【全文掲載】柳楽優弥「一刻も早く汗が引いてほしい」、有村架純「何のひねりもなく、このままなんですけど」2人の七夕の願い事とは!?

MC:美しいシーンだったりとか絆を感じるシーンもたくさんあって、すごく3人がキラキラと輝いているようなシーンもたくさんございました。ご自身たちの中で印象に残っているシーンを教えてもらってもいいですか?

柳楽:僕が好きだったのは海のシーンですかね。とても難しいシーンで、海に入ったりするのでワンテイクじゃないとダメっていう緊張感があって。(三浦さん演じる石村の弟・)裕之を助けに行くシーンなんですけれど、前日にしっかりみんなでリハーサルして、映画の撮影現場なんですけれども、緊張感は舞台の本番の初日前みたいな。実際本編でもそのシーンを観てすごくいいシーンになったのは、やっぱりあの緊張感があったからだと、達成感もあったし、すごい印象に残っていて。春馬くんとは10代前半ぐらいから一緒にオーディションしたりするような仲だったんですけれども、戦友というかライバルとか、今回は兄弟のような関係で。色々関わらせていただいて、春馬くんがこの作品に愛を持って参加してくれたように、僕自身もみんなで、参加したメンバーで春馬くんをこれからもずっと愛して、大切にしていきたいなと思っている、そう思える大切なシーンです。

MC:すごく印象に残っています。有村さんはそんな柳楽さんと三浦さんの兄弟から想われるという役でしたけども。

有村:柳楽さんも春馬さんも一度お仕事をしたことがあったので、自然と幼馴染という関係性ができていて、現場もすごく穏やかでしたし、作品は戦時下という厳しい環境にはありましたけど、撮影の合間はすごく笑顔も多かったかなと思います。その中で一緒に関係性を作り上げていたんですけれども、3人のシーンで印象に残っているのは、縁側のシーンで、未来について語り合う場面があったんですけど、そこは裕之さんが戦地に戻る前夜ということで、もしかしたら3人で会える最後の夜かもしれないっていう、とても切ないシーンでもあったんですが、少しの未来に対する想い、望みも詰まったシーンになったかなと思って。台本にはなかったんですけれども、戦地に送りだす裕之に対して、未来をつくろうとしている修に対して、言葉じゃないもので伝えたいなと思って2人の手を握らせてもらったんですけど、何か言葉じゃない人間の温かさ、ぬくもり、温度っていうのがあのシーンで伝わればいいなと思って、黒崎さんに提案させてもらって作れたシーンだったんですけど、とても3人の空気感が穏やかで、なんか微笑ましいシーンになってよかったなと思ってます。

MC:すごくいいシーンだったんですけど、黒崎監督はそれを提案されて、どうでした?

黒崎:有村さんは、普段とても理知的な雰囲気を醸し出していらっしゃる方で、でも演じる時になるとですね、時としてビックリするような本能的なお芝居をされることがよくあるんですね。それはよく存じてましたので、あまりビックリはしませんでした(笑)。「来たな」って思いました(笑)。でも、ほんの少しですけど肌と肌が触れ合ってぬくもりを交換し合うっていうことが、どんなに大事かということが伝わるシーンになったんじゃないかなと思います。今、握手もできないじゃないですか。その時代にあのお芝居が撮れたことを、あの瞬間だからできたのかなということを、強く改めて何度も何度も自分で仕上げ作業しながら思い返していました。本当に触れる温かみとか、触れなくても言葉をかけて伝わる暖かさみたいな、人と人との物理的な距離じゃなくて心の距離がすごく近い映画が出来上がったんじゃないかなと思っていて、そこは今一緒に舞台に立ってくれている演じ手の仲間たちが、心を込めて身体全部を使って表現してくれた結果、そういう物語が出来上がったんじゃないかなと強く感じています。

MC:そして國村さん役は実在する荒勝さんですけど、國村さんは実在する人物を演じるにあたって準備されていたこととかは?

國村:結構何回もやってるんですけども、逆にあんまり実在の人に寄せようとかは、実在の人をコピーするものではなくて、あくまで脚本の世界観の中の住人を自分の中でイメージするという、そんな風にしましたね。

MC:若者の俳優さんたちともずっと一緒にいて、大人である國村さん演じる教授が核兵器を作ってるんだけれども、皆を救おうとするっていう、あの気持ちに響いたというか。

國村:多分、荒勝さんとしては、結果的に自分のチームに集まった彼らを何とかして戦地に行かないで良いように考えたと思うんですけれども、それは一義的なことではなくて、むしろもし考えていたとしたら若い人たちというのは当時戦争に突入していく状況しか知らないわけで、ただ荒勝さんみたいな、つまり僕の年齢であると、戦争に突入する以前の日本も知ってるわけですよ。つまり社会がどうだったか、その社会がどう変化していて、軍部の主導のもとにとんでもないことに突っ込んで行っているかということを。ということは、これはいつか終わる。荒勝さんは分かっているんですよ。だから終わった後に、大事な人材がいっぺん潰れた日本の後をやってくれんとあかんという、そんな思いはあったろうと僕のイメージする荒勝さんは、そんな感じでした。

MC:監督自身、荒勝さんを実在の人物にしたっていうのは意味があったことだと思うんですけれども?

黒崎:柳楽さんが演じてくれた石村修という役は、僕がリサーチ取材でたどり着いた様々な、当時を生きていた科学者の人のいろんな人のイメージをつなぎ合わせて生まれてきたキャラクターなんですね。一方で荒勝教授ただ一人は実在した人物で、当時の日本の学問を引っ張っていた代表的な学者でもあるので、そこはぜひ実在の人を実名で描かせて頂きたいというふうにご遺族の方にもご了承いただいて。ただ非常にこの映画はいろんな見方ができる、いろんな視点が含まれている危険な映画な部分もあると覚悟をしています。その中で実在の名前を背負って演じていただくっていうことの覚悟がとても必要だと思い、國村さんには「ぜひ、こういう風にしですね荒勝教授だけは実際の名前で演じてもらいたい」とご提案をしたんですけれども、その時の國村さんは「ひとつの狭いエッジの上を歩いている映画で、こっちに転ぶかもしれないし、こちらに転ぶかもしれない。そういう物語で、でもそれを映画でやらんと意味ないやろう。だったらやりますよ」ってぱっとお答えになってくださって。そのことも僕たちを勇気づけてくれました。

MC:キャストの皆さん、スタッフの皆さんの愛で作られた作品なのかなって感じました。ここで、今日は7月7日の七夕です。実は監督キャストの皆さんに今年の抱負、もしくは願いを短冊のようなものに書いていただきましたので発表してもらいたいと思います。まずは黒崎監督から。

黒崎:映像の力が世界中の人に届きますように。です。この作品ももちろんそうだし、それに限らず今日この環境の中でマスク体制で駆けつけてくださった方々に、本当にありがとうございますともう一度申し上げたいです。こんな不自由な世の中だからこそ、この映画の中のみんなは、柳楽くんをはじめ、本当に躍動してくれてます。さっき海の話も出ましたけど、海も山も散々な目に遭ったって、柳楽さんは思ってるんじゃないかと思いますけど(笑)。