MC:ありがとうございます(笑)。そして吉岡さんはいかがでしょうか?
吉岡:本当に独特な緊張感のなかで、淡々と進むっていう感じは相変わらずですけれど。僕は阿部さんに護衛されて、健くんがワーっと来るときに、健君が一瞬にして阿部さんにドン突き飛ばされて、マットを超えて飛んで行ったんですね。大丈夫かなぁと思って、「阿部さん、ちょっとやり過ぎじゃないですか」って阿部さんに言ったら、「いや、本人が思いっきり来てくれって言うんで」って言うんですけれど、一回だけじゃなくて2回も3回も健君が目の前で飛んでいく姿を見て、なんかかわいそうになってきちゃって、すごい現場なんだなって改めて思ったし、健くんの身のこなしというか本気度というか、それに対応する阿部さんの凄さっていうのを、まざまざと目の前で感じさせてもらったとても素晴らしい現場でした。
MC:そのシーンに関しては、佐藤さんの方から思いっきり来てほしいということだったんですね?
佐藤:そうですね。言いましたけど、そこまで飛ぶとは自分でも思ってなかったです。全員の誤算だったんで、マットから出ちゃったんだと思うんですけど、さすがです(笑)。
阿部:どんなにぶつかっても、ちゃんとこなしてくれるという信頼関係があったんで、遠慮せずにやったんですけど(笑)。
佐藤:捕まえるっつーのに、飛ばしますからね(笑)。捕まえるなら、そんなに飛ばさなくてもと思いましたけど(笑)。
MC:ありがとうございました(笑)。そして、瀬々監督。桑田佳祐さんの主題歌「月光の聖者達(ミスター・ムーンライト)」の歌詞に、「今がどんなにやるせなくても、明日は今日より素晴らしい」という一説がありましたけれども、本作の切ない真実が明かされながらも一筋の光を感じるような作品でもありました。改めて瀬々監督が本作に込められたメッセージ、思いを聞かせていただきたいんですがいかがでしょうか?
瀬々:震災の時に僕はドキュメントの手伝いに行って、8月に石巻の避難所に行った事があるんですけど、小学校の避難所で撮ってたんですが、その時の印象がすごくありまして、普通避難所だと悲惨なことばかり起こるんだろうなと、みなさん思いがちなんですけど、実はそこに、カンちゃんや、けいさんや利根みたいに、出会いがあったり別れがあったり、喜怒哀楽が実際にあると。どんな悲惨な場所にでも、そういう人間の生活ってあるんだなぁと感じたことを覚えています。ただ、そういう感情もこの映画の中にも託したいなと思って作りました。どんな状況にあっても、人間的な生活を目指していきたいというか、そうするべきだというか、そうしたいなぁというような思いを託した感じです。桑田さんの歌にもそういう感じがすごく出ていると思うので。
MC:ありがとうございます。そして佐藤さん。佐藤さんご自身が特に印象に残っているシーンはどのあたりでしょうか?
佐藤:僕は今日、ここにはいらっしゃらないですけど、永山瑛太さんに怒りをぶつけるシーンがありまして、今回理不尽なことに対する悔しさだったり、怒りだったり、やるせなさみたいな感情を作品を通して皆様に共感してもらうことがぼくの使命かなと思っていたので、あそこのシーンは台本を読んだ時点で自分にとっても大切だと思ってました。監督にも何回もやらせてもらって、瑛太さんにも何回も付き合ってもらって、良いシーンになったと思っています。
MC:ありがとうございます。瀬々監督、以前佐藤さんとご一緒された『8年越しの花嫁 奇跡の実話』の際も、「佐藤さんの芝居に向かう姿勢が素晴らしい」というふうにおっしゃっていました。今回も実際に実感されていらっしゃいました?
瀬々:横にいるので、あまり褒めるのも恥ずかしいんですけど(笑)。健くんはいつも命がけでやっているっていうか。そこが尊敬しているところでもあり、好きなところでもあります(照笑)。
佐藤:(照笑)