ドキュメンタリーの巨匠、フレデリック・ワイズマン監督が、世界で最も有名な図書館であるニューヨーク公共図書館の舞台裏を撮影した『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』が、5月18日より公開される。このほど、各界著名人より本作を絶賛するコメントが寄せられた。
ニューヨーク公共図書館はアメリカを代表する図書館で、タイムズスクエアとグランドセントラルの中間にある本館と92を超える分館に6000万点のコレクションを誇る世界屈指の知の殿堂。地域の住民はもちろん、研究者たちへの徹底的なサービスで、世界中の図書館員の憧れの図書館と言われており、アニメ映画化が話題になった漫画「BANANAFISH」や映画『ゴーストバスターズ』などに登場した図書館としても知られている。
本作では、建物の荘厳さだけでなく、地域の市民に密着したさまざまな活動や、予算獲得やデジタル革命に立ち向かうスタッフたちの喧々諤々の会議シーンなど、一般の来訪者では見ることのできない図書館の舞台裏をふんだんに見ることができる。本作の副題「エクス・リブリス」は、「~の蔵書より」という意味のラテン語で、「蔵書票」「図書票」とも訳され、本の持ち主を明らかにするため、本の見返し部分に貼られている小紙片を指す。
著名人 絶賛コメント
■池澤夏樹(作家)
まず、図書館の多彩な活動を知ることができる。次に、ニューヨークにいる気分が味わえる。そして、あの町のさまざまな顔の人たちに会えるのが楽しい。
■佐々木俊尚(作家・ジャーナリスト)
図書館ってこんなに奥深く、こんなに雑多で、こんなに圧倒的な知の世界だったのか。「静かに本を読む場所」というイメージを深々とひっくり返されました。
■菅谷明子(在米ジャーナリスト・「未来をつくる図書館~ニューヨークからの報告」著者)
ワイズマン監督は、我々を透明人間に仕立てて、図書館を観察させる。映画が進むにつれ「えっ、これが図書館?」と我々の図書館観は打ち砕かれ、見終わる頃には「こんな図書館が日本にあったなら!」と思わずにはいられない。「図書館を超えた図書館」には、日本社会を豊かにするヒントが溢れている。
■想田和弘(映画作家)
人間って本当に不思議で奇妙な生き物だな。ワイズマンの映画を観るたびに、そう思う。題材が病院であろうが、福祉事務所であろうが、裁判所であろうが、軍隊であろうが、図書館であろうが、そう思う。ワイズマンの視線は、異星人のそれである。
■福岡伸一(生物学者・家庭画報6月号より)
図書館は、ネットによってその時間軸をすっかり漂白されてしまったバラバラの知識をつなぎ直し、あるいはバーチャルなネットワークに中毒しがちな人々にリアルな集いの場をもたらし、文字通り、新しい公共を提供する場所となっている。この映画はそれをつぶさに教えてくれる。さあ、私たちももう一度、身近な図書館に足を運んでみよう。そこには必ず発見があるはずだ。
■ホンマタカシ(写真家)
現代の図書館は、ただ本を貸し出すだけではなく、様々なサービス、コミュニケーション、教育の場なんです。ワイズマン先生がその場を、いつも通り淡々と写してくれています。僕はそれを有難く観させて頂いております。
■松岡享子(公益財団法人東京子ども図書館名誉理事長)
この映画を観てもらいたい人。ニューヨークに憧れている人(市内随一の名所)。日本の公共図書館の将来を考えている人(ヒント多数)。トランプ登場以来、アメリカと民主主義に不信を抱いている人(ここに希望がある)。
■光浦靖子(タレント)
常に弱者に目を向ける知の殿堂。日本の政治家と大企業のお偉いさんがこの図書館に憧れてくれたらいいなあ。
■ハリセンボン・箕輪はるか(お笑い芸人)
図書館が扱うのは本だけじゃない!ネット環境がない人にはWi-Fiを。仕事がない人には就職支援を。積み上げてきた知を、市民がつくる未来のために注ぐ現場の熱気に圧倒されました。
■ロバート キャンベル(国文学研究資料館長)
図書館のことを雲の中の虹という人もいたけれど、この映画は虹を覆う雲をひとつひとつ払いのけ、下に生きる我々の幸せと不安と切実な渇きを癒す土壌として「図書館」を描き切っている。社会を考える上でも必見のドキュメントである。
『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』
5月18日(土)より岩波ホールほか全国順次ロードショー
監督・録音・編集・製作:フレデリック・ワイズマン
配給:ミモザフィルムズ ムヴィオラ
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