【全文掲載】中井貴一「鳥肌立ちました」、高倉健が電話で「こらえろ」ゴビ砂漠での衝撃秘話を明かす!

MC:それでは、中井さんはいかがでしょうか?

中井:僕は中国で映画を撮影している時に、いろんな問題が起きて、あんまり無いんですけどケツをまくって「日本に帰る」っていう話になって、ホテルで荷作りをしていたんです。ゴビ砂漠のど真ん中にいたんですが、そこから日本に帰るって言っても3日もかかるんですよ。歩いても帰れないから、車をチャーターしなきゃいけないんですけど。で、荷造りをしてたら、ホテルの部屋の電話が鳴ったんです。どうせスタッフだろうと思って出て、中国語の“もしもし”で「ウェイ?」って出たら、日本語で「もしもし?」って言われて。「どうしてる?高倉ですけど」って。高倉健さんからの電話だったんですよ。洗面所で荷造りしてて、その電話が鳴って、出たら高倉さんだったんですよ。人間って面白いもんで、一回窓の外を見るんですね(笑)。多分どっかで見てらっしゃるとしか思えないじゃないですか?それで「どうなさったんですか?」って言ったら、「いや、どうしてるかなと思って電話した」って。そんなタイミングに電話あります!?隣の部屋から電話しない限り無理ですよね。それでその状況を話したりして、高倉さんに「こらえろ」っていうふうに言ってもらうんですけど、その電話の「もしもし、高倉です」って言われた時が鳥肌立ちました。電話があること自体もですけど、そんな絶好なタイミングってあります? そういうところが、すごい人はすごいんだなと思いました。20年前ぐらいのことですかね。

MC:それは鳥肌立ちますね。貴重なお話、ありがとうございます。それでは最後に、今日お越しの皆様に向けて、中井さんからメッセージお願いいたします。

中井:本日は本当にありがとうございました。つたない話で失礼いたしました。ここ数年、コロナというものでエンターテインメントの世界はずいぶん苦しめられました。演劇も映画も、ある時期「不要不急」と言われて、この世界にいる人間にとっては一番こたえる言葉で、俺らの仕事は一番先に「いけない」って言われる仕事なんだなというふうに、何人かは思ったと思います。でも、僕自身もコロナ禍に家の中で過ごさなきゃいけなかったりしましたけど、その中でも僕たちを救ってくれたのはエンターテイメントだったような気がしています。まだこれからもこういう時代が続くかもしれませんけれども、僕たちもそれに負けないように、前を向いて、映画も演劇も続けていきたいなというふうに思っています。でも、これを支えてくださるのは本当にお客様しかいません。お客様が一つの空間に入っていただいて、見ず知らずの人と同じものを観て笑ったり、泣いたりしてくださる、その勇気を持っていただくことが、映画産業や演劇産業が続いていく力になりますので、ぜひこのまま映画館に来ることを恐れないで、足を向けていただきたいと思います。今日ご覧になって、面白くなかったと思った方は観たことを忘れてください(笑)。で、面白いと思った方は隣の人にひとこと言ってください。そうしていくことがお客様が増えていくことになると思いますので、どうぞお力添えをよろしくお願い申し上げます。本日は本当にありがとうございました。

『大河への道』
2022年5月20日(金)より、丸の内ピカデリーほか全国公開
監督:中西健二
原作:立川志の輔「伊能忠敬物語−大河への道−」
脚本:森下佳子
音楽:安川午朗
出演:中井貴一 松山ケンイチ 北川景子 岸井ゆきの 和田正人 田中美央 溝口琢矢 立川志の輔 西村まさ彦 平田満 草刈正雄 橋爪功
配給:松竹

【ストーリー】 千葉県香取市役所では、観光促進として地元を盛り上げるために、“大河ドラマ”の開発プロジェクトが立ち上がる。主人公は伊能忠敬。そう、あの初めて日本地図を作ったことで有名な、郷土の偉人である。しかし、その脚本作りの最中に、ある驚くべき事実を発見してしまう。なんと伊能忠敬は、地図完成の3年前に亡くなっていたのだ!「伊能忠敬はドラマにならない。地図を完成させてないんだ!」「え、じゃあ、誰が?」舞台は江戸の下町へ…。弟子たちに見守られ、伊能忠敬は日本地図の完成を見ることなく亡くなった。動かぬ師を囲んですすり泣く声が響く中、ある人物が意を決し発言する。「では、今しばらく先生には、生きていていただきましょうか…」忠敬の志を継いで地図を完成させるために、弟子たちによる一世一代の隠密作戦が動き出す。そこには、歴史に埋もれた、涙なしには語れない感動のドラマがあった…。

©2022「大河への道」フィルムパートナーズ