池松壮亮「上海ガニを食べに来た(笑)」『君が君で君だ』第21回上海国際映画祭GALA部門上映&舞台挨拶 レポート

池松壮亮主演、満島真之介、大倉孝二、キム・コッピ共演の松居大悟監督最新作『君が君で君だ』が7月7日より公開される。このほど、6月19日に第21回上海国際映画祭GALA部門にて本作の上映と舞台挨拶が行われ、主演の池松壮亮、松居大悟監督が登壇した。

上海国際映画祭は、会期中に国内外約500作品が上映される、アジア圏最大規模の映画祭。映画祭の中でも注目のGALA部門に出品された本作は、上海最大級である1200人超の座席数を誇る「SFC Shanghai Cinema Hall1」にて上映され、主演の池松壮亮、松居大悟監督が舞台挨拶とティーチインを行った。チケットは発売10分で即完となり、会場は満席。上映中は、笑いも起こり盛り上がりを見せ、終盤にかけて真剣な空気で包まれていった。エンドロールに入った途端に拍手が鳴り始め、池松と松居監督の登場には、割れんばかりの黄色い声で会場内の熱が一気に上がった。

松居監督が「みなさん、こんにちは。松居大悟です。今日はどうもありがとうございます」と中国語で挨拶。池松からは、「みなさん、こんにちは。池松壮亮です。今日はお越しいただきありがとうございます。こうして上海まで来たのですが、僕が伝えたいことは映画に込めたので、とくに言いたいことはないのですが、なぜ上海まで来たのかというと、上海に来ると、上海ガニを食べさせてくれるということで来ました(笑)」と池松節で会場の笑いを誘った。

また本作ついて、松居監督は「この映画をつくるのに7年間かかったのですが、いわゆる人を好きになって、相手も好きになるという、当たり前の愛ではない、愛のかたちを描きたかった」とコメント。司会者から池松に「チャレンジしたことは?」と質問が来ると、「人毛(髪の毛)を食べたこと。それが一番きつかった」と答え、その撮影を振り返るエピソードに、会場は笑いと興奮が入りまじり大盛り上がりをみせた。

さらにティーチインの時間となり、司会者が観客に質問を求めると一斉に手が上がった。来場者から「映画の内容に関すること」や「この愛の異質さ」を尋ねるものなど、限られた時間に数々の質問が続いた。また映画でキャストたちが歌っている尾崎豊の「僕が僕であるために」について聞かれた松居監督は「この映画は、“君が好きだと気づく以前の気持ち”を大事にしたいと思って作りました。『僕が僕であるために』は尾崎豊が愛情の在り方を歌っているような曲だと思っていますので、それを彼らに歌っていただきました」と答えた。さらにメディア取材にて、作品で描かれている恋愛観について聞かれた池松は、「この恋愛に対して、あのようなことはしたことはないけれど、かすかに身に覚えがある」と答え、さらに松居監督について聞かれると、「松居監督は舞台もしている。普通の映画現場よりも長く、稽古を行う。俳優から湧き上がってきたことをもとに、言葉が多いタイプではないけれど、強い言葉を投げかけてくれる。これまで何本も一緒に作品を作ってきたので、ある程度通じ合えている関係性だと思う。その中で今回は、言葉がなくても通じ合えていたのかもしれない。松居監督は“言葉になる前の何か”を、映画を通して、毎作品かたちにしている人。映画を通して、愛という言葉に疑念を持ちながらも探していく。映画を作ることへの希望を感じている」と語った。

日本では来週26日に完成披露を迎え、7月7日に公開となる本作だが、世界への殴り込みは、1200人超の会場を埋め尽くした映画ファン、映画メディアからの熱い注目を集める船出となった。

『君が君で君だ』
7月7日(土)全国公開
監督・原作・脚本:松居大悟
出演:池松壮亮 キム・コッピ 満島真之介 大倉孝二 高杉真宙 向井理 YOU
配給:ティ・ジョイ

【ストーリー】 大好きな子が好きな「尾崎豊」「ブラピ」「坂本龍馬」になりきり、自分の名前を捨て、10年間ただひたすら好きな子を見守ってきた3人の男たちを描いた恋愛譚。触れ合うことも告白することもなく、ただ見守り続けてきた3人が、執拗な借金の取り立てから好きな子を守るべく立ち上がるも返り討ちに!物語は大いなる騒動へと発展していく。

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