【全起こし】池松壮亮、キム・コッピの涙に感動「世界的に素晴らしい女優、一緒に映画を作れて光栄」映画『君が君で君だ』公開初日舞台挨拶レポート 全文掲載

MC:ありがとうございます。松居監督、ついにオリジナル作品の公開、おめでとうございます。今回、キム・コッピさんをキャスティングするっていうのが粋だなと思ったのですが、このキャスティングの経緯を教えていただいても良いですか?

松居:キム・コッピさんは、『息もできない』という作品を観て、その後に日本映画に出演されているコッピさんを観て、すごく憧れていて、僕の過去の作品が韓国で上映されるというので行った時に「誰か話したい韓国人の方はいらっしゃいますか?」と聞かれて、「キム・コッピさんとお話できたら嬉しいです」と言ったら、来ていただけて。そのイベント中に「僕の映画に出てください」という話をしたら、「台本を待ってます」と言っていただいたので、もともと日本人の女性の役だったんですけど、帰りの飛行機で書き直して。書き直していくうちに、すごく3人が殻に閉じこもる感じだったり、思いの届かなさだったりとか、どんなに追っかけてもつかめない感覚だったりとか、そういう文化の違いも全部出てきたかなと思って、良かったかなと思いました。

MC:そんな松居監督からのラブコールに応えたキム・コッピさんですが、オファーがあった時、どう思われたということと、脚本を読まれてどう思われたのですか?

キム:(日本語で)その時、松居監督の『ワンダフルワールドエンド』という作品を観ました。すごく面白かったです。ぜひご一緒したいと思い、ご一緒できて嬉しいです(笑)。台本をもらって、すごい難しくて(笑)。だけど、監督の作品が好きだから、ぜひやりたいと思いました。

満島:監督どうですか、今の聞いて。

松居:録音して持って帰りたい。目覚ましのアラームにしたい(笑)。

MC:もともとファンだったということで。

松居:はい(笑)。

MC:池松さんは、松居監督ともずっとお付き合いしていると思うんですけど、今回の『君が君で君だ』も相当撮影が大変だったんだろうなと思うんですけど、ご自分の中でここは特に大変だったなと思うシーンはどこでしょうか?

池松:あんまり苦労話をするのは好みではないのですけど、ひとつあげるとすれば、髪の毛を食べるシーンがあるんですよ。つまりコッピさんの髪の毛を食べるシーンがあって、実際コッピさんは韓国から来て、一週間共にして、同士のような共犯者のような、大切な存在なので、劇中では僕の愛する人という設定なので、まあコッピさんの髪の毛なら食べてもいいだろうと思って現場に行ったら、全然知らない人の人毛を食べさせられて(笑)。コッピさんが切った髪の毛を…、こんなの言っていいのかな(笑)。食べるシーンなんですよ。夏の暑いアパートの床に髪の毛が落ちて、それを二時間ぐらいスタッフのおじさんたちがペタペタ踏むんですよ。二時間後ぐらいにそれを拾って食べるという撮影で、足の裏の臭いがするんですよ、食べる時に。なんかね(笑)、屈辱でした(笑)。まあ、そんなことを現場で抗議してもアレですから、帰ってやろうかなと思ったんですけど(笑)、僕はわりと真面目な俳優なので、拾って食べるわけですけど。一生懸命食べてたら、助監督がやってきて「もう、おかわりはありません」って言われたんですよ。すごい食べたい人みたいに言われて、屈辱でした(笑)。

MC:それを満島さんもお付き合いしたんですよね?

満島:一緒に食べてますね。結構いろんなことをやってきましたし、悪戯心があるから。今、聞いているだけで、汗をかいていくるぐらい。ていうか臭かったんですよ、髪が。本当に。しかも髪だけじゃなくて、ホコリも付いてるし。ちょっと楽しみにしていてほしいですけど、そのシーンは。あんまり固くならずに、笑って欲しいなと思いますけど(笑)。そういう激しいシーンというか、あんまり映画の中で観たことのないシーンというのが、たくさんあるだろうなと思いますけど、それも結局は松居さんの脳みその中で生まれていることなんですよ。完全にオリジナルの作品ですから。監督はあのシーンを撮影していて、僕らは食べているじゃないですか。どうなんですか?見ていて。

松居:すごい、普遍的だなと思いながら。

全員:(爆笑)

松居:神話と撮っている感じです。

満島:そういう感じで思ってるんですよ(笑)。