『米軍(アメリカ)が最も恐れた男 その名は、カメジロー』(2017)に続く第2弾で、瀬長亀次郎の生涯と日本復帰直前の沖縄の激動の歴史を深く描くドキュメンタリー『米軍(アメリカ)が最も恐れた男 カメジロー不屈の生涯』が、8月24日に公開初日を迎え、渋谷・ユーロスペースにて行われた初日舞台挨拶に佐古忠彦監督と内村千尋さん(瀬長亀次郎の次女)が登壇した。
初日の上映は初回、2回目が満席となり、2017年に公開された第1作同様に観客の熱気に包まれた初日を迎え、上映を見終わった観客から温かく大きな拍手が巻き起こる中、佐古忠彦監督と内村千尋さんが舞台挨拶に登場した。
初日を迎えた感想を聞かれた佐古監督は、「結構気が小さく心配性なので、胃が痛くなりました。こんなに多くの人に来ていただいて感謝しています」と挨拶。内村さんは「沖縄の初日では10時からの初回を見ようと、那覇から1時間もかかる、うるま市からバス2台を借り、団体で50名の方が来てくれました。待ってくれていたんだと感じました」と、17日に先行して初日を迎えた沖縄の盛り上がりを伝えた。
2作目を作った理由を佐古監督は「1作目の上映中に、カメジローさんの不屈の精神の背景を知りたい、人間としてのカメジローを知りたいという声が多く聞かれ、私も同じ思いでした。新たに人間カメジローを描きたいと思って、たくさんの資料映像を再発見し、カメジローさんの230冊を超える日記や資料を読み込みました」と語った。また内村さんが「整理されていない母の日記もあって、私自身も発見がありました。丁寧に作っているので、佐古さんなら大丈夫、やりましょうと言いました」と励ました内幕を語り、「2作目を見て、1作目よりよく出来ている、安心して、と監督に伝えました」と語ると、観客から拍手が起こった。
司会者から「父親としての亀次郎さんはどうでしたか?」と聞かれると内村さんは「厳しい父でした。怒られた思い出が多いのですが、改めて父の日記を読むと、どうして怒ったのか理由が書いてあり、そうだったのか…と分かりました」と答え、父との思い出を語った。
最後のメッセージを問われた佐古監督は「戦後の沖縄でこんな闘いをしていた人がいたんだ、と亀次郎さんのことを多くの方に知っていただき、とても嬉しいです。映画の中での当時の佐藤首相とカメジローの論戦のように、50年近く前の政治の場で、相手の存在、違う考え方を認め、論じ合う、そういう場がありました。その映像がこんなに新鮮に見えると驚いてしまうのはいけないのですが、昔のことを描きながら、実は、今の沖縄、そして日本全体の有り様につながる地続きの歴史を描いています。今日は皆さま、1回見ただけではわからなかった事も詰まっていたと思いますので、お時間ができたらまた亀次郎さんに会いに来て頂けたらと思います」と語り、舞台挨拶は幕を閉じた。
『米軍(アメリカ)が最も恐れた男 カメジロー不屈の生涯』
8月17日(土)より、沖縄・桜坂劇場にて先行公開中
8月24日(土)より、東京・ユーロスペースほか全国順次公開中
監督:佐古忠彦
テーマ音楽:「Sacco」「Gui」作曲・演奏 坂本龍一
音楽:坂本龍一 兼松衆 中村巴奈重 中野香梨 櫻井美希
語り:山根基世 役所広司
配給:彩プロ
(C)TBS テレビ