MC:登場する人々のバックボーンというのが非常に緻密に描かれていると思ったんですが、脚本を書かれた岸監督は、それぞれのキャラクターのどんなところを意識していたのですか?
岸:それぞれの役割があるんですけど、罪を犯した人、それを追う人。罪1つに対して被害者と加害者が存在していて、そういう人たちの簡単には言い表せない感情があると思うので、それぞれの立場でどう生きて過去の傷に立ち向かっていくか。その辺を非常に脚本には込めて書いて、現場ではお任せして。皆さん、素晴らしかったです。ありがとうございました。
MC:有村さんも、石橋さんとはドラマ、映画とご一緒で、磯村さんとは「ひよっこ」以来の共演ですよね。共演されてどうでしたか?
有村:佳代もみどりさんという存在が、佳代にとってのつっかえ棒のような支えになっていて、私も現場で石橋さんが演じられたみどりさんの存在というのはものすごく大きくて、彼女が現場にいるだけで肩の荷が下りる気持ちで、それぐらい和やかな雰囲気の中で撮影ができましたし、私の中でも存在が大きかったです。バディということで、実際に撮影を進めていく中でも、私は石橋さんのことをすごく大好きだなぁと思いながら(笑)、バディが石橋さんで良かったなってすごく思います。
MC:どうですか?
石橋:大好きです(笑)。やっぱり座長として、本当にみんなが付いて行きたくなるし、みんなを包んでくれている感じもあるし、だけど話すとお茶目だし、本当に素晴らしいリーダーです。
MC:有村さん、磯村さんとの共演はいかがでしたか?
有村:4年ぶりとかですよねえ。本当に久々でちょっと照れくささもありながら、でもこの4年間の中でお互いきっといろんな経験をして、いろんなものを見てきて、とても充実をした目をされていらっしゃって、その姿を見たときに、そういった姿でお互い再会できたことはとても喜ばしいことだなぁと思いましたし、でもご本人の性格みたいなものは一切変わっていなくて、いつも常に穏やかで自分自身と向き合っているような方で、その力強さみたいなものはずっと持っていらっしゃったかなと思います。
MC:磯村さん、いかがですか?
磯村:本当にこの撮影を楽しみにしてましたし、2人の初日が多分再会のシーンで、ちょうど4年経っての久々の一緒のシーンっていうのもあって、感慨深いし照れくさいところもあったんですよね(笑)。ずっと1年間、夫婦の役でやってきた部分もあって、今回は全く真逆の立場からの役柄でのアプローチをしなければいけないので。でも安心感もありましたし、変わらずずっと前に立つというか、しっかり立ってくださっているので、こちらも何でもやりやすいという言い方は安易かもしれないですけど、何を投げても受け止めてくれるので、お芝居をしていても楽しかったですし、さらに人としても女優さんとしても大きく羽ばたいているんだなっていうのは現場で感じました。
MC:ありがとうございます。ここで共通質問です。主人公の佳代は保護司として前科のある人の更生に向けて、いろいろな方法で手助けをしています。皆さんが、あの時「これは勇気づけられたなぁ」というエピソードがあれば教えてください。岸監督からいきたいと思います。
岸:では撮影の中から。この映画には食べるシーンが結構たくさん出てくるんですけど、有村さんにあるものを食べていただくときに、4回ほど同じものを食べていただいたんです(笑)。4回食べ終わった時に、「もう食べられません」と言われまして(笑)。3回目まで食べていただいて本当に良かったなと。そのシーンは僕が大好きなシーンで、映画を撮る時に、モニターを見ながら皆さんのお芝居を見るんですけど、映画監督をやらせていただいて、初めてモニターの前で自分も泣きました。そういうシーンが、4回目はもうたぶん疲れきっていたかと思いますが、3回目まで撮れたので、ありがとうございました。森田さんにもたくさん食べてもらったんですけど、最初森田さん、ちょっと怖いイメージがあって、「食べてくれるかな」とスタッフで言ってたんですけど、森田さんに「どのぐらい食べられますかね」って聞いたんですけど、「大丈夫です」っておっしゃってくれて、合計4杯ぐらい食べていただいたんです。実際は本当に怖くないんです。本当に優しい人でした(笑)。
MC:森田さん、相当カロリー高いものをずっと食べてましたよね。
森田:そうですね、お腹いっぱいでしたね(笑)。でも食べるシーンはいいなあと思いましたね。手料理であったかいものだし、食べて生きるっていうメッセージもあったり、素敵なシーンになっているなと思いますね。
MC:石橋さんはいかがでしょうか?
石橋:十代の時に留学をしてたんですけど、一時帰国してそこからまた留学先に戻る時に、まだ15歳とかで、空港から飛行機に乗る時はすでにホームシックになっていて、飛行機に乗ってずっと一人で泣いてたんですね。困るじゃないですか、そんな子どもが泣いてたら。そしたら隣に座っていた女の人が、そっとティッシュをくれて。それで、またさらにビービー泣いてしまったんですけど(笑)。その後、一人で頑張んなきゃっていうのがあったので、人の優しさに触れて頑張れたっていう感じですかね。
MC:磯村さんはどうでしょうか?
磯村:架純ちゃんの存在が大きいかもしれないですね。朝ドラで一緒にやって、そこから連絡を取り合ったりするときがあるんですけど、その時に最後に「お互い頑張ろうね」っていつも架純ちゃんは送ってくれるんですよね。その「お互い頑張ろうね」っていうのがすごく僕の中で、「頑張ろう」ってなるんですね。そもそもすごく先に進んでいるのに、それでもやっぱり貪欲に、まだまだ芝居だったり作品を突き詰めようとしている姿が刺激にもなりますし、なんかそんなに頑張っている同世代がいて、それに「頑張ろうね」って言われたら、それはもう頑張んなきゃいけないだろうっていうか、ムチで叩かれているような感じもあって(笑)。なんですごく刺激ももらってますし、一緒に頑張っていきたいなという思いもあるんで、すごい勇気をもらっていますね。