑張ってる女優さんはいっぱいいる…みんなに言ってるんじゃないですか!?」と冗談を交えつつ小池の才能を称賛。またディーン・フジオカについて「しゃべるテンポが遅い、喋り出しも遅い」と三谷節を炸裂させると、中井は頷きながらも「とっつきにくいかと思ったら、ものすごく気さくな人でした。芝居中も(ディーン・フジオカが)崩れない」と感心しきりで、三谷もそれに同調した。
さらに三谷は「吉田羊と僕を出会わせてくれたのは、中井さん」と明かし、「最初は風変わりなロシア風の帽子をかぶっていて、アニメの登場人物かと思った(笑)」と回顧。その後、劇団再結成時の舞台に吉田を起用したといい、「一番新人で、ガチガチに緊張していて。劇団員の梶原(善)とか西村(まさ彦)とか相島(一之)とか、(吉田に対して)『大丈夫だよ!』という感じだったのに、あっという間に追い越していきました」と笑った。
ここで、本作の見どころの一つである中井と佐藤の長回しシーンに突入。記憶喪失になった総理が、現状を隠しながら佐藤演じるフリーライターとバーで取引をする場面なのだが、三谷は「どう考えても長回しで観たかった」と振り返る。三谷が「二人芝居を2時間観たい」と話すほど好相性の二人だが、実は役へのアプローチ方法が正反対。ちょっとした動作まで現場で念入りにプランを立てる佐藤に対し、中井は現場に入るなり「さぁ、始めよう」と飄々と撮影に臨むというのだ。
中井の父は佐田啓二、佐藤の父は三國連太郎と、互いに“名優の息子”という共通点を持つ二人。中井は津川雅彦から聞いた話として、「うちの親父の台本には何も線が引いてないけど、三國さんの台本には事細かに書いてある。三國さんが芝居は“理論だ”と言うけど、親父は“空気だ”と。親子って似るんだなって思いましたね」と貴重な秘話を紹介。思いがけない役者論に、三谷は「おもしろいですね」と感慨深げだったが、中井は慌てて「俺も、何も考えてないわけじゃないですからね!」と念押し。三谷は「わかりますよ(笑)」と絶大な信頼を寄せる中井の演技プランに理解を示した。
収録中は、中井から三谷へ「どういう風に台本を書いている?」「カットする場面はどう選ぶ?」、三谷から中井へ「自分で映画を撮りたいとは思わない?」など質問を投げ交わす姿も。外務大臣役の飯尾和樹の耳が大きい理由や、濱田龍臣をキャスティングした意外なきっかけといった本作にまつわるエピソードはもちろん、中井が思う“役者の引退”や、三谷が非日常の世界観を描く際のこだわりなど、ここでしか聞けない裏話が次々披露された。
収録を終えた三谷は、「中井さんと話すことでいろいろ思い出してきました。ベッドに足を打って痛かったとか、知らなかったことや、いろんな思いがわかって楽しかったですね」とコメント。“見どころなど、メッセージをいただけますか?”とお願いすると、「いつも同じようなことになっちゃうからな…あとでメールしてもいいですか?家で繰り返し観てほしいとか、細部まで楽しんで観てくださいとか、いつもそんなことばかり言ってるから(笑)」と最後まで三谷らしい返答で場を和ませ、この日は締めくくられた。
なお、後日三谷が送ったコメントは以下の通り。「僕の映画の1番の見どころは、俳優さんたちのお芝居です。今回の映画でも、素晴らしい俳優さんたちが画面の隅々で素晴らしい演技をしています。ブルーレイ・DVDでぜひ何回も繰り返して見て頂いて、そのお芝居をお楽しみ頂ければ幸いです」。
▼『記憶にございません!』ブルーレイ&DVD 商品情報
4月29日(水)発売/レンタル開始
発売元:フジテレビジョン
販売元:ポニーキャニオン
■ブルーレイ スペシャル・エディション
¥6,700円+税
■DVDスペシャル・エディション
¥5,800円+税
【スペシャル・エディション共通 映像特典】
●映画『記憶にございません!』9月13日公開準備委員会 特別質疑
●宣伝放送
●イベント映像集
●未公開シーン集
●特別映像「まったく記憶にございません」ミュージックビデオ/メイキング&インタビュー
●予告編集
●CM集
【スペシャル・エディション共通 音声特典】
●オーディオコメンタリー(三谷幸喜 × 中井貴一)
■ブルーレイ スタンダード・エディション
¥4,700円+税
■DVDスタンダード・エディション
¥3,800円+税
【スタンダード・エディション共通 映像特典】
●予告編集
●CM集
※商品仕様、デザイン等変更の可能性あり。
『記憶にございません!』
監督・脚本:三谷幸喜
出演:中井貴一 ディーン・フジオカ 石田ゆり子 草刈正雄 佐藤浩市 小池栄子 斉藤由貴 木村佳乃 吉田羊 山口崇 田中圭 梶原善 寺島進 藤本隆宏 迫田孝也 ROLLY 後藤淳平(ジャルジャル) 宮澤エマ 濱田龍臣 有働由美子
【ストーリー】 病院のベッドで目が覚めた男(中井貴一)。一切の記憶がない。ふと見たテレビのニュースに自分が映っていた。演説中に投石を受け、病院に運ばれている首相。そう、なんと、自分はこの国の最高権力者で、石を投げつけられるほどに…すさまじく国民に嫌われている!!!「あなたは、第百二十七代内閣総理大臣。国民からは史上最悪のダメ総理と呼ばれています。総理の記憶喪失はトップシークレット、我々だけの秘密です」真実を知るのは、秘書官3名のみ。政策はもちろん、大臣の顔と名前、国会議事堂の本会議場の場所、自分の息子の名前すら分からない総理。記憶にない件でタブロイド紙のフリーライターにゆすられ、記憶にない愛人にホテルで迫られる。どうやら妻も不倫をしているようだし、息子は非行に走っている気配。そしてよりによってこんな時に、米国大統領が来訪!他国首脳、政界のライバル、官邸スタッフ、マスコミ、家族、国民を巻き込んで、記憶を失った男が、捨て身で自らの夢と理想を取り戻す!果たしてその先に待っていたものとは…!?
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