【全文掲載】柳楽優弥「一刻も早く汗が引いてほしい」、有村架純「何のひねりもなく、このままなんですけど」2人の七夕の願い事とは!?

MC:黒崎監督、学生の方の手記を手にした日から長い年月を経て、やっと大スクリーンでお客様にも観てもらえることになりましたけれども、そもそもどんなところに惹かれて、これを物語にしたいと思われたのかですか?

黒崎:戦時中にある学生さんが書いた日記の断片なんですね。その学生が何を研究していたかというと、当時最新の学問だった原子物理学というのを研究している学生でした。当時はまだ誰もその原子核が分裂する、そして膨大なエネルギーがそこから取り出せるということを、事実だけは知っていたけれども、まだ誰もそれを目にしたことが無かったわけなんですけど、その道の学問にただただひたむきに取り組む一人の若者だったんですね。勉強のことだけが書かれていたわけじゃなくて、日記なので好きな人のこととか、今日こんなものを食べたとか、今日友達とこんな話をしたとかいうこともたくさん書いてあって、生きる若者の姿みたいなものが昔話としてじゃなくて、自分の目の前に等身大の現実の若者として浮かび上がってくるような気がしたんですね。何とかこれを物語にしたいと思って、脚本を書き始めました。

MC:そしてその脚本を読まれたキャストの方々でございますけれども、皆さんに伺いたいと思います。実際に脚本を読まれての感想とどうしてこの映画に出ようと思われたのか。惹かれた点も教えてもらっていいですか? 柳楽さんお願いします。

柳楽:まず脚本を読みあった後に素晴らしいなって思って、絶対参加したいと思ったんですけど、実際研究を重ねていたっていう事実を僕は知らなかったですし、日本と戦争した国のアメリカと、日米合作映画になるってことで、日本のお客さんにどう見られるんだろうとか、アメリカのお客さんにどう見られるんだろうっていうのが、ちょっと怖くもあって、簡単にやりたいですというよりかは、少し覚悟をして参加させていただきます、という感じで参加させてもらいました。

MC:参加してみて結果的にどんな感想をお持ちになりましたか?

柳楽:本当に本当に貴重な時間になりましたし、勉強にもなりました。僕自身知らないことがたくさんあったんだなって思ったし、今僕と架純ちゃんと春馬(三浦春馬さん・享年30)くんと、30前後の俳優がしっかりしたテーマの作品に参加して、みんなに伝えていくっていうことは意味のあることだったのかなって思えるので、本当に最高な時間でした。

MC:有村さんはどうでしたか?

有村:脚本を読んだ時に、恥ずかしながらその事実があったことを私は知らなくて、衝撃を受けて。この話を世の中に送り出した時に、どうなるんだろうという怖さだったり責任や覚悟みたいなものが、とても必要になってくるのかなと思ったんですが、黒崎さんが十数年かけて練られた企画ということで、すごく熱量も感じて。私は連続テレビ小説「ひよっこ」で黒崎さんと1年以上共に過ごしさせて頂いて、とても信頼している監督でもあったので、是非一緒に挑戦させてくださいということで、お話を受けました。

MC:ありがとうございます。國村さんはいかがでしょうか?

國村:実は黒崎監督とは昔からの関係でございまして、黒崎さんが「今度こんなのがあるんだ。一緒にやりたい」っておっしゃってくれて。本を読ませてもらったら、「こんなことやるんや」って。日本の軍隊も原爆を開発していたということは、この本で初めて知ったようなことで、もちろん荒勝さんという方の存在も、その時初めて知りましたけれども、読むにつれて、もしこれが本当に日本が開発に成功して先に落としていたら? とか、いろんな妄想をしながら、それぐらいこのお話というのは非常にスケールも大きいけれども、歴史的にもすごく大事なことが含まれてるなっていうふうに思いながら、脚本を読ませてもらいました。