MC:ありがとうございました。では改めて中谷さんは、この役との向き合い、そして綾瀬さんと木村さんと共演されていかがだったでしょうか?
中谷:皆様、おそらくご存知だと思うのですが、木村拓哉さんはとてもユーモアあふれる楽しい方なんですよね。本来は。でもね、現場に参りますと、両国でお相撲さんを実際に見たことある方いらっしゃいますか?勝つ方ってたいがいアドレナリンが放出されていて、ものすごく殺気立っているんですよね。その力士の横綱のような殺気が、アドレナリンが殿から放出されていて、普段は楽しい方なんですが、現場に入ると怖くて誰も近寄れない。血なまぐさい香りが本当に漂ってくるんです。戦の香りしてたよね?
綾瀬:はい、すごくしました(笑)。
中谷:そうなんですよ。この綾瀬はるかさんですら「殿が怖い」っていうぐらい、本当に殺気だっていらして。まさに信長が降霊していたっていう感じでした。で、伊藤さんのことをちゃかすわけではないんですが、伊藤さんはチャンバラが上手なので、現場でずっとエキストラさんたちとチャンバラをなさっているんですよ。それがすごく上手なんです。見とれてしまうぐらい。ところが殿は一切刀を鞘から抜かなかったんです。「殿はああいうことはなさらないんですか?」と聞いたら、「これを抜くことの重みが分かっている人間は、あんなことはしない」と(笑)。
伊藤:(崩れ落ちる)
中谷:ごめんなさい(笑)。公衆の面前で本当にごめんなさい(笑)。
伊藤:本当にすみません。今日も危うくこの素晴らしい舞台接待を台無しにするところでした。
MC:そんなことはないです(笑)。ありがとうございます。
伊藤:他にも木村さんが大切にしている、毎日毎日大変な撮影を、怪我もなくパンデミックのまあ、世の中の状況で…、すいません。後々話します。
MC:ありがとうございます(笑)。改めて宮沢さんに戻りますけど、明智光秀というみんながよく知っている人物であり、信長と大変な因縁があり、明智光秀が信長よりも非常に若かったという若年説に基づいてのキャスティングでした。どうやってその光秀に向き合ったのかを伺ってもいいですか?
宮沢:明智は全国的にもファンが多いので、その方々にご迷惑がない範囲で役づくりをしようと思っていて。とにかく光秀は頭が切れて、誰よりも信長に対する愛情や憧れとかがありまして、それは常に持ちつつも、自分にしかできない明智を作ろうと思った時になんなんだろうと思って。それが多分自分が持っているミステリアスさだったり、アンニュイなところをうまく役と融合できたらいいなというふうに思っていたので、意識的に新しい明智を作りたいと思いながら現場に行ってました。
MC:そして染五郎さん。時代劇映画初出演にして森蘭丸という非常に有名な大役でした。蘭丸は常に信長と共にあり、つまり木村さんとの共演シーンが多かったと思いますが、染五郎さんが木村さんとの共演で印象的だったことってどんなことがありました?
市川:そうですね。中谷さんが「アドレナリンが出ていた」とおっしゃっていたんですけど、自分がクランクインさせていただいた時に、本当に初めて撮影したシーンが殿に押し倒されるシーンで、その時に木村さんの後ろに炎が見えたっていうか、後ろから炎が上がっているような。本当に瞳の奥に炎が見えた感じがして、それが初めての撮影だったのもあって、やっぱりすごいなと思いましたし、信長の鬼というか魔王になって行く感じを、もうこの距離でその気迫を感じさせていただいて、とても貴重な時間でしたね。
MC:木村さんから見て蘭丸はいかがでしたか?
木村:そうですね。今、染から「押し倒される」っていうワードが上がったときに、中にはそういうシーンがあるのかなっていう風に想像を膨らました方がいらっしゃるかもしれません。諸説でね、身分の高い人は男色も行っていたということも伝えられていますけれども。初共演とはいえ、自分の中ではつながりを感じさせてもらった上で、信長と蘭丸という関係性を築くことができたんじゃないかなっていうふうに思っています。とにかく作品をこの後、皆さんに観ていただければ、今このステージ上で出演者が口にしていることはすべて理解できると思いますので、ぜひ早くスタートを切ってほしいなあっていう気持ちでいっぱいなんですけども。
MC:すみません(笑)。秀吉の話し聞いてませんでした、音尾さん。
音尾:いいんですか?スタートを切りたいタイミングで(笑)。
MC:聞きたいです。その秀吉役演じるにあたって意識されたこと、役へのアプローチはどうされました?
音尾:秀吉というのもまたね、皆さんにイメージがかなりあるのではないかという役ですから。何よりも信長様との関係性で、それが見えればいいかなと思いまして。とにかく信長様には尻尾振って、もう信長様第一主義で、とにかく盛り上げて盛り上げて、その他の下の者には厳しく、信長様にだけ優しいみたいな。そういうことを心がけて、とにかく気に入られるような感じで行きたいなーと思い、色々考えて入ったんですけれども、現場に入りますと木村さんが私の顔を見て、ニヤニヤニヤニヤと笑っていらっしゃるんです。「なんだ、もう気に入られてる。役づくり関係無いなあ」と思ってよく自分の顔を見たらすごい特殊メイクで。すごくタレ目になっていて、「ありがたい感じするな」って言って、木村さんのハートに刺さり。どうやらそれが秀吉の愛され方に繋がったんじゃないかなと思っております。
MC:そして監督にもお話を聞きたいんですが、この作品で、最もこだわったところは、どこなんでしょうか?