斎藤工「カートゥーン・サルーンに心からの敬意を」、アンジー「作品に関われたことを誇りに思う」著名人絶賛!『ブレッドウィナー』

第90回アカデミー賞長編アニメ映画賞にノミネートされたノラ・トゥーミーの単独初監督作『ブレッドウィナー』が、12月20日より公開される。このほど、各界著名人より本作を絶賛するコメントが寄せられ、併せて、新場面写真がお披露目となった。

本作は、家族のために髪を切り“少年”になった勇気ある少女の物語。タリバン政権下、争いによって荒廃したカブールの町で、11歳のパヴァーナは、家族と小さな部屋に暮らしている。ある日、突然父親がタリバンに連行され、家族の暮らしは一変。家族のために、パヴァーナは髪を切り少年になりすまし町に出て、父親を救いだす方法を探そうと決意する。

▼著名人 絶賛コメント

■アンジェリーナ・ジョリー(女優/プロデューサー)
何百万というパヴァーナのような少女たちが、圧政や紛争の下で家族を支えながら暮らしています。この物語は、そうした少女たちの計り知れない努力を忘れないためにあります。本作は素晴らしいドラマであり、世界中の人々が主人公に共感することでしょう。この作品に関われたこと、観客の皆さんと共有できることを誇りに思います。
▲(左から)ノラ・トゥーミー監督、アンジェリーナ・ジョリー

■斎藤工(俳優/映画監督)
11歳の少女パヴァーナが断髪をする意味を、“これ”が世界の何処かで起きてしまっている事を、我々がこの美しき作品で受け止める事で僅かでも一路の光になると信じたい。カートゥーン・サルーンの作品創りに心からの敬意を込めて。

■サヘル・ローズ(女優)
平和と自由を噛みしめて生きていますか?そうでない人々がどんな思いで生きているのか?家族を奪われ、生きる権利を奪われた人々。悪になる事で居場所を見出す現状。戦争は、テロリストは誰が生んだの?その中で生きる人々を見て欲しい。そして、時代が産み落とした善と悪とは?未来を託す子どもにも必ず見てほしい、これが“現実”だと。そして平和に溺れないで。

■安田菜津紀(フォトジャーナリスト)
この映画をどうしても、一言で語ることができない。タリバンを利用してきた大国の姿を思わずにはいられなかったからだ。ただ確実に言えるのは、翻弄されるのは常に、パヴァーナのような市井の人々であり続けていることだ。

■東えりか(書評家)
私の父は特攻隊の生き残りだった。晩年、日の丸いっぱいに書かれた寄せ書きを見せてくれ、楽しかった思い出を語ってくれた。悲しい話はしなかった。今でも、爆撃から逃げ回る世界がある。男と女の価値が違う世界がある。文字の読めない人がいる世界がある。玩具に爆弾を仕掛ける世界がある。何をするにも命がけな世界がある。それでも明るい未来を作る物語は老若男女、貧富、国籍、言葉、宗教に関わらずみんな大好きだ。11歳の少女の悪夢が、いつか楽しい記憶にすり変わって、この映画のように美しく永遠に紡がれていきますように。

■教来石小織(World Theater Project代表)
すべての映画は尊いけれど、時々この世に生まれたことに大いなる意味を持つ映画があって、本作がまさにそうでした。圧制下で家族を支えるパヴァーナの姿に、世界に何百万といる同じ境遇の少女を重ね、せめて映画の中だけでも希望に満ちた最後を迎えて欲しいと願いながら観ていました。だから最後は涙が溢れました。少女を突き動かしたのは、家族への愛と物語の力。パヴァーナの勇気の物語が、世界の多くの少女達に届きますように。

■ユペチカ(漫画「サトコとナダ」作者)
男の子だったら…。女の子になれたら…。自分ではない性に生まれたらと、誰もが一度は考えたことがあるでしょう。その必要に迫られたことは、あったでしょうか。幼いパヴァーナは家族のため、美しい髪を自ら切り落とし、兄のものだった服を着て、男の世界がどのようなものかを知る事になります。初めて客として扱われた時の、高揚したパヴァーナの顔。妹の髪を切る姉の横顔。彼を呼びとめる、母の顔。目を背けたくなる様な現実の中、やられっぱなしではいられないと立ち上がり続ける一人の女の子のお話に、心を揺さぶられました。丁寧で新鮮な演出に加え、日本の多くのアニメとはまた異なった空気感、絶妙な間と絵の美しさ、ストーリーの運びに魅入ります。まるでパヴァーナと、一緒に埃っぽい路地に立って、息を潜めているような錯覚に陥りました。重くて悲しいだけの話ではありません。ぜひ、パヴァーナという女の子を知ってください。

『ブレッドウィナー』
12月20日(金)よりYEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次公開
監督:ノラ・トゥーミー
原作:デボラ・エリス「生きのびるために」
制作:カートゥーン・サルーン
エグゼクティブ・プロデューサー:アンジェリーナ・ジョリー
アニメーション監督:ファビアン・アーリンハウザー
脚本:アニータ・ドロン
声の出演:サーラ・チャウディリー ソーマ・チハヤー ラーラ・シディーク シャイスタ・ラティーフ カワ・アダ アリ・バットショー ヌリーン・グラムガウス
配給:チャイルド・フィルム ミラクルヴォイス

【ストーリー】 2001年アメリカ同時多発テロ事件後のアフガニスタン、カブール。11歳のパヴァーナは、お話を作って家族に聞かせるのがとても上手な女の子。しかしある日、父がタリバンに捕まり、パヴァーナたちの暮らしは一変。女性一人での外出が禁じられているため、パヴァーナは髪を切り「少年」になって、一家の稼ぎ手(ブレッドウィナー)として町に出る。パヴァーナが目にした新しい世界とは?家族たちの運命は…?