『ポルトの恋人たち 時の記憶』の舩橋淳監督が、セクハラとジェンダーバイアスを正面から描いた長編映画『些細なこだわり』が、2020年に公開されることが決定し、特報映像がお披露目となった。
ある巨大ホテルチェーンの職場で起きたセクハラ事件を題材に、ドキュメンタリー撮影がほぼ不可能なセクハラの現場、LGBTのカミングアウトを、実在した事件への取材や当事者の証言をベースに映画化した本作。“できるだけリアルな状況に近づける”ために、独立系映画・劇団の俳優陣による即興形式で撮影が行われた。舩橋淳監督曰く「男性目線で書いた脚本自体を疑ってかかる」ゆえに、女優陣にアイデアのみを伝え、自分たちの価値観、自分たちのジェンダー感覚を盛り込んだセリフが多用されており、まるでセクハラ現場のドキュメンタリー、カミングアウトのドキュメンタリーを観ているかのような感覚を味わえる。
監督は、『ポルトの恋人たち 時の記憶』、『フタバから遠く離れて』、『ビッグリバー』の舩橋淳。劇映画とフィクションを交互に発表し続ける同監督だからこそできる本作は、現在、2020年の劇場公開に向けて、ポストプロダクション費用をクラウドファンディングで募集中だ。
■舩橋淳(監督) コメント
日本は、ジェンダー・イコーリティが世界で110位。“先進国”中では圧倒的な最下位の、ジェンダー後進国です。だからこそ、実在した事件、被害者、加害者に丹念に取材を重ね、問題の核心を掴もうとしました。日本社会に根強くある、男女の格差、マイノリティのLGBTに対する意識の欠落を、浮かび上がらせたい。
『些細なこだわり』
2020年公開
監督:舩橋淳
出演:平井早紀 伊藤恵 吉川みこと 中澤梓佐 木村成志 矢口文一 田口善央 辻井拓 藤村修アルーノル 山中隆史 岡田華奈
配給:タイムフライズ
【ストーリー】 ある巨大ホテルチェーンの職場で起きたセクハラ事件。#MeToo運動で世間を騒がせているセクハラが、まさか自分たちの職場で起こるとは…。事件をきっかけに、接客係、フロント、マネージメント、広報で働くホテル従業員たちの関係に亀裂が入る。そのとき、彼らの中にあった恋愛関係、互いに憧れていた男女、互いに認め合ってきた上司と部下の関係、同僚同士の関係にも亀裂が入り、「正しい男女の距離感って、いったい?」と現場全体がぎくしゃく。神経過敏症に陥ってしまう。そんな時、ある男性社員の発案で、湘南にある社員用保養施設に有志で遊びにいくことにする。同僚みんなでリゾートに行き、楽しい気分になれば、という善意の企画だったのだが…。