MC:さて(笑)、二人は1人の人生を30年間演じ続けるということで、どんな大変さがあったのか、ご自分の中で準備したことはございますか?
波瑠:成田さんはいろいろされてましたよね? お酒飲んだりとか。
成田:そうですね。次の日が40代、50代の撮影だったら、飲めもしない強いお酒を飲んで声を枯らして、ちょっとむくませて、二日酔い気味でダレてる感じにしようかなと思ったんですけど、毎日がそうではないので。朝は高校生、夕方は50歳とかになってくると、そういう準備もなかなかできないので。物理的な準備があんまりできないので大変でしたね。
MC:波瑠さんはどうでしたか?
波瑠:私の場合は走るシーンが多かったので、冒頭の元気いっぱいの弥生の走るシーンと、違う年齢になったときに走る姿っていうのは、ちょっと変えないと…。そんなわけないよな、私は今、高校生の時みたいに走れないし、身体の見え方ってものすごい情報として入ってくるので、簡単なようだけど結構気をつけなきゃいけないと思ってたんですけど、実際走ったら単純に走るのだけでも精一杯で、上手くできてたかも分かりません(笑)。
MC:弥生さんの人生のヒストリー的な部分は何か考えていたりしたんですか?
波瑠:考えてました。でも、これはいつもどの作品でも取り組むんですけど、描かれていないところにも弥生という女性の人生があってのことなので、想像は組み立てながらやってました。
MC:ありがとうございました。黒木さんは遊川監督のドラマでもご一緒したことがあるということで、今回の現場でこだわってるなと思ったシーンなどありますか?
黒木:この作品はというわけではありませんが、遊川先生が大事にしているのは人間愛なんですね。そして、演じる私達の芝居をちゃんと見ていただくということと、芝居を真剣にやっている人が好きっていう。ここは脚本家としても監督としてもブレないところでいらっしゃるんだろうなと感じます。かれこれ最初は99年でしたので、21年ほどご一緒させていただいていますけど(笑)。ただ、こだわりという意味で、なんとなく私が感じたのは、役名にすごくこだわっているんですね。例えば、ドラマ「過保護のカホコ」のときは、私は泉という名前だったんですけど、それはもう愛情過多というか、泉のように湧き出るという思いで、きっと泉という名前が付けられたのではないかと想像していました。あるドラマでは「いの ちはる」という名前だったんですけど、「これどういう意味ですか?」と聞いたら、「命を張るんだ」と(笑)。今回の役は、真理亜なんですね。ですから、太郎そして弥生に惜しみない愛情を注ぐ肝っ玉母ちゃんという思いで真理亜という名前をつけられたのかなと想像しておりましたし、ちょっと真理亜みたいな雰囲気も一箇所ありますけれども(笑)。
MC:ありがとうございました(笑)。ちなみに波瑠さんは、この監督は本当にここがこだわっているなあと感じたり、大変だった部分はどこでしょうか?
波瑠:もうね、時間が足りません。それを話そうと思うと。すっごいたくさんあって(笑)。でも、こうやって何でも言えるので、それはすごいね風通しがいいんですけど、最初は遊川組の洗礼なのかなって思ったのは、衣装合わせが9時間かかって終わらなかったんです。ねえ(笑)?
遊川:ねえ(笑)?
波瑠:現場が始まってからも髪の毛だったりとか、いろいろずっと調整が続いていて、これはもうきっと遊川組の洗礼だと思いながら、ただ脱いでは着る、脱いでは着る、ただロボットのようになってました(笑)。
MC:登場人物の愛ですよね、もう本当にこだわって全部のディテールがってことですよね、監督?
遊川:30年分もあるもんですから、30年分の髪型から服装から小物から全部決めなきゃいけないので、僕も9時間かかるとは思わなかったんですけど、さすがにヘトヘトになりましたけど。でも、それがあるからやっぱりいいキャラクターというか、人間にできたんだと思います。
MC:成田さんはどうでしたか?
成田:遊川組の洗礼というと、やっぱり衣装合わせが終わらないっていうのがりましたよね(笑)。9時間やって、次の日もやって、だから監督は✕2やってるんですよね。まあでも分かりやすいですよ、監督は。監督はストレートにものを言ってくれるので、僕の役で言うと「お前の役は月9で言うと、3番手のあの明るい奴だ」って(笑)。とっても分かりやすいと思って(笑)。
遊川:「お前」なんて言わないでしょ!?
成田:「お前」なんて言ってないです。すいません。
小澤:(遊川に)人の前で手を振るな!
遊川:うるせー(笑)。
小澤:うるせーよ!(笑)。
成田:今日は、監督も緊張されているので、ふわふわしております(笑)。とても可愛らしいというか(笑)。
遊川:いいから話しろよ(笑)。
成田:以上です(笑)。
MC:ありがとうございました(笑)。小澤さんも遊川監督とは前にもドラマでもご一緒してますよね?
小澤:とりあえず俺は衣装合わせ5分でしたよ?(笑)。俺はね(笑)。前からご一緒させてもらってて、前に一度ぶつかってるんですよ。初めて作品をご一緒させてもらったときに、3時間くらい話し合って現場が止まるっていう。だから波瑠ちゃんの話も皆さんの話も聞いてて、遊川さんというのは、それで人との距離感を測るところがあるんですよ。この人はどこまで僕のことを許してくれるんだろうっていうね。あるじゃないですか、お互いの距離感って。それが僕はもうあるので、もう本当に衣装合わせで「どうも、お久しぶりです」って5分くらいで終わりましたけど(笑)。遊川さんって、作品に対して熱い情熱があって、一日の撮影が始まる最初、みなさんが集まって撮影を始めましょうというときに、今日のシーンはこんな感じでという話をしてくれるんですけど、まあ長い(笑)。長くていつ終わるんだろうと、ずっと待ってて(笑)、俺、2、3回ありましたよね? 「監督、もうそろそろ止めてください」って(笑)。
遊川:ありがとう(笑)。
小澤:でもね、それぐらい言ってくれる人も、珍しいんですよ、実は。それだけ作品に対して情熱があって、監督が走り始めているので、俳優部は情熱に乗っかって進んでいけば、道筋を見せてくれるので、そういった意味ではすごく信頼しているし、あと、今回は監督脚本をやられてますけど、遊川さんの場合は脳みそはひとつが良い。遊川さんが脚本で、監督を他がやられると、ごちゃごちゃになることがあるんですよ。そういう意味では、今回は遊川ワールドが爆発してますよ。そこらへんはすごく、見ごたえがあると思います。
MC:ありがとうございます。岡田さんはいかがだったでしょうか?
岡田:みなさんが一緒になって、あゆむを作ってくれたと思って。何回もリテイクを重ねていただいたんですけど、さっきとは全く違ったアプローチをして、あゆむの魅力を出そうとしてくださって、何しろ僕が拙いので、僕が一番、遊川さんにご迷惑をかけたと思うんですけど、一緒になってあゆむを作り上げてくださったのが、印象に残ってます。