MC:ありがとうございます。ちなみにタナダ監督、原作を読まれている方が結構いらっしゃいますよ。原作を読んでいる方は?(客席から手が上がり)
タナダ:ありがとうございます(笑)。
きたろう:原作と全然違いますよ。(会場笑い)
MC:その目で確かめてもらいたいと思いますけど(笑)。さて、高橋一生さんと蒼井優さんというと、19年ぶりの映画で共演になりますよね? どうでしたか、久しぶりに映画で共演されて。その感想を教えて下さい。
高橋:蒼井さんとはご一緒したいとずっと思っていたので、まさか夫婦の役でご一緒できるとは思わずに。最初にご一緒したのが『リリイ・シュシュのすべて』で、初めてお会いしたんですけど、その頃、蒼井さんは14歳とかで、僕は20歳を過ぎていて。現場で遊ぶといっても、遊び方が違うんですよ。優ちゃんは何してたんだっけ?
蒼井:私はカエルを捕まえてました。リリイとシュシュっていう、二匹を捕まえて(笑)。市原隼人くんと(笑)。
高橋:そういう状態だったので、僕らは大人ぶっちゃって「ビリヤード行くか」って、やってましたね(笑)。その後も現場で何度かお会いして、お芝居をガッツリというわけではないんですけど、ご一緒した作品もあるので、何度かお会いはしてますね。なんのアレもなくすんなりと。うれしかったですね。蒼井さんとご一緒できたのは。
MC:でも蒼井優さんにとっての『リリイ・シュシュのすべて』のときは先輩だったのが、ついに夫婦役になったわけですから。
蒼井:一生さんは、初めての現場で何も知らない状態(の自分)を見ていらっしゃるので、私の中では『リリイ・シュシュのすべて』でご一緒した方というのは、地元の知り合いみたいな感覚になってしまっていて、勝手に親近感を持ってしまっているんですね。いつも現場で“一生くん”と呼ばせてもらっているんですけど、途中ではっと気づいて、すごい先輩だと思って…(笑)。でも、今更“高橋さん”と呼んでもなんだしなと思って…(笑)。
高橋:それはショックですよね(笑)
蒼井:だから、14歳のときの無礼さを今だに持ちつつ、恐る恐る“一生くん”と呼ばせていただいてます。
高橋:うれしかったですよ。本当に地元の感じで、地元の覇気のないお兄ちゃんみたいな感じでいたので(笑)。良かったです。
MC:でも作品を観させていただきますと、二人の夫婦の空気感が美しいというか、切なさもたくさんあったんですけど、実際に演じられて、それぞれの役者さんとしての印象はいかがでしたか?
高橋:お芝居をさせていただくときに、「会話はキャッチボールだから、キャッチボールをしてくれ」と、よく演出家の方に言われることがあるんですが、蒼井さんとお芝居をするとジャグリングのようなんですよ。玉がテーブルの下と上をずっと常に行き交っているような、言葉ではない目線だけの…
きたろう:エッチをしているときも?
高橋:はい(笑)。エッチをしてるときもジャグリングですね(笑)。
きたろう:なかなかね、きれいだよね(笑)。俺はもっとエッチになってほしかったんだよ(笑)。きれいなんだもん。
高橋:そうですか(笑)。残念でした(笑)。
きたろう:残念でした(笑)。
高橋:本当にそれは残念ですね(笑)。
きたろう:いや、二人がね、リアルだと思うのはお互いに恥ずかしそうなんだよね。これがなんか良いんですよ、とってもリアルで。
タナダ:お酒がまだ抜けてないのでは?(笑)
高橋:エッチのシーンがメインではないのでね(笑)。
きたろう:ああ、そうですか、ごめんなさい。監督、女優さんみたいだよね。
タナダ:張り切っちゃって、すいません(笑)。
きたろう:俺がしゃべって申し訳ないけど、二人が恋に落ちる瞬間。俺の中ではものすごくリアル。
高橋:ありがとうございます(笑)。
MC:きたろうさんがそこまで気に入ってくださってるということですけど、蒼井さん。高橋一生さんの役者としての印象はいかがですか?
蒼井:心でお芝居をされるということと、技術で持っていくという、両刀の方というんですか? なので、無敵だと思いました。瞬発力で行けるところは行けるし、持続力も技術の裏打ちとしてあるので、ご自身の状態がどうであっても、理想とされているところに確実にたどり着かれるので、私は一生さんのセリフを素直に聞いて素直に返すことだけをしていました。