1969年のデビューから今年で50年を迎えた音楽家・細野晴臣に迫るドキュメンタリー『NO SMOKING』が11月に公開されることが決定し、併せて、特報映像と場面写真がお披露目となった。
今年でデビュー50周年を迎え、近年ではカンヌ国際映画祭パルムドール受賞作『万引き家族』の音楽を担当し、国内だけでなく世界中のアーティストからリスペクトされる生けるレジェンド、細野晴臣。本作では、幼少期の音楽との出会いを皮切りに、「はっぴいえんど」「YMO(イエロー・マジック・オーケストラ)」での活動、そしてソロとしての音楽活動など、細野の足跡をたどっていく。
さらに、近年の活動にカメラが完全密着。2018年台湾公演を皮切りに、ロンドン、ニューヨーク、LAで開催されたワールドツアーの模様などの映像も余すところなく盛り込まれているだけでなく、バンドメンバー(高田漣、伊賀航、伊藤大地、野村卓史)とのリラックスした交流の映像も映し出されており、普段は見ることができない細野の音楽活動の一端が垣間見える内容となっている。ロンドン公演では、高橋幸宏、小山田圭吾が参戦、坂本龍一も飛び入り参加し、5年ぶりにYMOメンバーがそろった奇跡の演奏の瞬間が映し出されるほか、水原希子やカナダのシンガーソングライター、マック・デマルコなど若い世代のアーティストたちからも愛されるだけでなく、お互いにインスパイアし続けながらも自身の音楽も進化させる姿や、細野の師匠と言っても過言ではない音楽プロデューサー、ヴァン・ダイク・パークスとの交流の様子、自身のルーツを語る貴重なインタビューも収録されている。
特報映像では、音楽と煙草と珈琲と散歩を愛する細野が「楽しいことがやりたい」と語り、親しい仲間たちとコントに挑戦するお茶目な一面も見られる映像となっている。
■タイトル『NO SMOKING』とは?
世界中を旅して最も感じたことは、当然のことながらどこもNO SMOKINGだったということです。しかしそれは屋内のこと。外ではほぼ喫煙OK。意外と寛容なところがありました。紐育、倫敦では路上ポイ捨てが常識で、それに馴染めずに自分は携帯灰皿を持ち歩いたのです。それを見た土地の人から「礼儀正しいね、でも吸い殻を清掃する業者の仕事を奪う」ってなことを言われました。なるほどそういうこともあるのか。その携帯灰皿を紐育で紛失し、買い求めようとしたらどこにも売ってません。あれは日本独自のものらしい。仕方なく紙コップを持ち歩きました。日本の路上禁煙は珍しい例だそうです。香港はブロック毎に大きな灰皿が設置してあり、喫煙率が高そう。長旅でホテルに泊まれば、ぼくは1時間毎に外の喫煙所へ出ることになり、それはかなり苦痛なことです。部屋で吸えば高額な罰金を取られますから。世界が歩調を揃えているこの禁煙法には違和感を持ちつつも、逆らうことはできません。ですから人に迷惑がかからないことを念頭に、周囲を見渡しながら喫煙を心がけているわけです。喫煙所さえあれば一安心。こうしてNO SMOKINGの世界でSMOKERを自認するのは、ひょっとするとタバコをやめるよりも意志の強さが必要となります。煙を吐くだけで差別され、否応なく少数派の立場に立たされるのですから。「詭弁を言わずにやめたら?」と言われます。いやいや、20世紀の文化を支援してきた紫煙に、突然愛想をつかすわけにはいかないのです。(細野晴臣)
■細野晴臣 コメント
自分の映画が出来上がって上映されるとは夢のようですが、同時に悪夢だとも思えます。何故生きている間にこんなことになったのかといえば、今年になって50年も音楽生活を続けてきたせいでしょうか。このような映画を自分で作ることはできません。製作陣の熱意があってこそ実現したものであり、自分も観客のひとりとして見ることになります。しかし到底客観的な評価などできるはずもありません。どうか見た人が少しでも得ることがあるように、と祈るばかりです。
■佐渡岳利監督 コメント
YMOに衝撃を受けた少年時代から仕事をご一緒させていただく今に至るまで、細野さんを「スゴい!」と思い続けてきました。私と同じ思いの方には、その再確認ができて、初めて細野さんに出会った方には我々と同じ思いになれる映画にしたいなと思います。カッコ良くて、カワいくて、音楽を心から大好きな細野さんに、是非会いにきてください。
『NO SMOKING』
11月 シネスイッチ銀座、ユーロスペースほか全国順次公開
監督:佐渡岳利
プロデューサー:飯田雅裕
音楽:細野晴臣
出演:細野晴臣 ヴァン・ダイク・パークス 小山田圭吾 坂本龍一 高橋幸宏 マック・デマルコ 水原希子 水原佑果
配給:日活
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