窪田正孝「とにかく冷やす!高熱になった」という“ペンギン”役の演技を永瀬正敏が絶賛「ペンギンにしか見えなくなった(笑)」

連合赤軍事件を題材にした「レッド」で第14回文化庁メディア芸術祭優秀賞を受賞した山本直樹の短編漫画を、主演に永瀬正敏、共演に窪田正孝、小西桜子を迎えて実写映画化する『ファンシー』が、2月7日に公開初日を迎えた。それを記念して、2月8日にテアトル新宿にて公開記念舞台挨拶が行われ、キャストの永瀬正敏、窪田正孝、小西桜子、廣田正興監督が登壇した。

本作で長編監督デビューとなった廣田監督は、これまで数々の作品の助監督やメイキングディレクターを担当し、永瀬が主演を務めたドラマ版「私立探偵 濱マイク」に参加。元彫師で郵便屋の主人公・鷹巣明を演じた永瀬は「17年ほど前に、廣田監督が『商業映画デビューするんだったらこの作品でデビューしたい』と、原作の『ファンシー』を読ませてもらった」ようで、「その時に『その際はぜひ出てください』と言ってくれたので、軽く『いいよ』と答えてしまいました(笑)」と当時を振り返る。「17年前の約束をちゃんと守れて良かった。監督が諦めなかったというのが素晴らしいと思って、今回改めて声をかけてもらって(出演は)即決でした」と出演への想いを語った。

鷹巣の唯一の友人で人気ポエム作家のペンギン役を演じた窪田。原作ではペンギンそのものとして描かれており、「原作を読ませてもらってもペンギンしかいなかったから、これはどうするの?特殊メイクかな?と思いました(笑)」と戸惑いもあったという。ペンギン役を演じるにあたり、「とにかく冷やす!」を意識していたが、「静岡の別荘で撮影していて、高熱になりました。寒かったのもあったんですけど、体調を崩しやすい役で、撮影を止めてしまったこともありました」と、撮影時の思いがけないエピソードも披露。そんな窪田を、永瀬は「人類を超えてますから」「最初のカットから自分のペンギン像がしっかりあって、ペンギンにしか見えなくなっちゃってました(笑)」とベタ褒めしていた。

本作で商業映画デビューとなった小西は、永瀬と窪田との共演について、「こんな日が来るとは思わなかったです。すごい光景だなと改めて思います」と感激した様子でコメント。窪田とは映画『初恋』でも共演しているが、撮影は「『ファンシー』が初めて」とのことで、「お二人がお相手で、これが初めての映画で心から良かったなと思っています」と感謝の気持ちを伝えていた。そんな小西を、永瀬は「一生懸命さが伝わってきて、現場が締まる感じがしました。素晴らしかったです」、窪田も「透明な心がそのまま役に浸透していたので、それを真正面で受けた時に『あ、穢れてるのか。ダメだ、俺』ってなったぐらい(笑)。真っ直ぐなピュアさに救われました」と絶賛した。

撮影は長野県の上山田温泉街で行われ、永瀬は「地元密着で映画を撮っている感じがして、いい思い出です。上山田の温泉の方には本当にお世話になりました。ぜひ聖地巡礼で行ってみてください」と客席に撮影地をアピールする一幕も。注目してほしいシーンは?と聞かれた窪田は「ペンギンなので、食べる物はこだわりがあります。僕もあの食べ方は初めて」とのこと。冷えたオイルサーディンを食べるシーンもあったようで、「とても冷たかったですね…。キンキンだったので、アイスを食べてるみたいでした(笑)」と苦笑いを浮かべていた。

『ファンシー』
2月7日(金)より、テアトル新宿ほかにて公開中
監督:廣田正興
原作:山本直樹「ファンシー」
出演:永瀬正敏 窪田正孝 小西桜子 深水元基 長谷川朝晴 坂田聡 今奈良孝行 飯島大介 吉岡睦雄 澤真希 阿部英貴 ガンビーノ小林 つぼみ 尚玄 川口貴弘 榊?英雄 佐藤江梨子 外波山文明 宇崎竜童 田口トモロヲ
配給:日本出版販売

【ストーリー】 とある地方の寂れた温泉街。時が止まったように昭和の面影を色濃く残すこの町で彫師稼業を営む鷹巣明(永瀬正敏)は、昼間は郵便配達員として働き、町外れの白い家に住む若き詩人にファンレターを届けている。一日中サングラスをかけている謎めいた鷹巣と、ペンギン(窪田正孝)と呼ばれる浮世離れしたポエム作家はなぜかウマが合い、毎日たわいない雑談を交わしていた。そんなある日、ペンギンのもとに彼の熱狂的なファンである月夜の星(小西桜子)という女子が「妻になりたい」と押しかけてくる。折しも地元の町では、ヤクザの抗争など血生臭い出来事が続発。やがてニヒルで粗暴な鷹巣、ロマンティストで性的不能のペンギン、少女のように夢見がちな月夜の星が陥った奇妙な三角関係は、激しく危うげに捻れていくのだった…。

©2019「ファンシー」製作委員会