フランスの小説家マルグリット・デュラスの若き日の愛と苦悩を描く、メラニー・ティエリー主演、ブノワ・マジメル共演の映画『あなたはまだ帰ってこない』が2月22日より公開される。このほど、1月23日に発表となった第44回セザール賞(フランス)で本作が、作品賞をはじめ、監督賞、主演女優賞、脚色賞、撮影賞、衣装賞、美術賞、音楽賞の主要8部門にノミネートされた。併せて、各界著名人より本作を絶賛するコメントが寄せられた。
本作は、第二次世界大戦下のナチス占領下のパリで、レジスタンス活動が原因で逮捕された夫の帰還を待ち続ける作家マルグリット・デュラスの複雑に絡み合った心の葛藤と苦悩、また彼女を支える夫の仲間・ディオニスや、彼女との逢瀬を求め続けるゲシュタポの手先・ラビエとの関係を描く。
主人公マルグリット・デュラスを演じるのは、『ザ・ダンサー』や『海の上のピアニスト』のメラニー・ティエリー。過酷な戦時下で愛する人を待つ女性の葛藤を表現し、本作について、「マルグリットの感情を表すよりも、内面でどう生きるか、どのように思考が変化していくのかを描く映画。第二次世界大戦時を舞台にした話ではありますが、現代に通じるものがあります」と語っている。ゲシュタポの手先・ラビエ役には、『ピアニスト』のブノワ・マジメル。このほか、『パーソナル・ショッパー』のバンジャマン・ビオレ、『キリマンジャロの雪』のグレゴワール・ルプランス=ランゲらが脇を固める。
フランス映画芸術技術アカデミーが主催するセザール賞は、フランスの米アカデミー賞と称され、フランス映画界では最も権威のある重要な賞。この賞で本作は、作品賞、監督賞(エマニュエル・フィンケル)、主演女優賞(メラニー・ティエリー)、脚色賞、撮影賞、衣装賞、美術賞、音楽賞の主要8部門にノミネートされた。メラニーは、2010年にセザール賞有望若手女優賞を受賞している。第44回セザール賞は、2月22日(現地時間)に発表となる。
著名人 絶賛コメント
■堀江敏幸(作家)
デュラスの小説では、人ではなく言葉が口を閉ざす。この映画にあふれているのも、口を閉ざした言葉たちだ。
■金原ひとみ(作家)
完全なる乖離、完全なる観察者、見つめるその視線だけが彼女の生。こんなにも無垢で壮絶な生き方があるだろうか。
■小野正嗣(作家)
愛する者の帰還を信じ、待つこと——。しかし、それは決して受動的な行為ではない。希望、疑念、怒り、そして言葉にされえない苦悩と優しさで、画面が静かに震えている。
■村上香住子(エッセイスト)
生きて、愛して、苦悩する。不安の中で愛するひとを待ち、愛の芽生えに流される女心。揺れる大人の愛の珠玉作。
■鹿島茂(フランス文学者・作家)
「待つことの不安」というデュラスの本質の見事な映像化!
■行定勲(映画監督)
愛する人の長き不在に苦悩するマルグリット・デュラスを通し、最前線ではない戦場に生きる人間の苦しさと切実さが生々しく描かれている。狂おしく張り詰めたデュラスの感情は、女性の本質を露わにし美しくも愚かである。
『あなたはまだ帰ってこない』
2月22日(金)より、Bunkamura ル・シネマほか全国順次公開
監督・脚本:エマニュエル・フィンケル
原作:マルグリット・デュラス「苦悩」(河出書房新社刊)
出演:メラニー・ティエリー ブノワ・マジメル バンジャマン・ビオレ グレゴワール・ルプランス=ランゲ エマニュエル・ブルデュー
配給:ハーク
【ストーリー】 1944年、ナチス占領下のフランス。若く優秀な作家マルグリット(メラニー・ティエリー)は、夫のロベール・アンテルム(エマニュエル・ブルデュー)とともにレジスタンス運動のメンバーとして活動していた。ある日、夫がゲシュタポに逮捕される。マルグリットは夫を取り戻すためにゲシュタポの手先のラビエ(ブノワ・マジメル)の力を借り、恐ろしい危険に身を投じることを決意する。愛する夫の長く耐えがたい不在はパリの解放後も続き、心も体もぼろぼろになりながら夫の帰りを待つマルグリットだったが…。フランスの小説家マルグリット・デュラスの若き日の、愛と苦悩を綴った原作を基に描く壮大な愛の物語―。
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