「どんでん返しの帝王」の異名をとり、今年、作家生活10周年を迎える中山七里の傑作小説「護られなかった者たちへ」を、瀬々敬久監督が佐藤健主演、阿部寛共演で映画化する『護られなかった者たちへ』が、10月1日に公開される。このほど、8月15日にTOHOシネマズ 六本木ヒルズにて完成披露イベントが行われ、キャストの佐藤健、阿部寛、清原果耶、緒形直人、吉岡秀隆、倍賞美津子、瀬々敬久監督が登壇した。ここでは、本イベントの模様を全文掲載でお届けする。
MC:皆様に一言ずつご挨拶をいただきたいと思います。はじめに連続殺人事件の容疑者として追われる主人公、利根泰久を演じられました佐藤健さん、お願いいたします。
佐藤:皆様、本日は雨の中お越しいただき本当にありがとうございます。佐藤です。東日本大震災というものが、どれほどの被害と悲しみを我々にもたらしたかというのは、日本中だけでなく世界中の人々が知るところと思います。しかし実際には、震災そのものだけでなくそこから波及し様々な問題が我々の日常を侵食していて、今回はそのうちの生活保護という制度に焦点を当てて撮影をさせていただきました。初めて原作を読んだときに、様々なことを教えられ、考えさせられました。今の日本に投げかける意義のある作品になったと思っています。受け取っていただけたら幸いです。本日はよろしくお願いします。
MC:続いて、利根を追う宮城県警の刑事、笘篠誠一郎を演じられました阿部寛さんです。
阿部:皆さん、今日はありがとうございます。まさに去年、夏にこの作品を撮影したんですけども、いろんなことがあって撮影ができるかできないか分からない状態の中、キャスト全員で集まって撮影ができたことを非常に感謝してますし、それを受け入れてくださった宮城の方々や、共有してくださった方に非常に感謝します。震災から10年経ちましたけども、今の社会が抱えるいろんな問題がこの作品の中に盛り込まれていますので、ぜひ受け取ってください。よろしくお願いします。
MC:続いて仙台市の保健福祉センターで、ケースワーカーとして働く円山幹子を演じられました、清原果耶さんです。
清原:はじめまして、清原果耶です。今日はお足元の悪い中お越しくださってありがとうございます。今日、劇場で久しぶりにキャストの皆さんと再会できて、お客様にこの映画を観ていただけることがすごく嬉しいです。今日は短い時間ですが、最後までよろしくお願いします。
MC:続いて、震災後の避難所で利根とカンちゃんという少女と出会い、家族のような関係性を築く遠島けいを演じられました倍賞美津子さんです。
倍賞:皆さんこんばんは。倍賞です。もう皆さんいろいろ話してくださったから分かってると思うんで。映画も観てくださったんですよね。じゃあ何も言うことはありません(笑)。帰ったら皆さんに宣伝してください、よろしくお願いします(笑)。
MC:続いて国会議員を務め若手政治家のホープとして人望も厚い上崎岳大を演じられました、吉岡秀隆さんです。
吉岡:こんばんは。飛沫が飛ばないように静かにしゃべります。困難な日々が続いていますが、困難じゃない時代なんてなかったのかなと、今日は終戦の日でいろいろ考えるところであります。決してこの映画を過去のものとしてだけで終わらせないで、今現在も困難であることは変わらないと思うので、少しでもこの国がよくなるように日々祈りながら、この映画が皆さんの心に刻み込まれるよう祈っております。どうもありがとうございました。
MC:続いて杜浦市福祉保健事務所の元所長、城之内猛を演じられました緒形直人さんです。
緒形:皆さんこんにちは、緒形直人です。本日はお足元の悪い中、まず朝劇場までお越しくださり本当にありがとうございます。もう撮影が終わって1年以上経つんですね。最初に台本を読んだときに、あまりの面白さに興奮しました。なんとか、この本以上の表現をしたい。そういう思いで仙台に向かったのを覚えています。このコロナ渦の中、多くの方に観ていただきたい作品ですので、皆さんもご家族やお友達にたくさん宣伝してください。今日は短い間ですが、宜しくお願いします。
MC:そして最後に瀬々敬久監督、お願いいたします。
瀬々:今日はどうもありがとうございます。思い返すと去年、第一回目の緊急事態宣言が出る頃に撮影しようとして、一旦中止になった映画です。緊急事態宣言明けになんとかやろうとして、6月にクランクインすることができました。そういう意味じゃ、先行きどうなるか分からないような五里霧中の中で、全く初めての体験として撮影に挑んだのを今でもよく覚えています。やっと公開までこぎつけたんですけど、今日も大雨で色々大変な思いをされる方もいらっしゃいますし、コロナという状況はなお一層深まってるんですけど、『護られなかった者たちへ』というタイトルの言葉が、実際のものにならないように今後も何かやっていけたらと思いますし、この映画はそういう力になれたと思っています。今日は本当にありがとうございます。よろしくお願いします。