【幻の作品】フランソワ・トリュフォーの未公開ショート・フィルムがアルゼンチンで特別上映

francois_truffaut_still

The Hollywood Reporter

1962年のアルゼンチンで行なわれた映画祭で撮影された、フランソワ・トリュフォーの幻のショート・フィルム『Los 4 golpes』(スペイン語原題)が、撮影から56年の時を経て、アルゼンチンのマール・デル・プラタ国際映画祭に帰ってきた。The Hollywood Reporterが伝えている。

2年前からこのショート・フィルムをヨーロッパから持って帰り、アルゼンチンでの初めての上映のために尽力した映画祭の関係者によると、トリュフォーは1962年に『突然炎のごとく』をマール・デル・プラタ映画祭で上映し、最優秀監督賞を受賞した。そして後に伝説的な本となる「映画術 ヒッチコック/トリュフォー」のための、アルフレッド・ヒッチコックへのインタビューに備えるため、ベルギー王立シネマテークが主催するヒッチコック回顧展への参加を予定していた。

『大人は判ってくれない』でヨーロッパを震撼させたばかりのトリュフォーは、すばらしい回顧上映を企画してくれたベルギー王立シネマテークへの感謝の気持ちとして、この3分のショート・フィルム『Los 4 golpes』(『大人は判ってくれない』のスペイン語タイトルは『Los 400 golpes』)を、現在でも映画祭の会場となっているアルゼンチンのエルミタージュ・ホテルのロビーで撮影した。

16ミリで撮影された無声のコメディ・スリラーであるこの短編には、若いトリュフォーと女優マリー・ラフォレなど3人の女優が出演している。ヒッチコックの作品に対するちょっとしたユニークなトリビュートであるこの短編は、後に“映画の中の映画”という手法となるチャップリンのようなコメディ要素を取り入れた犯罪ものだ。トリュフォーは、2人の女性とともに犯す殺人のシーンを演じる暗殺者役と、そのシーンをどのように撮影したらいいのか指示を与える監督役の、2役に扮している。

このショート・フィルムの日本での公開は未定だが、上記の「映画術 ヒッチコック/トリュフォー」にまつわるドキュメンタリー映画『ヒッチコック/トリュフォー』は、12月10日より公開される。

↓『ヒッチコック/トリュフォー』の予告編はコチラ