2016年の第8回東宝「シンデレラ」オーディションでグランプリを受賞した福本莉子が初主演を務め、岡山を舞台に果物和菓子に魅せられた女性が奮闘する姿を描いた映画『しあわせのマスカット』が、2020年初夏に公開される。このほど、現地時間11月6日から14日まで米ロサンゼルスにて開催されていたアジアン・ワールド・フィルム・フェスティバルで、“Japan Day”部門に選出された本作のワールド・プレミア上映が11月13日に行われ、当日の公式上映と翌日のレッドカーペットに福本莉子とプロデューサーの丹羽多聞アンドリウが登壇した。
上映会場には、地元の映画ファンや現地の映画人たちが集結。上映中には笑い声が多く聞こえ、上映後の質疑応答では、ほとんど退場する観客もおらず、熱気にあふれた質問や作品へのコメントが出るなど質の高い上映会となった。
あるアメリカの女性映画評論家は、「今のアメリカ映画が失っているもの、“家族の結びつき”や、“団体としての会社の価値”を真っ直ぐに描いた、素晴らしい作品」と本作を絶賛。また、本映画祭のチームスタッフの一人として名を連ね、TVドラマ「Mr.Charming」などの作品で活躍している台湾の俳優、アンソン・チェンは、本作を「作品のタイトル通り、“人生の素敵なデザートのような、甘酸っぱくてかわいい映画”」と称賛。福本に対しては「本当に可愛い女優で、福本さんは主人公のように気丈な女性なのか、役作りなのか、わからないぐらい自然に感じました」と述べた。上映後の写真撮影では、作品を観た観客が福本に一目会いたいと最後まで長い列が続いた。
プロデューサーの丹羽は、「岡山は、ハリウッドのように晴天が多く、映画の撮影には最も適した土地だが、撮影の1年前に脚本の取材に岡山入りした際に、実際の水害の話を伺い、当初考えていたストーリーから大幅に変更させて今の作品に行き着いた」と回顧。主演の福本は、「人生初めてのアメリカ滞在で、こうやって自分の主演映画が国境を越えるなんて信じられないサプライズです」とコメントし、「アメリカ映画の出演に興味があるか?」と記者に聞かれた際には「英語を勉強して戻ってきたい」と将来の抱負を語った。
本映画祭では、ハリウッド映画界の一線で活躍する俳優らを称える“特別賞”に、俳優・真田広之も選出された。
『しあわせのマスカット』
2020年初夏 全国公開予定
プロデューサー:丹羽多聞アンドリウ
出演:福本莉子 竹中直人
配給:BS-TBS
【ストーリー】 北海道から修学旅行で岡山に来ていた相馬春奈(福本莉子)は、入院中の祖母のために、ぶどうの高級品と言われる“マスカット・オブ・アレキサンドリア”をお土産にしようとしたが財布を落としてしまう。あまりの値段の高さに諦めの境地だったが、そんな時に見つけたのが、アレキサンドリアをそのまま和菓子にした「陸乃宝珠」だった。手元に残っていたお金でそれを買った春奈は、祖母が食べて喜んでくれたことに感動し、「お菓子は人を幸せにする!」と、その和菓子を発売していた岡山の老舗和菓子メーカー、宗家 源 吉兆庵に就職をした。笑顔で元気な春奈だったが、研修中は何をやらせても失敗ばかりで、困った人事部は、昨年の新入社員が半年足らずで辞めてしまったという、偏屈で名高いぶどう農家・秋吉伸介(竹中直人)のところに配属させたのだった。拒否されながらもなんとか伸介にくらいつく春奈。なかなか心が通いあえなくても負けずに頑張るその姿に、次第に伸介との距離を縮めていく。そんな時、岡山県を未だかつて経験したことのないという、大雨、大洪水が襲った…。
©『しあわせのマスカット』製作委員会